雅子さまが、「筆が軽やかですね」と語られながら、天皇陛下と愛子さまもご一緒に頷かれつつ絵画をご覧になっている。1月27日、天皇ご一家は国立西洋美術館を訪れ、フランスの印象派の画家・モネの展覧会を鑑賞された。
新年一般参賀、講書始の儀や歌会始の儀といった1月の恒例行事や、阪神・淡路大震災30年追悼式典へのご出席も無事に終えられ、陛下と雅子さまにとっても、心休まるひと時だったはずだ。しかし時折、雅子さまのご表情からはあるご決意が伝わってくるようだったと、皇室担当記者は語る。
「今年は終戦から80年という節目の一年です。例年の地方ご公務に加え、凄惨な地上戦が繰り広げられた沖縄、原爆の惨禍に見舞われた広島・長崎、そして4月には日米両軍で3万人近くが戦死する激戦が展開された硫黄島へのご訪問が調整されています。
上皇ご夫妻から『慰霊の旅』を受け継ぎ、令和の御代での新たな形を模索するうえで、すでに天皇陛下と雅子さまは、侍従を通じて資料を集め、目を通されているそうです。展覧会の最中であっても、“令和流の祈り”についてお考えを巡らされていたようにも感じました」
さらに、3月に国賓として来日予定のブラジル大統領夫妻をはじめ、大阪・関西万博のタイミングで日本を訪れる外国王室の接遇など、両陛下の国際親善でのご活動も数多くなることが見込まれている。まさに、激動の一年となることが確定的になっているのだ。
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そんななか、激務に臨まれる両陛下に側近たちはご静養を勧めていると、宮内庁関係者は明かす。
「雅子さまのご体調面も鑑みて、側近は両陛下にご静養を熱心に勧めていると聞いています。行き先については、降雪もある那須御用邸ではなく、皇居からも近い葉山御用邸が有力候補となっています。現時点で陛下のご裁可は下っておりませんが、3月までには葉山で静養し、英気を養っていただきたいものです」
天皇陛下と雅子さまが葉山御用邸で静養されれば、2012年11月以来、約12年ぶりのこととなる。御用邸の近隣住民はこう振り返る。
「葉山御用邸は、美智子さまのご友人が複数いらっしゃることもあり、上皇ご夫妻がよく滞在されてきました。お越しになった際、『小磯の鼻』と呼ばれる小さな岬でのお声がけを、住民たちが楽しみに待つのが恒例となっています。
天皇ご一家はお見えになれば久しぶりのご滞在となりますが、愛子さまが幼かったころ、御用邸裏の海岸に両陛下とお出ましになって、地元の子供たちと交流されていたお姿が懐かしいです。ぜひ両陛下と愛子さまにも久々に葉山に来ていただき、お声がけいただきたいものです」
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葉山御用邸の裏手にある浜辺で、雅子さまに抱っこされた愛子さまが、打ち寄せる波に驚かれるご様子は、住民や取材した記者にとってほほ笑ましい光景だった。前出の皇室担当記者も、
「海岸に足を運ばれれば、愛子さまの幼いころのご様子を思い出されながら、ご一家にとって癒しのひと時となるでしょう。そして、4月から始まる“新たなる慰霊の旅”へのご準備にも臨まれるのだと思います」
国内で戦争の記憶と記録を受け継ぐ場所のみならず、日本から遠く離れた悲劇の地へも――。
■令和の御代でも継承する慰霊の旅路
1月31日、政府は7月に両陛下がモンゴルを国賓として公式訪問される方向で調整していることを発表した。歓迎行事などのほかに、戦後同国で倒れた日本人たちの御霊に、両陛下が祈りを捧げられる日程も検討されているという。
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「第二次世界大戦後、旧ソ連によってモンゴルに移送された抑留者は約1万4千人。うち2千人近くが亡くなっています。首都・ウランバートル郊外には、日本人抑留者の慰霊碑があり、2007年に皇太子時代の天皇陛下が同国を公式訪問した際、供花されています。当時雅子さまも同国への訪問を望まれたものの、ご体調のさらなる悪化が懸念されたため、結果的に断念されたのです。
天皇皇后によるモンゴルへのご訪問は初めてですし、雅子さまはこのご訪問にかなり強いご決意を抱かれていらっしゃるようにお見受けしています」(前出・皇室担当記者)
陛下と力を合わせて臨まれる令和の慰霊の旅は、どのように形作られていくのだろうか。名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんはこう話す。
「戦時下のご体験を持つ上皇ご夫妻と異なり、天皇皇后両陛下は戦後生まれです。しかし、“戦争の記憶を忘れずに受け継ぐ”というご意志が、積極的なご訪問に表れていると思います。
両陛下は、上皇ご夫妻の足跡をたどりながら、先の大戦の記憶の継承の連続性を示されようとなさっているのではないでしょうか。さらに、日本人抑留者の慰霊碑へのご訪問は、抑留という痛ましい歴史に光を当てていくという意義も大きいように感じています」
ご家族での思い出に癒されながら、18年前の心残りを晴らすため、雅子さまは春に向けて静かに情熱を燃やされている。
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