
就職氷河期では、求職者の必死さに付け込んで失礼な面接をする会社も少なくなかった。東京都に住む40代男性(ITエンジニア/年収950万円)は「今から20年以上の前の話になります」と切り出し、当時の過酷な就活エピソードを語った。
「就職難の時代に訳あって大学を中退した私は、数年間フリーターをしながら就職活動を行っていました」
当時は新卒でさえ就職が厳しい時代。大学中退からの就活は「実質、社会人経験なしの高卒の中途採用枠を探すということ」で、かなり厳しい状況だったという。(文:國伊レン)
「なんも知らない若手に金払って、仕事させて、利益になるわけないんだよ。わかる?」
書類すら通らない中、男性は「100社、200社」と応募し続けた。中には面接までたどり着ける企業も数社あったそうが、やっとの思いでたどり着いた面接でも、酷い対応をされることがあったという。
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「代官山にあったITベンチャーの会社での出来事です。一次面接なのに社長自らが面接官でした。言われるがままに自己紹介をしていると、それを遮っていきなり説教が始まりました」
社長にも何か事情があったのかもしれないが、男性にとっては心外だろう。社長は堰を切ったように説教を始めた。
「あのなあ、今世の中がどうなってるか知ってる? どこの会社も生き残りに必死なんだよ。バブルの頃はよかったなあ。今はお前らみたいな、なんも知らない若手に金払って、仕事させて、利益になるわけないんだよ。わかる?」
ひたすら「世の中が悪いだの、今の若者は働かないだの」と聞かされ続けて1時間経ち、面接は終了した。合否についても「採用も不採用も連絡が来ませんでした」と、終始見下すような対応だったそうだ。社長もストレスが溜まっていたにしろ、あまりにも酷過ぎる。
「ブラック企業や勤め先の倒産」と波乱な社会人人生→現在は「それなりの待遇の会社で落ち着いた生活」に
「経営が苦しいのか、世の中が不況だったのは確かですが、それはバブル期に浮かれていたツケを払っているだけで、これから社会人になる側に何の責任があるのでしょうか」
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「20代そこそこでキャリア10年の人と肩を並べるぐらいの天才をお求めだったのか、わかりませんけれど(中略)仮に採用、と言われても行くつもりもなかったのでそれっきりです。ただ交通費を払って1時間説教されに行っただけでした」
その後、男性はなんとか就職先を見つけることができたそうだ。その後も「ブラック企業や勤め先の倒産」など数々の困難を乗り越え、現在は「人並みに稼げてそれなりの待遇の会社で落ち着いた生活」を手に入れたという。100社以上に応募し、その後も理不尽に負けずに懸命に働いてきた男性は立派としか言いようがない。
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