ホンダ・日産統合「破談」 トランプ氏の米国第一主義に屈した再生計画

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2025年02月07日 17:20  web女性自身

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ホンダと日産自動車がぶち上げた経営統合が、協議入りからわずか1カ月余りで頓挫した。日産の反発を招いたホンダによる子会社化案が決定打となったが、経営危機に瀕する日産の緩慢な「ターンアラウンド(再生計画)」が元凶だ。販売不振が深刻な米国で国内雇用を重視するトランプ米大統領を前に、リストラのアクセルを踏み込めなかった。



日産が昨年11月に発表した今期中間決算は、連結純利益が前年同期比で9割超落ち込んだ。主力の米国市場で売れ筋のHV(ハイブリッド車)を投入できず、中国市場でもEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)が劣勢に立たされている。そこで打ち出したターンアラウンドが、世界の生産能力2割削減と、9000人規模のリストラだ。



ターンアラウンドの遂行は、統合の「絶対条件」(三部敏宏・ホンダ社長)だった。ホンダ側は日産の実行力を見極めていたが、まず明らかになったのが子会社である日産車体湘南工場(神奈川県)の再編。それも商用車の生産縮小と、最大でも数百人規模の削減にとどまり、ホンダは肩すかしを食らった。



稼働率が落ち込む米国内の工場が本丸のはずだが、日産が今年1月に表明した計画も弱腰だった。対象はキャントン(ミシシッピ州)とスマーナ(テネシー州)の二つの完成車工場のほか、エンジンを生産するデカード工場(テネシー州)。いずれも生産量を縮小するものの、ライン閉鎖まで踏み込んでいない。3工場で計約1万2000人を抱える従業員も整理解雇でなく、希望退職の募集にとどめる。



こうした生煮えのターンアラウンドは、トランプ大統領の再任と無関係ではない。米国への投資と国内雇用を重視する米国第一主義を貫き、高関税をちらつかせて相手国の譲歩を引き出す「ディール(取引)外交」に日産は屈したといえる。



トランプ氏は今月、メキシコに対して25%の関税を課す方針だった。日産が主戦場の米国で販売する3割弱の年間約30万台がメキシコからの輸出。実行されれば、瀕死の日産を直撃する。メキシコ政府の譲歩で発動は延期され、結果的に救われた。



トランプ氏の報復を恐れる日産のターンアラウンドに業を煮やしたホンダが提案したのが、日産の子会社化案だった。持ち株会社を設立して両社が傘下に並ぶ構想だった日産側は反発したが、自縄自縛にほかならない。



昨年12月の共同会見で、日産の内田誠社長はこう振れ込んだ。「1+1が3になるようにしたい」。フルスロットルが演出された統合協議は、日産の空ぶかしで停止した。



(文:笹川賢一)

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