『知らないカノジョ』主演・中島健人にインタビュー!「不安の中、三木監督作に出演できたのは幸運」

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2025年03月08日 19:50  All About

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映画『知らないカノジョ』はある日突然、主人公が今いる場所とは別の世界に入り込んでしまうラブストーリー。主演の中島健人さんに本作の魅力について、そして自身の活動についてインタビューしました! ※サムネイル画像:(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会
(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

中島健人さんの主演映画『知らないカノジョ』は、作家として成功していた主人公のリク(中島健人)が、ある日、目覚めたら出版社勤めの編集者になっており、やがて妻のミナミ(milet/ミレイ)と出会わない世界に来てしまったことに気付くという、ミナミとの関係を再構築していくリクのストーリーをコミカルかつロマンチックに描いた恋愛映画です。

本作の主演、中島健人さんに撮影の裏側から自身のターニングポイントなど、さまざまなお話を伺いました。

『知らないカノジョ』主演、中島健人さんにインタビュー

――『知らないカノジョ』で中島さんが演じたリクは、有名作家から、全く違う世界線に迷い込み、出版社勤めの編集者になります。人生が突然ガラリと変わり戸惑うという難役でしたが、どのように考えて撮影に臨んだのでしょうか?

中島健人さん(以下、中島):実は役作りはしていないんです。クランクイン前に三木孝浩監督とお話ししたとき、「これまで理論的に芝居を考えてきたと思うけど、この作品は感覚的に臨んでほしい」という言葉をもらいました。

そのときから、台本に対して深く考えず、ナチュラルな状態でセリフと向き合うことを意識しました。結果、リクとして自然な感情を作ることができました。

――中島さんにとって新しいアプローチのお芝居だったようですが、その経験によって見えたお芝居の新しい世界はありましたか?

中島:演技をするというのは虚構の世界を作り出すことで、それはうそでもあるのですが、実は真実と表裏一体でもあり、その絶妙なラインをどれだけ見せられるかということだと思うんです。今回はカメラの前でうそをつかない。できる限りナチュラルに赤裸々に見せていくことができたと思います。

――リクを演じるご自身を見て、自分の知らなかった表情などはありましたか?

中島:自分の見られ方を全く意識せずに演じていたので、泣くシーンも何もかもナチュラルな自分が出過ぎていて、正直、皆さんに見ていただくのが恥ずかしい(笑)。「こんな俺でもいいですか?」って思ったくらいです。

でもそんな自分の新たな一面を引き出してくれた三木監督、共演のmiletさん、この映画のチーム全員に感謝しています。

10年以上片思いしていた三木監督作!

監督の演出を受ける中島さん(右)と三木監督(左) (C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――中島さんは三木監督作品への出演を10年以上熱望されていたそうですね。三木監督の映画に惹かれたきっかけは?

中島:『アオハライド』(2014)で三木監督の映画に惹かれ、『陽だまりの彼女』(2013)で大好きになって、それ以降、三木監督の恋愛映画に憧れ続けていました。ラブストーリーに出演したくて、三木監督なら自分のいいところを引き出してくれるのではないかと思っていたんです。ただなかなか声が掛からなくて……。

『知らないカノジョ』で、やっと三木監督作に出演することができました。一番いいタイミングで出演できたと思います。

――いいタイミングとは?

中島:僕がグループを卒業し、新しい環境に飛び込む時期だったので、三木監督が「健人くんと僕が一緒に作品作りをするのは、今が必然だったと思う。新たなスタートを切るタイミングで、健人くんの俳優としての一面を引き出せるのがすごくうれしい」とおっしゃってくださって。

その後いただいたお手紙でも「健人くんのターニングポイントにこの作品を通して一緒に過ごせることは貴重です」と、うれしいお言葉もいただき、感無量です。僕自身も三木組に包まれて新しいスタートが切れて本当に良かったと思っています。

――新しいことを始めるときに、信頼できる人と仕事ができるというのは安心感もありますよね。

中島:個人として走り始めていたけれど、音楽活動はまだスタートしていなかったので、この先どうなるのかなと不安もあったんです。そんな中、三木監督の映画に出演できたのは本当に幸運だったと思います。

――映画を拝見しましたが、リクの揺れる感情、リアルでした。

中島:そうかもしれません。ちょうど僕自身、感受性が強く敏感だった時期で、実際に心が揺れることもたくさんありました。

「リクはのび太です」と監督に言われて戸惑う

大学時代のリクとミナミ (C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――実際に三木組の撮影に参加されて、いかがでしたか?

中島:三木組の現場は、もう三木監督の存在そのものが作品の演出に直結しているんです。現場の空気が、三木監督の柔らかさ、温かさで包まれていて、その柔らかな雰囲気がスタッフ、キャストに伝わり、ソフトな気持ちで撮影に臨めました。

――演出は厳しくなかったですか?

中島:厳しくありませんでした。でもだからこそ、自分に厳しくなれたのかもしれません。三木監督は、設計図は書いてくれるけれど、その先は「自由に演じてほしい」というタイプの監督。

アイドルやアーティスト活動に必要な、自分をカッコよく見せることはこの映画では必要なく、どれだけ自分を素直にさせられるかが大切。三木監督はこの作品を通して、素の自分と向き合わせてくれたと思います。
三木監督(右)の演出を受ける中島さんとmiletさん (C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――リクという青年をどう解釈しましたか?

中島:リクの解釈については、僕と三木監督は全然違っていたんです。作家として成功したリクはサディスティックで、自我が強くて、冷たい感じがいいのかなと僕は思っていたのですが、監督はリクについて「大人になったのび太くん」とおっしゃっていました。

そしてリクは困ったら、のび太がドラえもんに助けを求めるように、先輩の梶原さん(以下、カジさん/桐谷健太)に助けてもらう……。カジさんに頼ったり、のび太的な感情で演じたり、僕の予想と違ったのが、逆に良かったですね。

――リクが失敗しても立ち上がって、再び挑戦する姿は、のび太と共通するところかもしれませんね。中島さんは問題に直面したとき、どのように逆境を乗り越えますか?

中島:僕は悩んでいること、考えていることを作品に込めますね。もちろん作品にする以上、スタッフと相談はしますが、やはり自分の作品は、自分から発信される言葉や音楽だからこそ説得力が増すと思うんです。

楽曲提供された作品を自分の色に染めるのも楽しい作業ではあるのですが、これからは自分からにじみ出る思い、感情を作品として多くの人と共有していくことにも挑戦したいです。しんどい思いを作品にするのは大変ですが、作品が完成したとき“このための人生経験だった”と思えるので。すべての思いを作品に集結させていきたいです。

miletさんと桐谷さんと共演できる喜び!

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――ミナミを演じたmiletさんはミュージシャンとしての活動がメインでお芝居の仕事は初ですが、素晴らしい演技でした。共演していかがでしたか?

中島:もしかしたらmiletさん自身は緊張していたかもしれませんが、そのようなそぶりは全く見せなかったですし、完全に俳優でした。

撮影本番の15秒前くらいにmiletさんから話しかけられたとき、僕は中島健人として対応していたら、なぜか会話がかみ合わないんですよ。それはmiletさんがミナミとして僕に話しかけていたから。彼女はそのまま自然と本番に入っていってすごいなと。

「本当に初出演? そういう芝居のやり方、どこで学んだの?」と思いました。僕がプロデューサーならすぐ次作にオファーしているかも(笑)。それくらい素晴らしかったです。
(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――リクの良き理解者のカジさんとの関係もほほ笑ましかったです。桐谷さんとは『ラーゲリより愛を込めて』以来の共演ですよね。

中島:『ラーゲリより愛を込めて』で、桐谷さんととても仲良くなりました。プライベートでも一緒に食事に行ったりしています。大好きな俳優さんなので、カジさん役が桐谷さんと聞いたときは、とてもうれしかったです。

クランクイン前にテレビ番組でご一緒したとき「この映画、めっちゃええ作品になると思うわ、よろしく」と言ってくださったし、僕がグループを卒業するときも「健人の決断は間違っていないと思う。このまま突き進んでええんとちゃうの」と背中を押してくれて。もう普段からカジさんみたいな人なんですよ。

――プライベートでも面倒見のいい先輩なんですね。

中島:本当に大好きなので、僕は桐谷さんに恥ずかしげもなく「好き」と言っちゃうんです(笑)。それに対して恥ずかしいからやめて!と言わないところが桐谷さんのすてきなところ! 全身で思い切り飛び込んでくる人は、両手を広げて抱きしめてあげたいという人なんですよ。

撮影期間中、その日の撮影が終わって帰宅した後でもシーンのことで電話したりしました。桐谷さんは車で移動中でも車を止めて話し相手になってくれたんです。撮影中、本当にラブラブだったなあ(笑)。恋人役のmiletさんよりラブラブだったかもしれないです(笑)。

恋愛映画への恩返しをしたかった

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

――今回、念願の三木監督のラブストーリーに出演されましたが、ラブストーリーに出演したいという思いの意味は? 

中島:僕はラブストーリーが好きで、たくさん見てきたので、自分が楽しませてもらった恋愛映画への恩返しですね。自分が演じることで、映画を見てくださる方に何かしらの影響を与えられたらうれしいなと思っています。

ラブストーリーで勇気づけられて「明日告白しよう!」と思ってもらったり、愛を伝えるきっかけになれたりしたらうれしいですね。

――この映画をどんなタイミングでどんな方に見てもらいたいですか?

中島:少し立ち止まっている人におすすめしたいかな。長い人生、「これでいいのか……」と思うことが何度もあると思うんです。この映画はそういう気持ちになったとき、そのモヤモヤした気持ちを解消してくれる作品。そして、目の前の人や周りの人を大切にしたいという気持ちにもなれる映画だと思います。

僕自身、本当に「やりきった!」と思える作品なので、たくさんの方に届けたいし、リクとミナミの物語に共感していただけたらうれしいですね。

中島健人(なかじま・けんと)さんのプロフィール

1994年3月13日生まれ、東京都出身。

2011年11月にSexy Zoneのメンバーとしてデビュー。2024年3月にグループを卒業し、ソロアーティストとしての活動をスタート。キタニタツヤとのユニット「GEMN」を結成し、テレビアニメ『【推しの子】』第2期のオープニング主題歌『ファタール』をリリース。続けてソロデビューアルバム『N / bias』をリリース。

俳優としての近年の主な出演作は、映画『ラーゲリより愛を込めて』(2022)、映画『おまえの罪を自白しろ』(2023)。Huluオリジナル『コンコルディア/Concordia』(全6話、Huluにて独占配信中)で海外ドラマデビューを果たした。ソロ初のライブツアー「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡」が4月からスタートする。

『知らない彼女』大ヒット上映中

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

監督:三木孝浩
原作:『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon Inconnue)(ユーゴ・ジェラン監督/2021年)
出演:中島健人、milet、桐谷健太、風吹ジュン、眞島秀和、中村ゆりか、八嶋智人、円井わん
配給:ギャガ
(公開日:2025年2月28日)

(C)2025『知らないカノジョ』製作委員会

取材・文/斎藤 香

<参考>
『知らないカノジョ』公式サイト
(文:斎藤 香(映画ガイド))
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