大御所から中堅、期待の若手まで......今年の「来日アーティスト」が激熱すぎる!

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2025年01月10日 06:50  週プレNEWS

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オアシス。写真は再結成発表後にストリートアーティストによってマンチェスターにあるパブの壁面に描かれたもの。再結成を待ち望んでいたファンの興奮が伝わってくる

日本に押し寄せるのは観光客だけじゃない! 世界のトップミュージシャンの日本公演が続々と決定! しかも、特定の世代を"狙い撃ち"するようなラインナップも!? 音楽ジャーナリストの柴那典氏に、今年要注目の来日アーティストを紹介してもらった!

【写真】大御所から中堅、期待の若手まで……

■年明けからいきなり豪華公演がめじろ押し!

昨年8月、待望の再結成を発表したUKの伝説的ロックバンドであるオアシスのほか、今年も数々の海外アーティストが来日する。しかも、その日程を見ると、年明けから豪華アーティストの公演がめじろ押し。音楽ジャーナリストの柴那典(しば・とものり)氏は、この盛況ぶりを次のように解説する。

「コロナ禍により長らく海外渡航が制限されていた鬱憤を晴らすかのように、昨年から有名ミュージシャンの来日公演が一気に増えました。しかも、近年は世界ツアーのパッケージ化が進み、欧米が冬である1、2月はアジア、オセアニア地域を巡る日程が組まれるようになりました。

東南アジアやオーストラリアが暖かいので、そこを回るついでに日本にも来るわけです。そのため、この時期は音楽ファンにとって要注目のラインナップが並びやすいのです」

特に今年は初開催の洋楽フェス「ロッキング・オン・ソニック」(ロキソニ)が1月4、5日に開催。

「そのため、年初からその出演アーティストの単独公演が相次ぎます。プライマル・スクリーム、パルプ、ウィーザーは『ロキソニ』の看板アーティストであり、"洋楽"といえばUS・UKのロックを指していた90年代から00年代にかけてブレイクしたバンドたちです。

その時代に青春を過ごした人々を狙い撃ちにしたラインナップで、確実な集客が見込まれます」

同時代にブレイクしたロックバンドの来日は続き、1月はエイジアン・ダブ・ファウンデイション、2月はシガー・ロス、3月はジャック・ホワイト(元ザ・ホワイト・ストライプス)などが並ぶ。

「彼らは"洋楽"が全盛だった時代にデビューしており、同じジャンルで人気・実力共に代替できるような若手が出ていないことも、日本で息の長い人気を保ち続けていられる理由でしょう」

2月にはUSのロックバンドである、マルーン5の東京ドーム公演3デイズも。

「彼らもキャリア20年を超えるベテランですが、その人気の理由はほかのバンドと少し違います。10年代に海外でロックからヒップホップへとポピュラーミュージックの主流が移り変わる中で、マルーン5はブラックミュージックを取り込むことで時代に適応してきました。

だからこそ、『あんなのロックじゃない』という批判もあったのですが、そうした声を乗り越えて常に新しいファン層を獲得してきた。東京ドームを3日間も埋められる、数少ない現役ロックバンドだと思います」

■再ブームもあれば、引退ツアーもある

2月には累計アルバムセールスが1億枚以上のリンキン・パークが来日。ただ、昨年までメンバーの逝去により長らく活動を休止しており、このたびの来日公演は新たなボーカルを迎えた新体制のお披露目ライブでもある。

「ボーカルが男性から女性に代わり、賛否両論ある中での来日となります。バンドにとっては今後の試金石になるツアーですし、往年のファンにとっても期待と不安が入り交じった新鮮なライブになるのではないでしょうか。

また、彼らが代表する"ラウドロック"というジャンルは、近年の海外で再ブームの兆しを見せており、日本でもあらためて注目を集めています。

同月末のグリーン・デイが東名阪の全公演でソールドアウトしたり、共に同時代で活躍したオフスプリングが4月に来日したりすることも、その人気を裏づけています」

ベテラン勢が気を吐く一方、さらに世代が上のレジェンドたちは、今回で「ツアー引退」をうたった来日公演を行なう。

「2月のミスター・ビッグ、4月のシンディ・ローパーがこれで最後。ファンにとっては寂しい限りですが、そもそも引退ツアーを行なえる時点で、それだけ世界中から長く愛されてきた証拠。ファンとアーティストに強い絆がないとできないわけで、すごく幸福なことだと思います」

さらに「今見ておかないと、いつ引退でもおかしくない」年齢のアーティストも。

「電気グルーヴがスペシャルゲストの2月のニュー・オーダーはキャリア40年以上。しかも、8年ぶりの来日ということもあり、次があるかどうかわかりません。

4月に日本武道館6デイズを行なうエリック・クラプトンに至っては、なんと今年3月で80歳です。まさに『今回が最後』でもおかしくはありません。『あのとき見ておけばよかった』とならないためにも、もし迷ったらチケットを取るべきですね」

■なぜオアシスには若者も熱狂するのか?

そして、10月はオアシスの来日公演が控える。2009年の解散以来、実に16年ぶりの世界ツアーであり、各地の公演はほぼ即ソールドアウト。昨年は日本でもチケット争奪戦がニュースになった。

「これは"ラウドロック"の文脈で話したのと同様、海外で90年代から00年代にかけてのロックが再評価されている流れの一環だと思います。しかも、当時最強のカリスマバンドはUSならニルヴァーナ、UKならオアシス。

ただ、ニルヴァーナはボーカルのカート・コバーンが亡くなっていることもあり、再結成は不可能です。というわけで、オアシスが『生ける伝説』として神格化されるほどの評価を獲得したのだとみています」

しかし、オアシスの再結成には最盛期を知らない若い世代も熱狂している。

「これは日本と海外で事情が違うのですが、特に欧米では10年代以降、ロックが明らかに力を失っていました。しかし、最近になって音楽のトレンドが一周し、若い世代がロックに回帰する現象が徐々に起こっています。

加えて、オアシスは解散後も中心メンバーのギャラガー兄弟がおのおのソロで活動しており、世界中で人気を博しています。ボーカルのリアムなんて、解散直前の時期よりも声に力が戻っており、懐メロではなく、現役のミュージシャンとして再ブレイクすることに成功しました。

要するに、今回の世界ツアーは『今再結成したらすごいことになるのでは?』という期待が膨らみきっていたタイミングでの発表でした。ロックが輝いていた時代の伝説のバンドが、現役感バリバリの状態で見られるかもしれないという予感。それがこれほどの熱狂を生んでいるのです」

では、日本の事情とは?

「日本はロックが海外ほど衰退しませんでした。アジアン・カンフー・ジェネレーション、アレキサンドロス、サチモスといったUKロックに強い影響を受けた日本のバンドが各年代に活躍したことで、オアシスのような音楽が時代遅れにならなかった。

日本は欧米と違って人気が一周しておらず、高い人気を保ったままでの再結成だから若い人も反応したわけです。いずれにせよ、オアシスは今年最注目の来日公演で間違いありません」

■ベテランだけでなく、若手にも注目しよう!

日本ではライブ市場が成長を続ける一方、洋楽のライブに関してはしばらく売り上げが落ち込み、「冬の時代」といわれたこともあった。しかし、今年の来日公演の豪華さを見る限り、その心配はなさそうだが......。

「そんなことはありません。実際、最新の"洋楽"に対する日本人リスナーの興味は下がり続けています。今回紹介したのは中堅からベテランばかりです。

US・UKのロックが人気だった時代にブレイクしたから伝説として若い世代からも憧れられているわけで、今の新鋭アーティストたちが日本で彼らと同程度の人気は獲得できていません。

例えば、ベンソン・ブーンという22歳の若手ミュージシャンは昨年のビルボードでシングルが世界1位となり、ツアーも完売が続出しています。しかし、1月に行なわれる彼の初来日公演は3000人ほどのキャパのライブハウスです。

2月来日のオーロラレミ・ウルフも今まさにブレイク中の若手ですが、海外と日本の認知度に差がありすぎる。UKロックの正統後継者であるフォンテインズD.C.も、日本でロックが衰退していなかったことを踏まえると、もっと人気になっていいはず。

彼らの公演で空席が目立つことになれば、今後の来日は難しいかもしれません。これからも日本で世界中のアーティストが見られる環境を維持するためには、次の世代も応援していくことが大切です」

日本の豊かなライブ文化を守るためにも、今年はぜひ来日公演に足を運んでみよう!

*ライブスケジュールは2024年12月24日時点

取材・文/小山田裕哉 写真/EPA=時事 Getty Images

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