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2025年05月13日 12:11 ITmedia PC USER
ASUS JAPANのゲーミングPCの中でも、妥協を許さないeスポーツプレイヤー、コアゲーマーをターゲットとしたフラッグシップが「ROG Strix SCAR」シリーズだ。
最新の2025年モデルでは、16型と18型のモデルを展開しており、CPUに24コアのCore Ultra 9 275HX、GPUにはNVIDIA GeForce RTX 50シリーズ Laptop GPUを備えている。今回はシリーズの最上位に君臨する18型のGeForce RTX 5090 Laptop GPU搭載モデル(G835LX-U9R5090)を入手したのでレビューしていこう。
●豪華な発光演出機能を備えた重厚なボディー
ボディーのデザインや基本構造は先行してレビューした同シリーズの16型モデルと共通で、そのまま二回り大きくしたようなイメージになっている。
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比較的シンプルな形状だが、発光演出が強力だ。天面のロゴ、キーボードバックライト、底部を360度カバーするライトバーに加えて、天面部分にドットマトリクスLEDでメッセージやアニメーションを表示する「AniMe Vision」を装備しており、派手な演出を楽しめる。
●ノートPC向け最新/最強のGPUを搭載
本機のGPUには、NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUが採用されている。2025年1月に発表されたノートPC向けのGeForce RTX 50 Laptop GPUシリーズの中でも最上位に位置するフラッグシップGPUだ。描画エンジンのCUDAコアは1万496基、24GBのGDDR7メモリを搭載するなど、ナンバー2のGeForce RTX 5080 Laptop GPU(CUDAコア7680基/16GB GDDR7)と比べても強力なスペックを持つ。
NVIDIA GPUをディスプレイに直結するMUXスイッチも搭載している。ノートPC向けのNVIDIA GPUは、通常はNVIDIA Optimus Technologyにより、CPU内蔵GPU(Intel Graphics)経由で接続され、アプリケーションに応じて自動的に切り替えて使われるが、Armoury CrateユーティリティーでGPUモードを「Ultimate」にすると、MUXスイッチによってNVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUのみを利用できる。GPU切り変えのロスがなくなるため、ゲームやアプリケーションによっては性能がさらに向上する。
●CPUは24コアのCore Ultra 9 275HXを採用
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本機が採用するCPUは、IntelのCore Ultra 9 275HXだ。Core Ultra シリーズ2の高性能ノートPC向けモデル(開発コード名:Arrow Lake)のラインアップ中でも上位から2番目に高性能なモデルとなる。
デスクトップPC向けのCore Ultra シリーズ2と同様のパフォーマンス志向の構成になっており、性能重視のPコア8基を含む24コア24スレッド、最大ブースト周波数5.4GHzという強力なスペックだ。
外部GPUの搭載を想定したウルトラハイエンドモデルのため、GPUコア(Intel Graphics)とNPUコア(Intel AI Boost)の性能は控え目だ。それぞれのAIパフォーマンスは、8TOPS、13TOPSとなっている。
●メモリとストレージは標準で大容量、ツールレス増設にも対応!
メモリはDDR5-5800を標準で64GB(32GB×2)、ストレージはPCI Express 4.0対応SSDを2TB備える。ウルトラハイエンドモデルにふさわしい容量だ。
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さらに、メモリソケットとストレージソケットへのツールレスアクセスが可能になっている点も見逃せない。底面カバーのロックを外し、スライドさせるだけでカバーを取り除け、メモリソケットとストレージ用のM.2ソケットへアクセスできる。メモリは標準で最大の64GBを搭載しているが、ストレージソケットは標準で1基が空いており、ユーザー自身の手で増設が行える(サポート対象外の行為だが)。ソケットへの着脱もツールレスで簡単に行える。
また、この底面のカバーを外すと3基あるファンにもアクセス可能なので、ホコリの除去などのメンテナンス作業も容易だ。基板はほぼ全面的にシールドで覆われており、基板を開けての作業時にトラブルが起きる可能性を最小限に抑えている。
●ラグジュアリーな使用感を提供する美しい18型大画面
18型のパネルには、ミニLED液晶ディスプレイを採用する。画面のアスペクト比は16:10で、画面解像度は2560×1600ピクセルだ。パネル表面は非光沢で、照明などの映り込みは少ない。ミニLED液晶ディスプレイならではの美しい表示と見やすさを両立させている。
16型モデルと同様、ミニLED液晶ディスプレイとしてもハイスペックな内容で、ローカルディミング数は2000ゾーン以上ある。最大輝度は1200ニトで、DCI-P3の色域を100%カバーする。DolbyのHDR規格であるDolby Vision、カラーサイエンス大手のPANTONEによる色再現性の認証も取得している。リフレッシュレートは240Hzで、ディスプレイ同期技術のG-Syncもサポートする。
キーボード奥両側と両側面の手前側にそれぞれ1Wのスピーカーを内蔵するクアッドスピーカー構成を採用しており、サウンドも迫力満点だ。Dolby Atmosもサポートしているので、対応コンテンツでは迫力のサウンドを得られる。
キーボードの品質も良い。しっかりと厚みのあるキートップには微妙なカーブが付いていて指を置きやすく、スイッチの反発も強すぎず低すぎず絶妙に良い。手首を完全にあずけられる広大なパームレストは、ソフトな感触ながらサラッとしておりベトつく感触もない高級感のある仕上げになっている。
●Thunderbolt 5も搭載! 充実のインタフェースを装備
本機はインタフェースも充実している。通信機能は2.5GBASE-T対応の有線LANとWi-Fi 7対応の無線LAN、Bluetooth 5.4を標準で装備する。
USB Type-C端子が2基、USB Standard-A端子が3基と、周辺デバイスの接続に必要なUSB端子も豊富だ。USB Type-CはThunderbolt 5に対応しており、双方向最大80Gbps、片方向最大120Gbpsでのデータ転送、ディスプレイ出力(Thunderboltネイティブ/DisplayPort Alternate Mode)、USB Power Delivery(PD)による充電に対応している。
●フラッグシップモデルにふさわしいパフォーマンス
ベンチマークテストの結果を見ていこう。Armoury Crateユーティリティーで選べる動作モードに関しては、特に言及がない限りシステムモードは「Turbo」、GPUモードは「Ultimate」、Windows 11の電源モードは「最適なパフォーマンス」を選択している。
参考として、先日レビューした「ROG Strix SCAR 16 G635」(NVIDIA GeForce RTX 5080 Laptop GPU搭載)も掲載した。
CPUパワーをダイレクトに反映するCINEBENCHのスコアは、同じCPUを搭載する比較対象のROG Strix SCAR 16 G635よりさらに高い。本製品はボディーが大柄な分、熱設計では有利で、持続的に高い性能を発揮しやすいのだろう。16型モデルは発売前の検証であった関係もあるかもしれないが、いずれにしても超ハイレベルであり、フラッグシップモデルにふさわしいハイスコアだ。
●3D描画や生成AI共にRTX 5080 LP搭載機を上回る
NVIDIA GeForce RTX 5090 Laptop GPUの性能にも注目だ。GeForce RTX 5080 Laptop GPUを搭載する比較対象に比べて、3DMarkのSteel Nomadでは約18%、Speed Wayでは約12%と順当に良いスコアを記録した。
また、モンスターハンターワイルズベンチマークでは、2560×1600ピクセルのウルトラ設定にレイトレーシング(高)を有効にしても「非常に快適」評価だった。最新のゲームを高画質で快適に楽しめるパフォーマンスを示している。
AI性能は、UL Procyon Benchmark Suitesで計測した。Stable Diffusionを使った画像生成テスト(AI Image Generation Benchmark-Stable Diffusion 1.5)ではGeForce RTX 5080 Laptop GPUP搭載機に対して18%と、やはり大きなアドバンテージを示した、代表的なLLMにおけるトークン生成パフォーマンスを計測するAI Text Generation Benchmarkでの比較対象との差は、平均で約8%だった。
●余裕を感じる放熱設計
放熱設計については、ボディーが大柄なだけに16型モデル以上に余裕がある印象だ。
高負荷時にはボディーの奥側を中心に熱を持つが、キーボードのホームポジション付近やパームレストは低い温度をキープできている。
動作音については、Turboモードでの高負荷時は大きいが、爆音というほどでもなく安定感のある音だ。パフォーマンスモードであればかなりマイルドになる。サイレントモードで高負荷時でも静音で運用可能なので、状況に応じて使い分ければ良いだろう。
●ラグジュアリーな使用感を味わえる大型ゲーミングステーション
ROG Strix SCAR 18 G835の魅力は、やはり18型の大画面にある。16型のROG Strix SCAR 16 G635と比べても迫力が段違いで、ゲームやエンターテインメントの世界へより没入できる印象だ。もちろん、画面だけでなくサウンドの基本性能も高い。安定感抜群の広大なパームレスト、心地良いタッチのキーボードも相まって、まるで高級外車のようなラグジュアリーな使い心地を楽しめる。
さらに、メモリとストレージにツールレスでアクセスが可能な点、AniMe Visionやキーボードを始めとした発光演出を楽しめるのも大きな付加価値だ。
ASUS Storeでの直販価格は78万9800円と高価だ。ゲーミングノートPCにこれだけの金額を投入できる人は多くはないだろうが、フラッグシップモデルとして完璧な内容だけにそれだけの対価を払う価値はある製品だろう。
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