フォード・マスタングが躍動。ペインが2勝、モスタートも今季初勝利/RSC第3戦NZ

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2025年04月17日 12:40  AUTOSPORT web

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第3戦『ITM Taupō Super 440』が開催され、フォード陣営の第7世代マスタング"Gen3"が躍動する週末に
 恒例のF1グランプリ併催イベントを経て、海を渡ったRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの一行は、ニュージーランドのタウポ・モータースポーツパークに上陸。4月11〜13日に第3戦『ITMタウポ・スーパー440』が開催され、フォード陣営の第7世代マスタング“Gen3”が躍動する週末に。

 予選から“伏兵”マット・ペイン(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)と、古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)移籍の2023年王者ブロディ・コステッキ(シェルVパワー・レーシング・チーム/フォード・マスタング)が先行すると、初戦レース1と最終レース3はそのペインが。レース2ではチャズ・モスタート(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)が今季初優勝を飾っている。

 前戦3月中旬にアルバートパークで開催されたF1併催スプリントでは、名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)が週末4戦中2ヒートでワン・ツーを達成する盤石の強さを披露。来季のフォード陣営スイッチを前にGMシボレーとの勝利数を積算する結果となったが、そのGMシボレーは第3戦ニュージーランドでのレースウイークに、RSCに於ける新たなホモロゲーションチームとしてチャーリー・シュワルコート率いるチーム18を正式に指名した。

「本日はこのチーム18にとってエキサイティングな新たな章の始まりだ。大きな責任を担うことは間違いないが、我々にはそれを成し遂げるチーム、マシン、そして才能が揃っていると信じている」と決意表明したシュワルコート代表。

「GM(ゼネラルモーターズ)とシボレー・レーシングが強力な組織であるのには理由がある。あらゆるレベルの関係者が、我々のチームを温かく迎え入れてくれたことを心から感謝している」

 そのチーム18は2015年からGMの車両を投入しており、現在は2台のカマロZL1で選手権に参戦している。

「世界中で展開するGMのモータースポーツ活動は3つの要素によって支えられている。情熱的なカスタマーとファンの皆様、最先端の技術革新、そして素晴らしい人材だ」と続けたのは、GMのグローバル・モータースポーツ・コンペティション部門でエグゼクティブディレクター職にあるエリック・ウォーレン。

「スーパーカーであろうと、シボレーが世界中で参戦する他のレースシリーズであろうと、我々は勝利だけを目指している。チーム18、そしてシボレー・カマロを駆るすべてのチームとあらゆる形態で協力し、その目標を達成できることを楽しみにしている」

 そんなGMシボレー陣営の意気込みとは裏腹に、ここタウポの週末はフォード陣営が優位性を見せつける展開となり、土曜のレース1とレース2に向けた予選では、ペインとコステッキがそれぞれトップ10シュートアウトを制し、週末最初のポールポジションを獲得した。

「ああ、2回の予選セッションはどちらもかなり良いタイムで、どちらもほぼ同じタイムだったから、僕らペンライト・レーシングのフォード・マスタングはなかなか調子が良かったよ」と、昨年のここタウポ以来、自身3度目のポールポジションを獲得したペイン。

 一方、フォード移籍後初のポール獲得となったコステッキも「この結果には興奮している」とマスタングへの手応えを口にした。

「最後のラップはクリーンではなかったが、タイヤが2セットしかない分、少しは良くなったと思う。予選に向けタイヤセットを温存できたのは良かった。今週末はディック(・ジョンソン御大)とドクター(ライアン・ストーリー代表)がここにいないから、皆きっとソファで観戦しているだろう。今日は良いグリッドポジションを獲得できたし、それを活かしていきたいね」

 そのままオープニングヒートで先頭発進を決めたペインは、リードを維持して背後のセーフティカー(SC)発動の混乱にも動じず。キャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)とライアン・ウッド(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/フォード・マスタング)を率いて“マスタング表彰台”を完成させることに。


■「ああいう結末にはなりたくなかった」

 続くレース2では、スタートでポールシッターのコステッキに先行したモスタートが地力を見せると、ピットストップではドラマが勃発。コステッキはピットイン時にタイヤバリアに接触し、モスタートはクルーの意図しない角度でダイブしたため、両者とも貴重なタイムを失ってしまう。

 それでも残り17周でトップを奪取したモスタートがDJR艦隊を従えてチェッカーを受け、カーナンバーもカラーリングも、ドライバーも異なる連続“マスタング表彰台”を継続させた。

「今日は本当に特別な日だ! 予選は好調で、決勝に向け充分なスピードがあることは分かっていた」と、昨年7月のタウンズビル以来の優勝を果たしたペイン。

「良いスタートを切るだけで充分だった。そして、それができたんだ。最初のスティントは本当に好調で、SCが出ないことを願っていたのだけど、他のみんながピットインしたときに自分ひとりしかいなくて、ちょっと怖くなった。『ああ、こんなことが起こるなんて』ってね」

「でも、インラップで観客が拍手喝采しているのを見て、本当に信じられなかったよ。今日のペンライト・フォード・マスタングはかなり速かった」

 一方、激しい首位攻防の末にシーズン初勝利を手にしたモスタートは、対照的に「すごくタフな戦いだった」と振り返った。

「スティントの開始時と中盤はペースがすごく良かったんだけど、ちょっとタイヤのグリップが足りなくなってしまったんだ。ピットストップ後は、彼(コステッキ)と本当に激しく戦わなければならないことは分かっていた」と続けたモスタート。

「ターン4に進入しようとした際、彼が急激に右に出てくるとは思っておらず、こちらはすでにノーズが出ていた。ああいう結末にはなりたくなかったが、その後、彼がノーズを僕にぶつけてきたので『よし、これでフェアだ』と思った(笑)」

「もちろん、彼はリヤ周りに少しダメージを受けていたし、あんな風にレースをするのは避けたいところだが、粘り強く勝利を掴むことができてうれしいよ」


■人生で最高の週末に

 明けた日曜も予選トップ10シュートアウトでは「チーム全員がようやくまとまり始めたところだと思う」と語ったコステッキが連続ポールポジションを獲得。移籍後の初勝利が期待されるなか、6番グリッドからスタートしたペインが波乱に満ちたオープニングラップで力強い進捗を見せることに。

 コステッキはポールポジションからアントン・デ・パスカーレ(チーム18/シボレー・カマロ)を抑えてターン1に進入するも、両者ともにミスを犯して後続のドライバーに翻弄され、コステッキは3番手発進のウッドにもヒットされてしまう。

 これで4番手スタートのキャメロン・ヒル(マット・ストーン・レーシング/シボレー・カマロ)とペインが先頭に躍り出ると、8周目にペインがヒルをかわして首位へと浮上。ピットストップが完了する時点でペインは余裕のリードを保ち、3秒差で週末2度目の勝利を収めた。

「本当に特別な……信じられない気持ちで、言葉が出ないほどだ」と自身のキャリアでも“ブレイクスルー”と言える結果を残したペイン。

「自信を持って言えるのは、間違いなくモータースポーツ人生で最高の週末だったということだ。個人的な意見だが、おそらくもっとも充実した週末だったと言えるだろう」と安堵の笑顔を浮かべたペイン。

「本当に長いレースだった。先頭を走っている時間も長かったし、これは絶対にやり遂げなければならないことだと分かっていたが、言葉が出ないほどだ。本当にクールだ。チームはこのラウンドの前に本当に懸命に準備を整え、そして本当にうまくやり遂げた。おそらく明日には実感が湧いてくるだろうね」

 これでペインがランキング首位と46ポイント差の3位に躍り出た2025年のRSCシーズンは、オーストラリアに帰還しながらも引き続き島部開催となるタスマニア州へ。5月9〜11日にシモンズ・プレイン・レースウェイにて第4戦『タスマニア・スーパー440』が開催される。

[オートスポーツweb 2025年04月17日]

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