東京都板橋区の踏切で昨年12月、塗装会社元社員の高野修さん=当時(56)=を自殺に見せ掛け殺害したとして元同僚4人が逮捕された事件で、高野さんへの暴行や叱責といったいじめは、復職した2021年2月ごろからエスカレートしたとみられることが10日、捜査関係者への取材で分かった。
高野さんは20年8月、大やけどしたことを機にいったん退職したが、何らかの理由で復職したといい、警視庁捜査1課が詳しい経緯を調べている。
捜査関係者によると、高野さんは以前より同社社長の佐々木学容疑者(39)らから暴行や叱責を受けていたとみられるが、復職した21年2月ごろから社内のグループチャットに「約束を守れなかったら死にます」などと送るようになった。
高野さんは14年ごろから佐々木容疑者の下で働き始めた。15年2月に同社の社員になったが、背中の広範囲にやけどを負ったことを機に20年8月、退職。この時、高野さんは病院を受診し、「誤って熱湯のシャワーをかけてしまった」と説明していたという。
退職後は、生活保護を受けたり、警備会社で働いたりしたが、何らかの理由で21年2月に同社に復職したとみられる。
同容疑者らによる叱責は、当初は仕事に関する内容が主だったが、次第に私生活にも広がった。給料が払われずに、食料を「現物支給」されるなど生活を厳しく管理されるようになり、心身ともに追い込まれたとみられる。