写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「子育て」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2023年2月6日 記事は取材時の状況)
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転職に結婚にと、環境が変わっても女友達は大事にしたいもの。夫や恋人とは違い、同性の友人には心おきなく何でも話せるという人もいるでしょう。永山恭子さん(仮名・29歳)にも、大学時代の頃から親しくしている女友達がいました。
「私も彼女もおしゃべりが好きで、電話やLINEで何時間でも話せる気楽さが好きでした。明るい性格で、買い物や食事に行くのも楽しかったのですが……」
そんな友人との距離感が微妙に変わってきたのは、永山さんが結婚してから。どんどん振る舞いがおかしくなっていった女友達について、お話を聞きました。
◆結婚して変わった友人との付き合い方
友人Aさんとは、大学で知り合い卒業してからも変わらず連絡を取り合う仲だったそうです。別々の会社に就職しても、近況報告を兼ねて週末のランチに行くのが楽しかったと話す永山さんですが、二年付き合った彼氏と結婚してからはAさんとの付き合い方が変わりました。
「入籍してすぐに妊娠したこともあって、なかなか会う時間が取れなくなりました。最初の頃はAも私の体調や結婚生活を気遣ってくれて、申し訳ないと思いながら電話やLINEで話すことがほとんどになりましたが、それでも大事にしたいと私は思っていましたね」
新生児の育児で睡眠時間がまちまちになり、AさんからのLINEが長時間未読スルーだったり食事に行くお店も子連れOKのところ限定になったり、「こちらの事情に付き合わせている」という実感はあったそうです。
◆「かまってちゃん」に変わっていく女友達
Aさんの様子が変わってきたのは出産後だったと永山さんは振り返りますが、仕事の愚痴や彼氏との喧嘩の話などを「聞いてよ!」と持ちかけることが多くなり、忙しいなか何とか時間を作って対応していたけれど、やはり以前のように何時間も話すのは無理だったといいます。
「いま思うと、『かまってちゃん』ですよね。私の話を聞いてよ、相手をしてよって、大変な事件を作っては連絡してくる感じでした」
さすがに疲れてしまった永山さんは、AさんからLINEが来ると少し時間を置いてから返信して、「いま外出していて」など相手ができないことをそれとなく伝えて話すことを避けていました。
◆電話で延々と愚痴るAさん
Aさんと疎遠になる決定的な出来事は、永山さんの子どもが保育園に入ってから起こりました。
仕事に復帰して時短勤務をこなしながら育児も家事もがんばっている永山さんは、仕事の都合でたまに訪れる振替休日を楽しみにしていました。子どもを保育園に送ってからゆっくり過ごせる平日は、永山さんにとってリフレッシュする大切な時間。
ある日、お昼になってAさんからLINEのメッセージが届き、「彼氏と喧嘩したから話を聞いてほしい」と読んだ永山さんは今日は話す時間がある、とすぐに返信します。
その頃Aさんは「上司の紹介で知り合った」と話すある男性と付き合っており、先日婚約したことを報告されていました。
「うれしい話だし、手放しで喜びました。子どもを実家に預けてふたりでお祝いしたし、内心ではこれでAも結婚生活の大変さがわかるかな、なんてことも思っていて」
電話があったのは午後3時、「歯医者の予約があって早退したの」と言うAさんに喧嘩の内容を聞いてみると、「元カノと会うのをやめてくれない」というものでした。
「ひどいよね」「婚約者がいるのに」としきりに同意を求めながら話を続けるAさんとの電話は二時間を超え、そろそろ保育園のお迎えの時間が近づきます。
◆電話を切ろうとしたらまさかの嫌味
「ごめん、保育園に行かないといけないから、後でまたかけ直してもいい?」
何とか言葉の隙間を見つけてそう伝える永山さんに、Aさんは「私より家庭が大事かあ、そうだよね」と大きなため息をついたそうです。
「今すごくつらいんだけどな」「でも仕方ないね」とひねくれたことを言い始めたAさんに永山さんはうんざりし、「だから、後でまた聞くから」と返しますが、それでも嫌味は続きます。
◆身勝手すぎるAさんにストレス
本当に時間が来てしまったので「ごめんね、また後でね」と言ったとき。
「もういいよ。幸せな人には私の気持ちなんてわかりっこないし」とAさんは忌々しそうな口調で言い放ち、そのまま電話を切られます。
「気持ちはわかるけど、私の都合も考えてほしいと思いましたね。嫌味に付き合うのが本当にストレスでした」
それでも、こちらから言ったのだしとその夜Aさんに電話しますがAさんは出ず、その夜は連絡がつかないまま終わりました。
◆ほかの友人から聞いたAさんのおかしさ
「さっきは話が途中のままで終わってごめんね。よかったらまた聞くから」とLINEを送った永山さんでしたが、Aさんから返信はなく数日が過ぎます。
さすがに気になった永山さんは、共通の友人であるBさんに連絡しました。
「Bから聞いたのは、Aは私と同じように彼氏との喧嘩とかノロケの報告をしていて、用事があるからと電話を切ろうとすると怒るという話でした。Bも既婚で子どもがいて、忙しいから夜でも長電話は難しいのですよね」
先日の婚約者との喧嘩の話もBさんは聞いており、「大変なのはわかるけど、少しは自分で何とかする気も持たないとね」などと話したそうです。
「私たちが結婚してから構ってちゃんになったよねって、Bも同じ感想を持っていました。結婚への焦りとかあるのかなと思っていたけど、自分もいい人と出会って入籍が決まったのだから、そっちに集中すればいいのにねってBと話したのですが……」
◆Aさんの彼氏は実在しない…?
永山さんが引っかかったのは、その“彼氏”です。
Aさんから聞いていたのは、「上司の紹介で知り合った別の会社の人で、向こうから熱心にアプローチされて付き合った」という男性でしたが、Bさんが口にするのは「上司から紹介された人がたまたま元彼で、やり直してほしいと懇願されて付き合った」と、まったく違うエピソードでした。
婚約に至る話も永山さんとBさんでは聞いている事情が違っており、「え、この彼氏本当に実在するの……?」と思わず口にするほど違和感があったといいます。
◆下手に関わらないほうがいい
「Bもきついことを言ったせいかAとは音信不通になっていて、今も連絡はないそうです。ほかにも共通の知り合いはいるからAの状態は探れるけど、何だかもう触れるのが怖くなりました」
低い声でそう話す永山さんは、付き合いを復活させてもまた同じことの繰り返しになると予想していました。
Aの彼氏が実在するのかどうかより、かまってちゃんになっているAそのものがまさに腫れ物であり、下手に関わるとどんなことに巻き込まれるか、距離ができてから関係のおかしさに気がついたそうです。
「Aに何があったのかはわかりませんが、私にも自分の生活がありそっちが大事なので、このまま疎遠でいいかなと思っています」
大事な女友達を失うことは悲しいですが、「いつまでも自分勝手を通す人とはやっぱりいつかこうなりますよね」と、永山さんは静かな口調で締めくくりました。
<文/ひろたかおり>
【ひろたかおり】
恋愛全般・不倫・モラハラ・離婚など男女のさまざまな愛の形を取材してきたライター。男性心理も得意。女性メディアにて多数のコラムを寄稿している。著書に『不倫の清算』(主婦の友社)がある。