
接客業ではクレーマーなど厄介な客に遭遇することは避けられない。だが最近は毅然とした対応をする店も増えているようだ。
神奈川県の20代女性は、学生時代にアルバイトしていた個人経営のバーで遭遇した「クセモノ」の客について投稿を寄せた。それは「自称セレブなおばあさん」で、時々やって来ては、
「スタッフの中でも新人のことはほぼ無視、一度でも好きと思った人とはニコニコ話す気難しい人」
だった。だが、いつも着飾っていて身なりが良く、酒癖は悪くなかったため、店長からは「気難しいから大変だけど、なるべく愛想良く好かれる努力をしてほしい」と言われていたそうだ。(文:天音琴葉)
宝石のついたネックレスに「全部本物ですよね?」と言ってしまった
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ところがある日、「大ぶりの宝石がジャラジャラと並んだデザイン」のネックレスをつけていた高齢女性に、女性は口を滑らせてしまう。
「『すごいですねー! こんなに沢山! 全部本物ですよね?』と言ってしまったんです。勿論本物よ〜! フフン! と鼻高々になってもらえればと思っての発言でしたが……」
すると高齢女性は「瞬間湯沸かし器のように怒りが大爆発」したのだった。
「『アタシのネックレスが偽物だって言うの〜!?』と怒鳴り始めました。これには周りのお客も驚き、私は真っ青」
女性が「いえ、そういえ意味ではなくて……こんなに立派な宝石見たことがなくて……」としどろもどろで答えるも、高齢女性の怒りは収まらなかった。
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「『そりゃアンタみたいな小娘には見ても分からないでしょうねえ〜! そ〜んなオモチャみたいな“石クズ”しか着けられないアンタとアタシは違うのよ! 人を疑うなんて失礼すぎるわ!! 恥を知りなさい!!』。こうなってはひたすら頭を下げるしかなく……」
これは言いすぎで、クレーマー認定されて当然だ。常連客も黙って見ていられなかったようだ。高齢女性を取り囲んで「まあまあ、ほらせっかく来たんだから楽しく飲みましょう、ね」と宥めてくれたが、結局店長が割って入る事態になった。
「もう来なくていいよ。タクシー呼ぶから帰りな」
店長は後ろ手で下がるよう女性に合図し、まだヒートアップする高齢女性と向き合った。話をひとしきり聞いたあと店長は、
「そうだよ、あの子は小娘だよ。まだ若いし世の中も良く知らない。だったらあなたが『違うよ、本物だよ』で良いじゃない。小娘、小娘って言うならね、何でその小娘にそこまで怒るんだよ。うちのスタッフが気に入らないならうちの店に来ても面白くないだろ。もう来なくていいよ。タクシー呼ぶから帰りな」
と言って高齢女性を追い返したというのだ。女性は想定外の展開になり驚いたものの、嬉しかっただろう。閉店後、「迷惑かけてすみませんでした」と頭を下げると、店長は
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「来なくなっても(売上)変わんないから。うち、他所に比べたらうんと安く飲める店だろ。わざわざ着飾ってここ来てさ、(中略)見せびらかして金持ちぶりたいんだ」
と本音を吐露。おそらくこの件の前から高齢女性に思うところが多々あったのだろう。
結局、女性は大学卒業までこの店で働き続けたようだ。
「接客は楽しいことばかりではありませんでしたが、ずっと勉強ばかりだった自分には良い経験になりましたし、精神的にかなり図太くなり、就職後も役に立っています」
と振り返った。クレーマー化した客に毅然と対応する店長を見た経験は、社会人になった今でも生かされているに違いない。
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