
AKB48メンバーで歴代最多劇場出演を誇る、"シアターの女神"・村山彩希(むらやま・ゆいり)が5月6日に東京・ガーデンシアターで卒業コンサートを行ない、峯岸みなみ、柏木由紀、中田ちさと、茂木忍、岡田奈々ら、OGメンバーが続々と登場。会場に集まった8000人のファンとともに彼女のラストを見送った。
■ゆうなぁもぎおんの揃い踏みにファンは悲鳴
オープニングはソロのコンテンポラリーダンスからスタート。そして村山が初めてセンターに立った『それでも彼女は』を年長メンバーとパフォーマンス。そこから『シアターの女神』『チャイムはLOVE SONG』と畳みかける。
最初のMCで、倉野尾成美から今の心境を聞かれた村山。「円陣で泣いてたのに、今はびっくりするぐらい楽しくて、これは、あっという間に終わるやつです(笑)。でもかみしめて行きたいと思います」と語った。
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ダンスアクトの『野蛮な求愛』ではNMB48キャプテンの小嶋花梨と、元SKE48キャプテンの斉藤真木子が登場。人見知りな村山が故に、姉妹グループメンバーのサプライズ登場は意外。斎藤は雑誌の対談が縁で、小嶋は小嶋からの一方的なラブコールで、共演が実現したのだそう。
会場が大きく沸いたのは、岡田奈々と茂木忍の登場! 村山と向井地美音との4人でユーチューバー活動もしていた、ゆうなぁもぎおんの大復活。特に茂木は芸能界を引退しているため、登場のシーンでは悲鳴にも近い黄色い歓声があがった。
また、ソロで登場したのは中田ちさと。選抜入りも1回と、グループ外での知名度はあまりないかもしれないが、村山にとっての恩人で、シアターの女神の名付け親。当時の思い出の曲である『夕陽を見ているか』を一緒に歌いあげた。
デビュー以来、ずっとチーム4のメンバーとして活動していた村山。「もし違うチームにいたら」を実現したコーナーでは、チームAらしい王道っぽさ、チームKらしい体育会系っぽさ、チームBらしいアイドルっぽさを、見事に演じ分ける。ひたすら劇場に出続け、様々な表現方法を手に入れた彼女の真骨頂だ。
このコーナーのラスト、「村山といえばやっぱりチーム4」ということで、村山が正規メンバーに昇格したときのキャプテンである峯岸みなみが登場! 今のAKB48では大黒柱としての存在を見せる村山が可愛い後輩として振る舞う姿が印象的だった。
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本編ラストは岡田奈々センターの『根も葉もRumor』、ロックダンスを取り入れて、アイドルファン以外にも大きな反響があった曲。そこには当時、グループイチのダンスメンバーだった横山結衣が復活。現役のダンスメンバーも加わって、新たな姿を見せてくれた。
■ファンの皆さんが作ってくれる空間があるからこそライブができる
アンコールに村山は真っ赤なドレスで登場し、卒業スピーチ。
メンバーに対して語りかけたのは、
「今日は昼と夜、私のわがままを詰め込んでしまって、それに嫌な顔ひとつせず付き合ってくれて本当にありがとう。皆に覚えさせるのは申し訳ないって何回も言ったんですけど、『ゆいりーさんが後悔のないようにやってください』とか『いや、むしろ覚えたいです』みたいな発言をいっぱいしてくれたおかげで、悔いのないセットリストができました。
そんな優しい後輩がたくさんいたからこそ、私もAKBにいて何かを残してあげたいと思えたんだと思います。
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今日の卒業コンサート、リハ中からやっぱりメンバーと離れるのは寂しくて、空き時間で話したことだったり、レッスン中ふざけたりとか、何気ない当たり前の思い出が懐かしくなってしまうのが本当につらくて。
だけど、私が今このタイミングで卒業することで残せることもあったんじゃないかなって。
AKBを先頭で引っ張ってきたわけではないけど、たくさんステージに立ってきて、後輩たちに言いたいこと、残せるかなって思うこと。『ステージは平等であって、ライブは楽しいんだよ』ってことを、何か感じ取ってくれたらなって思います。
そして、何よりファンの皆さんの声があって、ファンの皆さんが作ってくれる空間があるからこそ、ライブができていることをこれからも忘れないでいてほしい」
そしてファンの対して。
「私はけっこうネガティブだし、今日もずっと大丈夫かなって思ってたんですけど、最後までこうして自信を持ってステージに立てたのは、ファンの皆さんが作ってくれる温かい空気があったからです。
最初はただ単に劇場のステージに立ちたくて、毎回毎回出てたけど、気づけばファンの皆さんが作ってくれるあの空間、あの劇場が好きなんだなって気づきました。
劇場に立てなくなるのは本当に寂しいけど、これからもまだまだ成長していきたいと思わせてくれたのもファンの皆さんだったし、まだまだ色んな光景を見ていきたいなと思っていますので、ちょっと不器用なゆいりーをこれからも支えてくれると嬉しいです。
約14年間、私を支えてくださって、応援してくださって、見つけてくれて、ありがとうございました」
最後は、村山が「私っぽくないかもしれないですけど、歌詞が好き」という理由で選んだ『少女たちよ』を全員で歌いコンサートは幕を閉じた。
終了後、村山は囲み取材に応じた。
ーー卒業コンサートを終えた感想をお願いします。
村山 率直な感想はさみしい、悲しいよりも楽しかったが勝ってます。体力的にもまだまだ動けそうです。
ーー今、27歳ということで、人生の半分近くをAKBに捧げてきましたが、振り返っていかがでした?
村山 本当に14年間あっという間で、気づいたら27歳。本当に楽しかったし、この青春はもう2度と帰ってこないんだなと思うと、ちょっと寂しいですけど、また新しい成長ができるようにこれからも頑張りたいなと。
ーーAKBに入ったことで得たものは?
村山 人と比べられてしまう世界なので、周りと合わせるためには妥協も必要だし、自分を出さなきゃいけない時もあるし、臨機応変に対応する力がすごい身についたかなって思います。
ーー後輩に継承してもらいたいところは?
村山 昨日たかみな(高橋みなみ)さんがステージに上がられて、注目のされ方が偉大だなって思って。そこには及ばなかったなと思ってしまったんですけど、
ライブを楽しむことだったり、ライブの表現の仕方っていう、パフォーマンス面ではちょっとでも教えてあげられてたかなと。
ーーたかみなさんがAKB48 20周年の応援総団長として参加しますが、村山さんも何か期待していい?
村山 今のところ予定はないですけど、メンバーを見てプロデュースすることが大好きなので、ファンの方がそれを望んでくれるのであれば、ぜひやらせていただきたいという気持ちはすごくあります。
ーー今日の衣装を選んだ理由は?
村山 こういう形の衣装を着たいって言ったんですけど、そこから15個ぐらいデザインを描いてくださって、悩みに悩んで詰め込んだのがこの衣装です。
ーー6月15日まで在籍しますが。
村山 やりたいことがあって、私がプロデュースした昼公演を客観視したいんですよ。で、どう感じたかをメンバー1人1人にすごく言いたい。あとは劇場もいっぱい出たい。この1ヶ月ぐらい全然出れなかったので、もう全部出る勢いでファンの方の近くに行きたいなと思います。
ーー卒業後の活動は?
村山 「何でも屋」になりたいと言ってて。もう1回イチから自分を作っていきたいので、何でもやりたい。経験してないことを全部した上で、何が得意で不得意で、どこが伸びしろなのかっていうのを知りたいです。
ーーファンの皆さんにコメントをお願いします。
村山 約14年間、本当にお世話になりました。ファンの方がいてくださったからこそ、AKBとしてやり続けられたと思いますし、「シアターの女神」って肩書きを自信を持って最後まで貫くことができました。
以前にソロコンサートで「私はAKB劇場に人生を注ぎます」って言ったんですけど、本当に注げた気がします。これからもぜひ私と一緒に歩んでくださったら嬉しいです。本当にありがとうございました!
取材・文・撮影/関根弘康