愛媛県伊方町の四国電力伊方原発3号機の安全性に問題があるとして、地元住民ら約1500人が原発の運転差し止めを求めた訴訟の判決で、松山地裁(菊池浩也裁判長)は18日、請求を退けた。
伊方原発は愛媛県西部にある佐田岬半島の付け根に位置する。住民側は原告数を増やしながら段階的に提訴し、審理は12年半に及んだ。争点は原発施設の地震や火山噴火などへの対策、事故時の避難計画の妥当性など多岐にわたった。
住民側は半島北側の断層帯「中央構造線」による地震リスクがあると訴えたのに対し、四電側は断層について適切に評価していると反論。原発施設の耐震性の目安となる基準地震動を650ガル(ガルは加速度の単位)としているのは妥当だとしている。
火山を巡っては、住民側は約130キロ離れた阿蘇山(熊本県)の巨大噴火の影響を過小評価していると指摘。四電側は「原発の運転期間中に巨大噴火が起きる可能性は低い」と訴えている。
避難計画の有効性も争いになり、住民側は道路の寸断などで退避が困難になることから「放射線被ばくを防げない」と主張していた。
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伊方3号機を巡っては、広島高裁が17年と20年に運転差し止めを認める仮処分決定を出し、いずれも四電が申し立てた異議審で覆されている。24年3月の大分地裁判決、今月5日の広島地裁判決はいずれも運転差し止めを認めなかった。【山中宏之】
四国電力伊方原発
四国電力が唯一、愛媛県伊方町に持つ原子力発電所。佐田岬半島の付け根に立地する。3号機(出力89万キロワット)は1994年に運転開始。2010年からはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電を実施している。1、2号機は運転を終了し、廃炉作業が進められている。
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