歌詞の表示もできた! 平成の「CDカラオケ」文化【山下メロの平成レトロ遺産:062】

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2025年02月05日 17:10  週プレNEWS

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背景画像や歌詞表示などにも対応

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

【写真】今週のレトロ遺産!

現在主流となっている通信カラオケ普及前の商業カラオケ文化は、テープなどの物理メディアが中心だったことを過去の連載でお伝えしました。

これには磁気テープの8トラ、そして映像用光学メディアであるレーザーディスク(LD)によるレーザーカラオケ、LDと覇権を争ったVHDにもVHDカラオケが存在しました。もうひとつ、忘れてはならないのがCDによるカラオケ文化です。

通常のCDカラオケは、8トラやカセットテープのカラオケと同じく、モノラルの演奏と歌を別々に収録して歌を消せる「音声多重カラオケ」が基本でした。

そこに「CDグラフィックス」(CDG)という規格を用いた「CDGカラオケ」が登場します。対応プレイヤーをテレビに接続すれば、色が変わる歌詞の字幕を表示、または歌詞に加えて静止画のスライドショーを表示できました。

これは音声トラック以外の未使用のデータ領域に映像データを入れることで実現。ただし、データ容量が小さすぎるため、昔のパソコンゲームくらいの画像しか出せませんでした。

映像のクオリティはレーザーカラオケに遠く及ばないものの、歌に合わせて歌詞を表示できることで商業カラオケとしての能力は満たしていたのです。何よりメディアも再生機器もコンパクトなので、レーザーカラオケに比べて圧倒的に場所をとりませんでした。

映像の質が劣ることもあり、当時のカラオケボックスではレーザーカラオケより安く歌える「CDの部屋」として提供されることが多かったようです。しかし、より小さい機器の通信カラオケが普及して、CDGカラオケも見かけなくなっていきました。それゆえ、あまり知られていません。

しかし当時、過去の音源を流用して大量のカラオケCDGソフトが作られ、無数の背景画像が描かれました。日の目をあまり見なかったこの画像たちこそが、今にしてみると大変味わい深いのです。

撮影/榊 智朗

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