女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2022年1月3日 記事は取材時の状況)
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「困っている人がいたら助けてあげなさい。それがいつか自分に返ってくるから」
小さい頃、親や学校の先生にそんな風に言われたことはありませんか? 確かに、長い目で見れば善意は報われると思いたいですが、現実には、その「お返し」がいつもいいものとは限らないようです。
◆新車を運転して親友とスキー場へ
今回お話を聞いたのは美穂さん(仮名・29歳)。あるとき、新車の全輪駆動SUVを買ったのを機に、親友の真美さん(仮名)と新潟の赤倉スキー場に行くことになったそうです。当時群馬に住んでいた美穂さんたちは、新潟に着いた日はホテルに泊まり、次の日にスキーをする計画でした。
「出発した日は、めずらしいほどの大雪でした。外も日没までまだ時間はあるのに薄暗くて。チェーンはつけていましたけど、本当にゆっくり運転していました。『これで外出たら死んじゃうね』なんて冗談を言い合っていました」
◆雪の中を薄着で歩く女性
その矢先、路肩を歩く細身の女性を真美さんが見つけたそうです。
「その女性はかなり薄着ですごく寒そうに歩いていました。思わず車を停めて声を掛けました。話を聞いたら、家に帰る途中で、家には子どもが留守番して待っているとのこと。子どもも心配だし、迷うことなくその女性を車に乗せて、家まで送ることにしたんです」
同性だったこともあって、抵抗は全くなかったといいます。
◆お礼をしたいと家の前で待たされる
その女性は人見知りだったのか、質問してもそっけない返事ばかりで会話もほとんどしなかったとか。30分ほどで女性の自宅前に到着すると、女性はお礼がしたいと言って二人を待たせたそうです。
「でも10分たっても20分たっても女性は家から出てこなくて。変だなと思って、真美と一緒に玄関まで行ってチャイムを鳴らしました。そうしたら、中からでてきたのはおじいちゃんだったんです。あの方のお父さんかなって思ったんですけど、そんな女性は知らない、一人暮らしだって言われて」
◆財布を盗まれた!
2人とも意味が分からず、一旦車に戻ることに。混乱していると、真美さんがあることに気づきます。
「真美が『あれ? 財布がない』って言い出して。2人もカバンを後ろにまとめて置いていたので、私のカバンに間違えて入れたんじゃないかって思って確認したら、私のお財布もなかったんです。2人ともカバンにお財布をいれた記憶があったし、同時になくすなんて滅多にないじゃないですか。あの女性は後ろに乗っていました。それで真美と顔を見合わせて『やられたね』って」
なんと助けた女性に財布を盗まれていたそうです。
似たような話で、ヒッチハイカーを乗せたら窃盗・強盗に遭ったという例は世界中でよくあるらしいですが…“雪の中を歩く女性”を助けたくなるのは人情ですよね。
◆財布に数千円しか入れてなくてよかった
「ホテル代もスキー場のお金も先に払っていたので、二人ともお財布には、昼食と飲み物が買えるくらいの数千円しかいれていなかったのが不幸中の幸いですね。スキー場で落とすといけないからって思っていたんですけど、まさかこんなところで役立つとは…。
それよりも、住んでいる方には申し訳ないですが、なんかそこは街灯もほとんどなくて、本当に不気味だったんです。知らない場所だし余計に怖くて。被害届も出そうと一瞬考えたんですが、それよりも早くこの場から立ち去りたかったんです」
なんで財布を盗ったんだという気持ちより、なんでこんな怖い思いをさせたんだという気持ちのほうが大きかったと、少し興奮気味に語ってくれた美穂さん。その後二人は急いでホテルに向かったそうです。
◆幽霊に遭遇するよりはよかった…
無事ホテルについたあと、2人は食事を楽しみながらようやくほっとできたそうです。
「おかしな話ですけど、真美と『財布盗まれたってわかってよかったね』なんて話しました。あんな場所に連れていかれて、何も盗らずに行方をくらましたほうが幽霊に遭遇したみたいでもっと怖いじゃないですか…。
幸い泊まったホテルは個人経営のペンションみたいなところで、つぎの日のお昼ごはんとかは、ホテルのオーナーさんが気を使っておにぎりとお茶をもたせてくれたんです。だから被害としてはそんなになかったんですけど。まあ最終的にはオーナーさんに助けてもらったので、自分にいいことが返ってきているんですが、人助けして損することもあるんですね」
そう苦笑いしながら話してくれた美穂さん。
人助けは良いことですが、特に知らない場所では自分の安全も十分考える必要があるかしれませんね。
<文/上田美羽>