ロッテ・澤田圭佑「怪我で離脱していないのは最低限良かった」来季は「1試合でも多く投げられるように頑張ります」

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2024年12月14日 09:06  ベースボールキング

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ロッテ・澤田圭佑 (C) Kyodo News
 「ファームの時間も長かったんですけど、怪我で離脱していないのは最低限良かったところです」

 ロッテの澤田圭佑は移籍2年目の今季を振り返った。「一二軍合わせて40何試合投げられたので、1年間で投げる試合数も手術後、伸びてきているというのは一つの収穫でもあり、来シーズンにもつながることがいっぱいあったので、そういう点では総合的に見ればいいシーズンにできたのかなと思います」と、オリックス時代の22年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、ロッテに加入した昨季は一・二軍合わせて36試合(一軍:17試合、二軍:19試合)の登板だったが、今季は一軍で21試合、ファームで21試合と一、二軍合計42試合に登板した。

◆ 2024年シーズンを振り返る

 澤田は移籍1年目の昨季育成選手と入団し、7月27日に支配下選手登録となると、夏場以降はブルペンを支え、17試合、2勝0敗6ホールド、2セーブ、防御率1.08と抜群の成績だった。

 昨季終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「1年間投げ切れる技術をつけられるように体の感覚を研ぎ澄ましながら、技術のレベルアップをやっています」とトレーニングに励んだ。

 シーズンオフも「ひたすら練習してきました」とのことで、「体のトレーニングというか、そういうのをいっぱいとってできたし、投げる方も毎日投げられたので、いい感じです」と春季キャンプに向けてしっかり準備をしてきた。

 石垣島春季キャンプでのブルペンでは、フォークが苦手でタイガース・前田健太、トレバー・バウアーのYouTubeを見て、スプリットチェンジを習得し昨季は澤田の投球を支える球種の1つとなったが、「西村さんに教えてもらって、西村さんが投げているスプリットを真似して投げています」と、チームメイトの西村天裕から教わったフォークを練習。

 苦手と話していたどフォークをどういうきっかけで、投げるようになったのか春季キャンプ中に聞くと、「速い変化球があったほうがいいかなと思って、西村さんに聞いてみました」と明かし、落ち球の球種を増やす狙いについて「三振を取りたいですね」と説明した。

 2月10日のライブBPでは、和田康士朗への3球目にフォークで空振りを奪い、澤田の球を受けた松川虎生は「フォークは良かったと思いますよ。落ち方とチェンジアップとの差があったのかなと思います」と太鼓判。澤田はこの日のライブBPで「手応えありです、変化球は。あとはまっすぐだけです」と調整は順調そのものだった。

 練習試合、オープン戦での奪三振は少なかったが、練習試合からストレート、変化球で空振りも取れており、2月10日時点で「あとは真っ直ぐだけです」と話していたストレートは3月15日の取材では「今は80点くらいです」とし、変化球も「良い感じです」と好感触。

 オープン戦で4試合・4イニングを無失点に抑え、開幕一軍を掴む。開幕してからは勝ちゲーム、ビハインドゲームとさまざまな場面で腕を振り、初登板となった3月31日の日本ハム戦から4月27日の楽天戦にかけて8試合連続無失点。

 シーズンが開幕してから「スライダーも監督が大きい方が空振りが取れるから、大きいスライダーとナックルカーブを投げていった方がいいとPayPayドームの時に言ってくれて、そこからスライダーも大きくしてナックルカーブも場面を見て使っている感じです」と、吉井理人監督の助言でナックルカーブと縦に落ちるスライダーを投げるようになった。

 ナックルカーブは、4月10日の西武戦で1−0の6回二死走者なしでアギラーに1ボール2ストライクから投じた4球目、外角低めにナックルカーブを初めて投げ、同日の西武戦で、1−0の6回先頭の岸潤一郎に2ボール2ストライクから投じた7球目の外角低めにストライクゾーンからボールゾーンにボール球となったが縦のスライダーを投げた。

 澤田は昨年前田健太とトレバー・バウアーのYouTubeを見て独学で学びスプリットチェンジを投げるようになり、今年に入ってからもチームメイトの西村天裕にスプリットの握りを教わりフォークを投げた。さらに石垣島春季キャンプ中には、「球種じゃないんですけど、高橋光成投手の練習動画で投球フォームを解説していて、それが使えそうな気がしています」と話し、キャンプ中に早速実践するなど、チーム屈指の吸収力、探究心を持つ。

 5月6日の取材では、自ら「新しい小ネタ言っていいですか」と切り出し、「去年監督が大事なゲームになればなるほどグッドくらいでいい、ベストじゃなくてグッドくらいがいいんだと」と、去年吉井理人監督から言われた“BEST”より“GOOD”くらいの方がいいというのを実践していると教えてくれた。

 「今まで大事な試合を120%、200%くらいの感じで投げていたんですよ。どういう感じと思ってもわからなくて、去年は全試合200%くらいで投げていましたね。今年は1年間あるのでオープン戦から振り切ったパフォーマンスではなくて、自分のその日の最低のレベルをどれだけ上げられるかを意識して投げています」(5月6日取材)。

 そう言われてみると、今年の序盤、澤田の投球は力一杯投げていた昨季とは違う印象を受ける時もあった。

 「そうやと思います。これでどんどん試合数を重ねていって、体も噛み合って順位も上になってくると200%でいくんですけど、今は最低レベルの75%とか最低限のレベルをどれだけ良くできるかを意識しています」(5月6日取材)。

 4月29日の楽天戦で今季初失点したが、5月3日の楽天戦から6月1日の阪神戦にかけて9試合連続無失点。6月1日終了時点で、19試合を投げ、2勝0敗8ホールド、防御率1.06と、昨季支えたブルペン陣が開幕から苦しんでいた中で、今季ブレイクした鈴木昭汰とともにリリーフ陣を支える投球を披露していた。

 6月6日のの巨人戦、6月9日の広島戦で2試合連続で失点し、翌10日に一軍登録を抹消。

 一軍登録抹消前の投球について澤田は「技術的に噛み合わない部分があったので、それを直すのに1ヶ月くらいかかって。7月くらいからはいい感じに投げられた日は多かったかなと思います」と振り返る。

 ファームでの投球を見ると、「調整というか、微調整というか」と、6月22日の西武二軍戦で少しひねりを入れたフォーム、6月29日のオイシックス戦では捻りのないフォームで投げれば、「真っ直ぐが良かったら抑えられる。ストレートにこだわっています」と、6月29日のオイシックス戦で21球、7月14日のヤクルト二軍戦では11球オールストレートという日もあった。

 ファームでは結果を求めながらも自分の課題を潰していたイメージだったのだろうかーー。

 「上がるためにというよりは、自分の状態を基本的には考えて投げている日のことが多かったですね」。

 春先に「監督に練習した方がいいと言ってくれたので、ナックルカーブを投げている人とかに色々聞いて、使ってみました」と話していたナックルカーブも、8月7日の西武二軍戦で、8−3の9回二死走者なしで長谷川信哉を1ボール2ストライクから左飛に仕留めたナックルカーブは良かった。

 ナックルカーブについて「違和感なく投げられています」と手応え。一軍の実戦でも「カウントを見て、キャッチャーに任せます。そこは」と投げていきたい考えを持っている。

 9月20日のオイシックス戦では、3−4の8回一死走者なしで右打者の熊倉凌に1ストライクから空振りを奪った低めに落ちる2球目の131キロ縦スライダー、2ボール2ストライクから投じた7球目の空振り三振に仕留めた135キロ縦スライダーも良かった。

 ただ本人は「自分のイメージは横に変えているんですけど、見た感じだと縦になっていた。数値で言ったら落ちてはないんですよ」と明かし、スライダに関しても「微調整しています」とのことだった。

 シーズン最終盤となった10月3日の日本ハム戦で、6月9日の広島戦以来の一軍登板を果たし、1回を無失点に抑え、吉井監督は「途中こっちが使いすぎてへばらせてしまった。回復に時間がかかったんだけど、今日のピッチングを見る限りはいつもの澤田に戻っているかなと思います」と評価した。最後、良い形でシーズンを終えた。

 シーズン終了後に行われたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習中、「シーズン終盤にスライダーを横の大きいやつに変えて、それが今結構いい感じになってきています」と手応えを掴んだ。「それを次への形にして何が勝負球になるかという感じですね。チェンジアップもファームにいた時に大隣さんに教えてもらったよくなったし、スライダーは今ジョニーさんにフォームからこういうイメージというのを教えてもらって、そのフォームでスライダーを投げると結構曲がり始めた。曲げるイメージは西野さん、唐川さんにちょっと教えてもらって、フォームをジョニーコーチに教えてもらって、今こんな感じかなというのが出てき始めて、ちょっと面白くなってきています」と良い形でシーズンオフへと進んだ。

 ちなみに、シーズン通して“BEST”より“GOOD”くらいの投球ができたのか訊くと、「めちゃくちゃ悪い感じというのはなかったので、常に微調整の、一番難しいところなんですけど微妙な調子の左右ぐらいしかなかった」とのことだった。

 来季へ向け「1試合でも多く投げられるように頑張ります」と意気込んだ澤田。トミー・ジョン手術から復帰後着実にステップを踏んでおり、来季はシーズン序盤“GOOD”な投球でいき、優勝を争うところで120%の投球を見せることができれば、楽しみなシーズンとなりそうだ。

取材・文=岩下雄太

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