
厚生労働省が発表した「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、セクハラがあった企業における相談件数は、過去3年間と比べ「減少している」割合が高くなっています。
【漫画】「若い子に嫉妬?」セクハラ男性社員を黙らせた一言とは【全編】
減少しているとはいえ、まだまだゼロになったわけではなく、職場での何気ないやり取りの中に、セクハラまがいの行為が紛れ込むことは少なくありません。まさにそのような場面に遭遇してしまったのは、出版社勤務のR子さん(女性・40代)。
それはセクハラでしょ!止めようとすると…
ある日の勤務中、社内の若い女性社員が、男性社員からしつこくちょっかいを受けていたのです。「かわいいね。彼氏いるの?」「今度飲みに行こうよ〜」。軽い口調で肩をポンポンと叩かれ…女性社員は断りづらいのか曖昧な返事をしています。
R子さんはさすがに見過ごせず、「ちょっと!やめなさいよ」と注意しました。しかし、返ってきたのは予想外の言葉。
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謎の「嫉妬認定」
男性社員は、茶化すようにこう言ったのです。
「オバサン、若い子が羨ましいからって嫉妬ですかぁ〜?」
…R子さんは耳を疑いました。どこからそんな発想が出てくるのでしょうか。こっちはただ、単純に、若い女性社員が嫌な思いをしないようにと注意しただけだったのに。なぜかR子さんは、若い女性に嫉妬する意地悪な先輩、という構図にされてしまいました。
「違いますよ。この年になると、若い子があなたみたいな人のせいで辛い思いをしないように守りたいんだよ」。そう言い返しましたが、彼は鼻で笑うばかり。その上、女性社員に向かってとんでもない発言をしました。
さらに飛び出した「最悪発言」…!!
「いや、でもさ、嫌がってないよな?」。男性社員はヘラヘラしながら、自分は悪くないと証明しようとしたのです。しかし、その瞬間、女性社員の表情がガラリと変わりました。そして口を開くと、重々しい声で「メッッッ…チャクチャ我慢してました…」と一言…。
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彼女は、今まで見たこともないようなすごい顔をしていました。もう、絵に描いたようなブチギレ顔。目は笑っていません。いや、むしろ睨んでいます。その瞬間、男性社員の顔が一気に青ざめました。
周囲の空気も凍りつき、彼はそれ以上何も言えなくなりました。おそらく、今までは「冗談のつもり」だったのでしょう。でも、それが相手にとってどれだけ不快だったのか、ようやく思い知ったようでした。
R子さんはこのあと、女子社員に呼び止められ「あのときにR子さんがズバッと注意してくださったから、私も勇気を出して“我慢していた”と言えました」とお礼を言われたそうです。
「若い女性が言い返せないでいるのが心配で注意しましたが、あんなブチギレ顔ができるなら、これから何が起こっても安心だな、と思いました」。R子さんは清々しい表情でそう語りました。
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職場にはさまざまな人がいます。軽い冗談のつもりでも、それが誰かを不快にさせたり傷つけたりすることは珍しくありません。しかし問題なのは、そうした行為を指摘されたとき、素直に受け止めるのではなく、指摘した側を「悪者」に仕立てようとする人がいることです。
今回のケースでも、男性社員はR子さんの注意を正面から受け止めるのではなく、「嫉妬」という言葉を使って意図をねじ曲げました。なぜでしょうか? それは、指摘の正当性を認めてしまうと、自分の行為が不適切だったと認めることになるからではないでしょうか。だからこそ、問題の本質をすり替えて「お前の感情は醜い」と論点をずらしたのです。
声をかけられていた女子社員が「自分は我慢していた」と賛同することで、やっと男性社員は自分の非を認めました。
「最初から、嫌なら嫌だと言えばいい」——そんな単純な話ではありません。立場の弱い人ほど、声を上げにくいものです。だからこそ、周囲が気づいたときに声を上げることが大切ですよね。その声をあげた人を、正しく受け止める人が増えてほしいと願うばかりです。
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◆はいどろ漫画 日常の事件や、身近なスカッと話をお届け!【はいどろ漫画】のInstagramで連載漫画を描いてます。
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【出典】
▽広報誌「厚生労働」2024年12月号特集