TEAM UPGARAGEがメルセデス初陣でトップ争い。ルーキー野村勇斗もデビュー戦で速さをみせる

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2025年04月16日 07:20  AUTOSPORT web

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UPGARAGE AMG GT3(小林崇志/野村勇斗)/2025スーパーGT第1戦岡山
 4月13日に岡山国際サーキットで開催された2025スーパーGT第1戦『OKAYAMA GT 300km RACE』のGT300クラス決勝で、今季からメルセデスAMG GT3にマシンチェンジしたTEAM UPGARAGEが12番手スタートからトップ争いを展開。最後はリタイアに終わったものの、新車初レースで速さをみせた。

 中古カー用品&バイクパーツの買取・販売を手掛ける『アップガレージ』を全国に展開し、モータースポーツでも活躍しているTEAM UPGARAGE。スーパーGTでは2024年までホンダNSX GT3で参戦したが、今季は車両をメルセデスAMG GT3にスイッチ。ドライバーには昨年のFIA-F4王者でホンダ育成の野村勇斗を迎え、新体制で臨む。

 迎えた開幕戦の決勝は、スタート時に雨が強く降るウエットから、徐々に路面が乾いていくコンディションに。そんな難しい第1スティントを託されたのは「まずは慎重に、確実に小林選手にバトンを渡すために『冷静に行こう』と決めていました」と言うルーキーの野村だ。

 野村自身は“冷静に”と言うが、12番手からスタートしたUPGARAGE AMG GT3はオープニングラップから躍動。周回を重ねるごとに順位を上げ、20周過ぎには7番手まで浮上してくる。

「タイヤがすごく良くてペースがあったので、オーバーテイクしながら順位を上げることができました。他車をうしろから見ているとトラクションが厳しそうな印象でしたが、僕たちのクルマはトラクションがありました。コンディションにうまくハマったのだと思います」と野村は振り返る。

 その後も前をいくライバルたちがピットインするなか、TEAM UPGARAGEは第1スティントを伸ばし、路面が乾いてきたタイミングでスリックタイヤに交換する作戦を採る。このため野村は、順位をキープしつつウエットタイヤの摩耗も抑えるという、ルーキーにはやや難しいミッションを課せられるが、タイムを落とすことなく走り続けた。

 しかし野村の背後には、おなじくピットストップを遅らせてポジションを上げてきた666号車seven × seven PORSCHE GT3Rの近藤翼が迫っていた。2台は数周にわたってテール・トゥ・ノーズでバトルを繰り広げ、45周目のリボルバーコーナーで近藤が前に出る。

 野村は「(666号車が)ミラーで後ろにいることは分かっていましたけど『落ち着いていれば大丈夫だろう』と思っていました。いつもどおり、これまでのフォーミュラレースで戦っているような感じで順位を守っていましたけど、最終的には抜かれてしまいました」と、このバトルでも冷静さを欠かさなかったようだ。

 しかし翌周、野村はUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIと接触しスピンを喫してしまう。この接触には「6号車が接近していることは分かっていたのですが、僕がターンインしているときにリヤから当てられてしまったので、どうしようもなかったです。当てられたことには少し思うところがありますけど、仕方ないですね」と、冷静さを心がけていた野村もやや感情が出た様子。

「でも、うまく復帰することができたので、直後には吹っ切ることができました」と言う野村はピットに向かい、ベテラン小林崇志が作戦どおりのスリックタイヤでコースに戻る。「スリックタイヤに変えるタイミングになるまで野村選手に頑張って引っ張ってもらい、良いタイミングでスリックに交換することができました」と小林。

 そしてUPGARAGE AMG GT3は、ウエットタイヤで首位を走行するLEON PYRAMID AMGがスリックに交換するためピットインするとクラストップに立つ。しかし、GT500クラス車両のストップでセーフティカーが導入され、2番手LEON PYRAMID AMGとの差がリセットされると、残り9周のアトウッドカーブで接触。小林はコース外に弾かれてしまう。

「トップ立つことはできましたけど、あまりタイヤが温まらず、65号車(LEON)にぶつけられてコースアウトして、タイヤがまた冷えてしまい、ペースを上げることができませんでした」と振り返る小林。

 UPGARAGE AMG GT3はこの接触で5番手にポジションダウン。小林はフィニッシュに向けて走行を続けたが、マシントラブルによって残り2周でリタイア。一瞬で天国から地獄に落ちてしまった。

「まぁ、もったいないレースでしたね……。勝てたかどうかは分からないですけど、少なくともポイントは獲得できたはずだったので、とにかく残念です。次戦に向けて問題点を洗いざらい出して改善していくしかありません。それだけです」と語る小林の表情は暗かった。

 一方、ルーキーながら光る走りをみせた野村は「結果的にはリタイアとなってしまいましたが、チームとクルマのポテンシャルは高いと思います。次戦の富士でまたトップ争いができるように頑張っていきたいです」と自信を深めたようだ。

 トラブルの原因はこれから詳しく調べられるとのことだが、UPGARAGE AMG GT3がメルセデス初陣でみせた上位争いは、今後の活躍を期待させるものだった。

[オートスポーツweb 2025年04月16日]

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