2024年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。危険な運転は許さない「あおり運転」部門、仰天のエピソード第6位の記事はこちら!(集計期間は2024年1月〜10月まで。初公開2024年1月26日 記事は取材時の状況、ご注意ください) * * *
弁護士ドットコム株式会社が2023年に行ったアンケート調査によると、煽り運転を行った加害者の約6割は「後悔していない」と回答している。巻き込まれる側からすると、たまったものではないが、そういった人々が存在する以上は常に危険を察知しつつ運転する必要があるだろう。
会社員の大倉優太さん(仮名・26歳)も、“歪んだ思考を持つドライバー”から煽られて、冷や汗が止まらなくなった経験があるという。
◆70代ぐらいの老人に高速で煽られる
「自分だけならまだしも、助手席に座る彼女の身にも危険が及ぶ出来事でした。今思い出しても虫唾が走ります」
それは今から3年ほど前のこと。大倉さんには付き合って3カ月になる彼女がいた。買ったばかりの軽自動車で温泉旅行に向かったそうだ。
「高速を走っていると、白いセダンがピッタリ後をついてくるんです。ですが、自分がいたのは追い越し車線ではなく走行車線でしたし、ノロノロと走っている訳でもなく、煽られる理由がわからず……。相手が気になり、バックミラーで確認すると、ハンドルを握っていたのは70代ぐらいの老人でした。ニヤニヤと笑っていて、車をぶつける勢いで迫ってくるので、本当に怖かったです。でも、彼女を怖がらせたくないという思いから、あくまで平静を装って運転し続けていました」
◆無事逃げ切ったかと思いきや…
しかし、白いセダンは今にもぶつける勢いだった。
「彼女に『ちょっと休憩しようか』と告げて、サービスエリアに入ることに。でも、白いセダンもついてきて……。混んでいるエリアで車を止めると、ようやく姿が見えなくなって心底ほっとしました」
安心した大倉さんは、フードコートで昼食を摂ることに。しかし……。
「老人のことを半ば忘れた状態でサービスエリアを出ました。でも、少し走るとバックミラーに例の白いセダンが映っていて……。鳥肌が立ちましたね。しかも、なぜかそれまでより敵意を感じました。並走してこちらに車を寄せて来たりと、危険な運転を繰り返してくるんです」
◆“煽り老人”のまさかの言い分に唖然
「向こうは古いタイプとはいえ、普通車です。一方、こちらは軽自動車。必死に逃げましたが、スピードを出しすぎるのも怖くて、すぐに追いつかれてしまいました。彼女は『なんとかしてよ!』と叫んで、なだめるのにも必死でした。背後から迫る老人はニヤニヤと笑っていて………気が変になりそうでした」
恐怖に耐えながら運転し、大倉さんはなんとかパーキングエリアに逃げ込むことに。
「それでも白いセダンは追ってきました。近くに停めて、こちらが発進するのを待っているようでした。もうあんな怖い思いはしたくなかったので、やむを得ず警察に連絡することにしました」
大倉さんはやってきた警察官に被害を訴えた。
「ドライブレコーダーに映っていた煽り運転の様子を見せて説明すると、老人の車のところまで行って事情聴取をしてくれました。なんでこんなことをしたのか尋ねられて答えたのは、『クソガキが女を連れてノロノロ走ってやがるから腹が立った』という言い分で……。あんな危険な運転をした理由がヤンキーみたいな内容だったことに唖然としましたね」
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出だしから最悪の気分にさせられた旅行は盛り上がらず、彼女は終始暗い表情だった。この出来事が尾を引いてしまったのか、残念ながら恋人関係も長くは続かなかったという。
<TEXT/和泉太郎>
【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め