
大阪市平野区の廃業した銭湯で使われていたライオンの吐水口が、京都で改装中の銭湯に譲られた。
【写真】たちばな温泉から無事きれいに「生け捕り」されたライオン
京都・梅小路公園北側の旧花街だった島原で唯一の銭湯、「都湯−京都島原−」。元々、大正の終わり頃に島原温泉として開業した老舗だが経営者夫婦が相次いで亡くなり、廃業を迫られていた。
それを救ったのが、先に滋賀県大津市で銭湯の継業に成功していた都湯だ。サウナと水風呂が人気で、水風呂に設置されたライオンの吐水口をモチーフにしたグッズも販売している。島原にも設置したいとライオンの吐水口を探していたところ、廃業した大阪市平野区のたちばな温泉から「使って下さい」と声がかり、無事、男湯、女湯ともにライオンが揃った。都湯の代表、原俊樹さんに経緯を聞いた。
ーー平野区からライオンがやってきた経緯は?
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原:お客様には、都湯といえば水風呂、というイメージが付いているので、島原にもシンボルとなるようなライオンを探しました。都湯にもライオンを提供してくれた友人に再度相談すると、またあると言うんです。生け捕り(壁から綺麗に取ること)したもので状態も良く、まず一個は確保できました。でももう1個がなかなか集まらない。デッドストックなので探すのが本当に難しかった。
ある日、知り合いの石鹸屋の社長から「ライオン探していますか?」と連絡が来ました。大阪市平野区の廃業した、たちばな温泉で見つかったそうで、社長が交渉までしてくださいました。たちばな温泉の代表の方も「銭湯で活用してくださるなら」と快く承諾していただき、島原にやってきました。生け捕りできるかが心配でしたが、社長とスタッフがきれいに生け捕りしてくれて安心しました。男湯女湯に揃って、共に水が出ているというのはうれしいです。
ーー「都湯−京都島原−」はどんな銭湯になる予定ですか?
原:きれいに新しくというよりは「ほんまにずっとここにあったのかも?」と思ってもらえるように、いろんな銭湯からいろいろなものを受け継いでいます。番台も100年以上のもので、下足箱も譲り受けたものです。
昭和を残しながら、令和でも楽しめる機能性も併せ持つ銭湯にしたい。元通りにするぞ、というのがコンセプトです。近所の人と観光客の両方に来てもらえたらうれしい。銭湯の経営は厳しいと言われますが、オンライングッズ販売、商社業など様々な業態で動いているので心配していない。土地の方に喜んでもらえる銭湯になりたいです。
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SNSでは「揃ってよかった!」「京都は穏やかな顔のライオンしか見かけない、大阪に多いのか?」などの反響が集まった。
「都湯−京都島原−」は4月開業を予定しており、壁のペンキ絵などの準備も進んでいる。温泉だけでなく、当時の文化と令和の文化のミックスも楽しめる、貴重な場所になりそうだ。
(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)
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