大麻を麻薬と位置付けて使用を禁じ、所持などについても厳罰化した改正法が12日、施行された。識者からは理解を示す声がある一方、「国際的な潮流に逆行する」と疑問視する意見もあった。
慶応大の太田達也教授(刑事政策)は「所持罪などがあるのは大麻の使用を許さないためで、法が使用を容認してきたわけではない」と話す。「これまでも所持罪などで大麻を規制できた」としつつ、今回の改正は「抜け穴を埋めるもの」と理解を示した。
その上で、薬物は初犯では執行猶予が付きやすく、再犯で実刑になったときには深刻な依存症に陥っている現状を懸念。薬物使用は認知行動療法による治療を義務付けるなどの条件付きで不起訴とする制度の導入を提案し、「早期の時点で刑事手続きから薬物依存の治療につなげる必要がある」と語った。
一方、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦・薬物依存研究部長は「国際的な潮流と逆行する政策だ」と厳罰化を批判する。大麻はアルコールより依存度が低く、欧米先進国を中心として緩和の流れが進んでいると指摘。「治療が必要な人を排除し、社会復帰を阻む」との見方を示し、「依存症の人がSOSを出しやすくする取り組みが必要だ」と訴えた。