エルニーニョ監視速報 「冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭」 寒さ厳しい冬へ

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2024年12月10日 15:46  日本気象協会

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日本気象協会

エルニーニョ監視速報 「冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭」 寒さ厳しい冬へ

気象庁は今日10日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。それによりますと、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあります。今後、「冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭」となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。



●11月の実況


エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあります。
11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は-0.2℃で、基準値に近い値でした。
また、ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の9月の値は-0.3℃で、基準値に近い値となりました。太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の海洋表層の水温は西部で平年より高い一方、中部から東部では平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年よりやや強くなりましたが、これらには熱帯季節内振動の影響もありました。

このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあることを示しています。


●今後の見通し


今後、冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。
実況では、太平洋赤道域の中部から東部で海洋表層の冷水が継続しています。大気海洋結合モデルは、今後、太平洋赤道域の西部から中部で貿易風の強い状態が続くとともに中部から東部の冷水が強まり東進するため、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬の間は基準値より低い値で推移する可能性が大きいものの、大気海洋結合の弱まりとともにこの状態は長くは続かず、春にかけて上昇して基準値に近づくと予測しています。

以上のことから、今後、冬の間はラニーニャ現象時の特徴が明瞭となりますが、その後は弱まるため、春にかけてラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、平常の状態が続く可能性が高くなっています(70%)。


●ラニーニャ現象とは?


「ラニーニャ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。

ただ、何らかの原因で東風が強まると、西側の暖かい海水が厚く蓄積するとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが強まり、南米沖の海面水温が通常より低くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象を「ラニーニャ現象」と呼びます。

「ラニーニャ(La Niña)」とは、スペイン語で女の子という意味で、「神の子キリスト」を意味する「エルニーニョ」の反対現象ということから名づけられました。

「ラニーニャ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。

ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、西高東低の冬型の気圧配置が強まって、気温が低くなり、大雪になる傾向があります。
今週末は強い寒気が南下するため、西日本の太平洋側や関東北部でも雪の降る所があるなど、普段あまり雪の降らない所でも交通に影響が出る可能性があります。
また、晴れる所も厳しい寒さになる見込みです。今後も雪や寒さの情報に十分ご注意ください。



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