吉永小百合(80)の主演映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督、10月31日公開)完成報告会見が13日、都内で行われた。
吉永にとって、124本目の映画となった今作で、12年「北のカナリアたち」以来13年ぶりに再タッグを組んだ阪本順治監督(66)は、撮影中、79歳だった吉永が、演じた主人公・多部純子のモデルとなった登山家・田部井淳子さんにならい、耳にピアスの穴を開けたと明かした。同監督は「クランクイン前に、吉永さんはピアスの穴を開けたんです。これ、記事になるでしょ?」と笑いながら胸を張った。吉永は「田部井さんの本物をいただき、着けさせていただきました」と、この日、田部井さんが実際に使っていたピアスを着けて登壇したと明かした。
質疑応答で、ピアスの穴を開けたことについても質問が及んだ。「この役は、開けるしかないと。1カ月、泳いじゃいけないと皮膚科医に言われ…つらいことなので、悩みました」と振り返った。さらに「時代劇では、いけないと思ったけれど、この年齢になるとオファーはないかな…この映画は開けないとダメだと思って、開けました、解放した、良い気持ちになっております」と続けた。
吉永は、撮影を振り返り「昨年の8月にクランクインして関東6県、富士山、長野県、山梨県、福島…最後に富山。過酷な撮影でした」と口にした。「朝早く、栃木県で撮影し、富士山に向かうこともあった。何とか、やり遂げることができ、ホッとしております。本物の田部井淳子さんが、てっぺんの向こうから『よくやったね』と言ってくれているような気がしております」と満面の笑みを浮かべた。
映画の原案は、田部井さんの15年の著書「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)で、吉永は田部井さんと、12年にTBSラジオ「こんばんは 吉永小百合です」(日曜午後10時半)で対談していた。「私のラジオに出ていただいて、何て素敵な方だろうとファンになった。田部井さんを元にした役ができて、うれしく思う。20歳過ぎて、山が好きで登ったので思い出した」と語った。撮影前に都内専門施設での高所順応テスト、低酸素トレーニングなどに励み、肉体改造に取り組んだ。
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田部井さんは、16年10月に腹膜がんのため77歳で亡くなったが、その3カ月前に高校生と富士山に登ったのが人生最後の登山となった。そうした事実を踏まえ「私が演じたのは、山が登れなくなった時。(演技の中で夫役の)佐藤浩市さんに引っ張っていただき…感謝します」と語った。
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