元キー局アナの私が早めに“年齢非公表”にしたい切実な理由。「実年齢を伝えた途端…」

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2025年01月24日 09:10  女子SPA!

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 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第19回となる本記事では、「人はなぜ若く見られると嬉しいのか」について綴った前回に引き続き「見た目と年齢」というテーマを深掘りしていきます(以下、アンヌさんの寄稿)。

◆図書館で100人近い予約が入っていた書籍

 精神科医・和田秀樹先生の『60代からの見た目の壁』を図書館で借りようとしたところ100人近い予約があり、その関心の高さに度肝を抜かれた……、やっぱり多くの人にとり“見た目年齢問題”は気になるポイントだよね、と前回記させていただいた私。

 その後、話題の本を無事購入し読了しました。

 見た目は老化予防や寿命にかなり影響しており、いつまでもチャレンジを続け意欲的に生きていれば、見た目年齢もある程度若く保つことができるだろうと。

 おしゃれをすることや、適切な栄養摂取も大事であり、実は知性も見た目問題には非常に重要な影響を及ぼすのだ……など、ぜひ皆様にもお読みいただきたいのですが、特に印象的だった箇所を紹介させていただきます。

◆年齢バイアスは確かに存在する

 人気脚本家の中園ミホさんが、新聞の悩み相談の回答で、このようなことを書いていたといいます。以下は引用です。

「50代のころ、男性の仕事仲間から『中園さん、もう年齢を正直に言っちゃダメですよ。ガッカリされるから』と忠告され、すごく腹が立ちました。半世紀以上、一生懸命生きてきたのに、その年月を隠せっておかしいじゃないですか。実年齢を聞いてドン引きしたり、場を立ったりするような人とは付き合わなくていいのではないでしょうか」(日本経済新聞、なやみのとびら、21年7月8日)。

 不思議な数字マジックといいますか、現実問題、この年齢バイアス及びステレオタイプ、存在すると私も感じます。と言いますのも、私はラジオの人生相談コーナーを聴くのが結構好きでして。

 相談電話で非常に若々しいお声の女性が出られた際、だいたい45歳位かな?などと脳内で瞬時に相談者の容姿を勝手に想像するのですが、予想に反して、例えば60代後半だと分かった途端、脳内でその方の「見た目イメージ」が一気に変わる瞬間があります。

 これは私自身、非常に反省すべき点なのですが、皆様、その年齢に則した勝手な外見イメージ、自分の中に確立されていませんか? 本当に不思議ですが、40歳女性ならこんな感じ、70歳男性なら……と、髪の色から背格好、服の雰囲気まで、そのステレオタイプが漠然とでき上がってしまっているのです。

◆年齢という数字の“呪縛”

 私は今年40歳になりますが、この「40」、最強の「不惑」感、大人感を孕(はら)んでいませんか。見た目が35歳くらいにひと様からは見えていたとしても、実年齢を伝えた途端、その数字イメージが一人歩きをはじめる感覚があります。「意外と年齢いっているんだね!」みたいな。

 この「年齢、数字にこだわる文化」と言うのは日本、特にもしかしたら東アジア文化圏に多いのではないかとも感じます。例えば、アメリカのテレビ報道を参照してみた際、ある歌手がトランプ大統領の就任式で歌を披露するというニュースの際、わざわざかっこ付けで彼女の年齢を伝えることはしないでしょう。これが日本でしたら、読み上げないにしても、名前の横に(〇〇歳)の表記が文字スーパーでつけられることが時折ある気がします。

 見た目がフレッシュで、自分自身意欲満々に日々を送っているはずなのに、(〇〇歳)という数字の呪縛が後ろから急に襲いかかってくるのです。それがプラスの作用を及ぼすなら良いのですが、むしろ逆にさまざまな思い込みを他者に与えかねないというのが現実問題存在する訳で。

 〇〇歳はこんな服着ないよね、とか、〇〇歳だから子どもいるはずとか、〇〇歳で一人暮らしなんて、毎日寂しいに違いない、とか!! あとは、すごく若作りに必死だね、なんていうよくわからない悪口につながったり。

 時折、年齢非公表という方がいらっしゃいますが、最近になってその理由がよく理解できるようになってきました。

 それは若く見られたい、といった単純な理由ではなく、数字が先行して余計なバイアスを他人に与えることで、自分の仕事やプライベートでのさまざまな可能性を潰したくないから、ということではないかと想像します。

◆年齢非公表にしたいけれど……

 先日、同世代の友人に、私自身早めに年齢非公表にしたいと思うときあるなあ……とぼやいたところ、わかるわかる! と大いにその場が盛り上がりました。

 でも! 非公表にしたらしたで、誰かが卒業アルバムをどこからか引っ張り出してきて、「実は〇〇歳なんだよ、この人!」って言ってネット上が盛り上がるに違いないと言われてしまい、そうなのかなあとシュンとなってしまいました。

 この数字マジック、どうにかなりませんかね? まずは名前の後ろのかっこ付きの年齢表記、ちょっとしばらくやめてみませんか?

 なーんて言ってはみるものの、この連載の見出しにもよく「39歳元アナウンサー」なんて書かれているわけで、それが確かにキャッチーになっている部分があるのも確かなんでしょうね……。ああ、数字問題、ややこしい。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中

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