エージーピー、航空業界の回復に乗り業績上積み期待―新たな取り組みも注目

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2025年02月17日 11:40  サーチナ

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サーチナ

 空港で航空機に電力を供給するエージーピー <9377> は、インバウンド(訪日外国人観光客)による国際線運航便の増加を背景に業績を拡大する。GPU(地上動力設備)の利用率向上に向けた新たな取り組みも注目されそうだ。

<インバウンド需要恩恵、空港内業務需要増>

 同社は駐機中の航空機にGPUで電力や空調を供給する動力供給事業や、空港施設・設備の整備や保守を展開するエンジニアリング事業を中心に、航空機のGSE(地上支援機材)、病院や介護・福祉施設向けのフードカートなどの、商品販売事業も手掛ける。

 25年3月期第3四半期累計(4−12月)の連結営業利益は9.2億円(前年同期比38%増)に拡大した。コロナ禍からの経済活動の再開に伴い、インバウンドの増加で運航便数が回復したことから、航空機への動力供給が伸びた。原材料価格の高騰に対しても、料金への価格転嫁を進めた。

 エンジニアリング事業に関しても、新型コロナで停滞していた設備の更新需要が活発化した。事業別では、主力の動力供給事業の売上高は前年同期比5%増と堅調だった。エンジニアリング事業も整備保守やビジネスジェット支援が拡大し、同13%の増収となった。このほか、商品販売事業の売上も拡大した。

 通期の営業利益予想は10.7億円(前期比1%増)を据え置いたが、第3四半期時点進ちょく率は86%に達した。もともと会社計画は保守的な傾向があり、足元の好業績を踏まえると、増額修正も期待される。

<GPU利用率底上げへ省エネ性検証>

 一方、成長に向けた新たな試みにも着手する。GPUは機体の補助エンジンを用いたAPU(航空機補助動力装置)と比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を10分の1以下に抑えられるが、同社はその導入効果の検証を進める。利用率向上に向け、詳細な分析結果を得て、航空各社にアピールする考えだ。2030年度末までに航空会社によるGPUの利用率100%(第3四半期末時点で55%)を目指す。

 また、空港全体のエネルギー使用を最適化するとともに、国のカーボンニュートラル政策に沿ったグリーン発電の確保にも着手している。
GPUを通じて航空機に電力を供給する同社は、再生可能エネルギーの活用拡大を推進し、カーボンニュートラル化の実現に貢献する方針だ。

 しかし、グリーン発電の導入は電力調達コストの上昇を招き、航空会社の負担増につながる可能性があるため、コスト最適化と安定供給の両立が不可欠となる。さらに、GSE(地上支援機材)の伝導化が進むことで電力使用量が増加し、それに伴う電力コストの上昇が懸念されている。伝導V化は航空業界のカーボンニュートラル推進に不可欠であるが、空港全体の電力料金が上昇する可能性があり、その最適化が喫緊の課題となる。

 こうした課題に対応するため、同社はEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入を検討し、電力需給の最適化と大型蓄電池の活用による負荷調整を進める。これにより、グリーン発電の導入によるコスト上昇を抑えつつ、空港全体の電力使用効率を向上させることを目指す。

 2026年3月期を最終年度とする中期経営計画では、売上高150億円以上、営業利益率10%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上の目標を掲げている。株主還元については、3年間の累積で配当と自社株買いを合わせた総還元性向100%以上を目指す。今期の年間配当予想は前期並みの45円だが、来期の上積みが視野に入る。
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