今回紹介するのは、Tonbi「あいとう」だ。
文/村上麗奈
レトロポップを得意とするTonbiが作曲を、映像作家のたそやマロが作詞、映像を務めた今作。
エレクトロスウィングを思わせるサウンドは軽快でありながらどこか妖しげで、たそやマロによる歌詞と笑みを浮かべながら揺蕩う女性のアニメーション、紫色を軸にした高貴でミステリアスな色調がマッチすることでファンタジックで気品ある、それでいてどこか寂し気な世界を作り上げる。
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<もういいの この世では 痛くもない><どうでもよくなってく 忘れちゃいそうなの わたしのじんせい>といった歌詞は、寂しさをおぼえさせながらも悲痛なニュアンスはない。
無機質な歌愛ユキの歌声によって歌われているからであり、ステップを踏むような曲調ゆえでもあり、穏やかで愛のあるアニメーションによるものでもあるのだろう。
曲名通り悼みを取り上げた曲ながら、MVで描かれる黒い獣と女性の変わらない愛を描いている楽曲でもある。
動画と作詞の担当が同一人物であることによって映像と歌詞の関連性が強まり、ひとつの物語として何度も咀嚼したくなる楽曲だ。
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