12日、株式新聞公式YouTubeチャンネルにて、「投資家必見!日本経済及び株式市場の現状と今後&注目銘柄!イノベーションホールディングス代表に直球質問」と題し、二部構成の特別対談が公開された。
第一部で経済アナリストの森永康平氏と株式新聞の鈴木草太編集長、フリーアナウンサーの佐田志歩氏が日本株市場の現状と今後の見通しについて対談し、第二部ではユニークなストック型ビジネスで連続増収中の東証プライム市場上場のイノベーションホールディングス <3484> の原康雄社長に、森永康平氏とフリーアナウンサーの佐田志歩氏がインタビューを行い、事業の特徴や増収を続けている秘訣などを深掘りした。
<第一部>
2025年に入り、新NISAが始まった一方で、実質賃金はマイナス傾向が続いており、デフレ経済から本格的にインフレ経済へと移行するのかが注目される中、経済アナリストの森永康平氏は、足元の物価上昇はインフレだが、経済構造としてはまだデフレに回帰するリスクが残っていると指摘。そのリスクを高めるのは、消費が弱い時の増税や社会保険料の負担増、金利上げであると述べた。
また、インフレ経済に今後移行した場合、現金保有や低金利での貯金は資産価値が目減りする可能性があるため、森永氏は資産の一部を株や不動産に投資することを推奨。新NISAはインフレヘッジという意味でも非常に良い制度であると評価した。24年の株式市場はボラティリティが高く、日経平均が1日で4000円動いたり、メガバンクなどの大企業が不祥事なしにストップ安になったりするなど、右往左往する投資家にとっては難しい相場であったと振り返った。25年の株式市場については、トランプ大統領の影響を受ける可能性があり、関税問題や為替変動、地政学リスクなど、複数のシナリオを提示。いずれのシナリオも日本株に打撃を受ける可能性があるため、銘柄選択が重要であると述べた。
一方、株式新聞の鈴木編集長は、日本株が上がる条件として、企業経営改革や明確な賃上げ継続を挙げ、市場関係者の25年の日経平均の高値は4万4000円台、年末値は4万5000円程度が一番多い予想だと紹介した。
森永氏は、積み立て投資枠についてはオルカンやS&P500が定番化しているものの、他の投資信託を組み合わせることも可能であると指摘。新NISAの成長投資枠では個別株投資が可能となるが、大型のディフェンシブセクターが無難と述べた。株主優待や配当銘柄を選ぶ際は、配当利回り4−5%の大型高配当株を狙うのが良く、配当性向は4割、5割が目安になるとした。
<第二部>
イノベーションホールディングスは東京を中心に首都圏の飲食店向け居抜き物件に特化し、不動産オーナーから賃借した物件を店舗出店者に転貸する店舗転貸借事業が主力。強固なストック型ビジネスモデルを確立していることから、コロナ禍やウクライナ情勢の緊迫化など、外部環境の変化があっても影響は限定的で、24年3月期に15期連続の増収を達成。今後も着実な成長に手応えを強めている。
原社長は、持ち株会社化の目的について、創業20年を迎え、メイン事業である店舗転貸借事業に加え、不動産売買事業と家賃保証事業を本格的に展開するためであると説明した。中核事業である店舗転貸借事業は、競合がいないユニークなストック型ビジネスであり、2600件以上の契約があることを紹介。これはスターバックスとマクドナルドの中間くらいの規模であると述べた。
事業拡大に向けて積極採用を行っており、人材不足が社会問題となっている中で、採用は計画通りに進んでいることを強調。営業部門のデジタル化やシステム化を推進し、人材教育も体系化していることが要因であると分析。また、店舗転貸借事業の強みは、地域に特化した強い営業社員にあると説明。そのノウハウを新しい社員に継承するのは難しいが、社員が会社や実務を好きで、誇りを持っていることが重要であるとした。
不動産売買事業と家賃保証事業は、店舗転貸借事業のノウハウやネットワーク、信頼があってこそ発展できる事業であり、今後注力していく方針。今期の業績は上方修正されており、中期的な事業展開についても、店舗転貸借事業の拡大や新規事業の成長など、具体的な計画を提示。森永氏は、イノベーションホールディングスが転貸借事業に特化している理由について質問し、原社長は、又貸しという言葉のイメージが悪いだけで、実際にはニーズがあることや、トラブル対応などノウハウを提供することで、ビルオーナーやテナントにメリットを提供できることを説明した。
また、今後の事業展開について、当面は関東地区に集中し、将来的には関西や海外への展開も視野に入れている様子。株主還元については、配当性向40−50%を維持し、増配も継続していく方針。森永氏は、原社長の長期的な視点や顧客との信頼関係を重視する姿勢を評価し、株主還元策も充実していることから、イノベーションホールディングスは長期投資に適した銘柄であると結論付けた。