『Honda Racing 2024 Season Finale(ホンダ・レーシング 2024シーズンフィナーレ)』に出演し、囲み会見に出席した角田裕毅 12月15日、東京都港区のHondaウエルカムプラザ青山にてファン感謝イベント『Honda Racing 2024 Season Finale(ホンダ・レーシング 2024シーズンフィナーレ)』が行われ、F1で活躍する角田裕毅がトークショーに登壇。その間には、集まったメディアへ向けた合同取材に答え、今季の学びやテストで感じたレッドブルF1チームの特徴を語った。
まずは今季ので得た学びについて、「コンスタントにステップアップでき、チームメイトとの差も明らかにできたのが良かった」と語り始めた。
「なかでも、ダニエル・リカルド選手から学ぶことが多くて、自分にできていなかったこともよくわかった。彼と戦いつつも、その部分を吸収できたことが良かったです」
「とくに、うまくいかなかったセッション後のミーティングなどで、リカルド選手はフラストレーションがあるのかないのかわからないくらい冷静にフィードバックをしていて成熟した部分を感じた」
「ドライビング中の気持ちのコントロールや、無線でのクルマのフィードバックなども含めて、効率よく取り組む事ができるようになったと思います」
さらに、2025年レッドブルF1のシートについての噂が大きくなっているなか、実質的にその座を競っているとされるローソンについて、自身に生じた影響も含めて語る。
「彼と組んだことで、自分にも責任感が出てきたと思っています」
「チームメイトだったリカルド選手は、チームから信頼されるようなドライバーで、『片方がだめでも自分が結果を出す』というような成熟さを持っていました」
「(リアム・)ローソン選手は、まだ経験も少なくて、チームへのフィードバックのプロセスでも僕の方が馴染みがあります。なので、僕がリーダーとしてチームを引っ張っていく能力を鍛えられたかなと思います」
「リカルド選手の時と同じように彼から学んだことなどは、正直なところ無いのですが、彼はクルマへのアダプト(適応)能力があるなとは感じています」
そして話題は、先日行われたアブダビでのポストシーズンテストへ。初めてレッドブルからの参加となったこのテストにおいて、角田が念頭に置いていたというターゲットと、その手ごたえを語る。
「彼らが気にしているのは、クルマのフィードバックだったり、チームのなかでの振る舞いだったと思います」
「(レッドブル側は)スピードに問題がないことは分かっていると思うので、フィードバックが彼らにとって未知数で、知りたかったはずです。なのでそれをターゲットに、できるだけ事細かに伝えるようにしました」
その働きについてチームからは「感銘を受けた」と評価を受けたと、自身を持って言葉にする角田。シーズン前半にチームメイトから学んだ要素は、確実に能力として発揮されているようだ。
さらに、テスト直後には「自分のドライビングスタイルに合っている」と語っていたレッドブルのマシンやチームの雰囲気について、RBとの違いにも触れる。
「乗る前は、アダプト(適応)の不安もありましたけど、実際はすんなり乗れました。ホンダエンジンの操作性も体にしみついていることもあって、ドライバビリティの良さもありますし、最初の1周目から違和感なく走ることができました」
「運転する感覚はもちろん違いましたが、想定するタイム差に比例するような感覚でした。ただ一番は、ロングラン後のタイヤの保ちが全然違いました。そのもとはやっぱりコーナリングでのダウンフォースで、滑りにくくなればタイムも安定するし、タイヤも保てるのかなと」
「あと、ふたつのチームはかなり違ってはいますが、明るいところは似ているなと思います。RBはスキンシップ能力の高いチーム、レッドブルはワイワイでエネルギーの高い雰囲気ですね」
「(テストを進める)プロセスでは、レッドブルの方が、ひとつひとつのコメントに対して深くまで追求してくる印象です。伝えたことを詳細なところまで逃さず、小さいところも追及します。あとはRBよりもさらにオープンで、遠慮なく伝え合うところに違いは感じました」
なおこの会見では、『来季についての質問は“本国”からのお達しもあってNGです』との前置きがあった。発表されている2025年のエントリーリストでは、角田は引き続きRBからのエントリーとなっているが、『本当にまだ決まっていないので』と伝えられたところからすると、レッドブルF1のシートについては話し合いが今なお進んでいる最中なのか。並々ならぬ思いで臨んだであろうレッドブルでのテストについて、きっぱりと手ごたえを語った角田の進展は、近いうちに大きく動くのだろうか。