衆院政治改革特別委員会で発言する自民党の小泉進次郎氏(中央)=12日午後、国会内 今月末を期限とする企業・団体献金見直しに関する国会審議が本格化してきた。衆院政治改革特別委員会では、「禁止より公開」を掲げる自民党が献金存続を重ねて主張。野党は異論を唱えるものの、各党案の違いも浮かび、多数派の形成に至っていない。残り半月程度で合意に至るかは見通せない。
「われわれは企業・団体献金禁止に消極的なのではなく、明確に反対だ」。自民の小泉進次郎氏は12日の特別委で、献金を死守する考えを譲らなかった。
立憲民主党と日本維新の会は、政治団体からの献金を除く「禁止」を主張。国民民主党は透明性の担保などを満たした政党のみ受け取れる仕組みを、公明党は上限額の設定をそれぞれ求める「規制強化」の立場だ。
衆院で自公は過半数を割っているが、立民・維新が結集しても過半数には届かない。各党が歩み寄らなければ法案の可決は不可能だ。企業・団体献金への依存傾向が強い自民は強気の姿勢を示している。
小泉氏は、与野党の一致点を探る努力に言及しつつ、「政党交付金と個人献金だけで地域に根付き、政治の活動量が上がるとは思えない」と禁止論に強く反論。立民の江田憲司氏が、1994年の「平成の政治改革」で企業・団体献金禁止は合意事項だったと迫ると、小泉氏は「明確な事実誤認だ」と切り返した。
立民と維新は国民民主の動向を注視する。立民の落合貴之氏は「野党が一本化する場合、国民民主の賛同を切に願う」と期待を示し、維新の池下卓氏は「ゆがみを正すため国民民主ともぜひ一緒にやりたい」と呼び掛けた。
しかし民間労組の支援を受ける国民民主は「禁止」と一線を画す。長友慎治氏は修正に向けた「与野党協議」を提唱し、「中間派」としての立ち位置を崩さなかった。
夏の参院選や東京都議選が迫る中、立民、維新は派閥裏金事件の究明と合わせ、自民に献金禁止を迫る構え。維新の岩谷良平幹事長は12日の記者会見で「『禁止ではなく公開』との詭弁(きべん)を弄(ろう)する与党に乗ることはあり得ない」と言い切った。特別委では「あと2週間で本当に結論を得ることが可能なのか」(国民民主の福田玄氏)との不安の声も漏れた。