『国民的チェーンめし研究 ○○の△△はなぜうまいのか?』東山広樹 日本には誰からも愛されるチェーン店が数多くあります。『天下一品』の「こってりラーメン」しかり、『吉野家』の「牛丼」しかり、『カレーハウスCoCo壱番屋』のカレーしかり......。どれもこれも一度食べるとハマってしまいますが、皆さんは「なぜこれらの国民的チェーンめしはうまいのか?」について考えたことはあるでしょうか?
その秘密が科学的な視点から記されているのが、年間400軒超の飲食店を食べ歩きする料理マニアの料理人・東山広樹氏による著書『国民的チェーンめし研究 ○○の△△はなぜうまいのか?』です。
同書の最初に登場するのは、「二郎系」というラーメンの新たないちジャンルを築いたと言っても過言ではない『ラーメン二郎』。なぜこのお店の「ブタ入りラーメン(+ヤサイ・アブラ・ニンニク)」はおいしく感じられるのでしょうか。
『二郎』といえば「ワシワシした麺」が特徴の一つですが、著者はこの「ワシワシ感」を「オーションという精製度の低い強力粉一〇〇%で、低加水率で練られた超極太麺」(同書より)だと説明します。「精製度が低い=小麦の香りが強い」「強力粉使用=麺のコシが強い」「低加水率=小麦の密度が高く、弾力が高い」「超極太麺=歯応えが強い」という4強がそろっていることで、あの常識ハズレの超ハードな食感が生まれるのだといいます。
では、この麺に負けないような強さを持つスープはどう作られているのでしょう? 具となるヤサイ、ブタ、アブラ、ニンニクはどのような効果をもたらしているのでしょう? 油脂分や塩分、うま味といった科学的な観点や脳のメカニズムを用いて解説しながら、著者は『二郎』特有の「全体の一体感と、[強さ×強さ]のハイブリッドなバランス感」(同書より)について解き明かしています。
さらに同書では、著者おすすめの食べ方が紹介されている点にも注目。『カレーハウスCoCo壱番屋』のうまくて高コスパなトッピングや、『名代 富士そば』『丸亀製麺』で注文すべきメニュー、『くら寿司』『スシロー』『はま寿司』各回転寿司チェーンの最高の一皿、『スターバックスコーヒー』でイチオシのフラペチーノなど、知ればぜひとも試してみたくなることでしょう。「知識は最高の調味料」という同書のキャッチコピーのとおり、読めばチェーンめしの世界がより深まり、これまで以上においしく感じられるはず。同書は、食べるのが好きな人にぜひ読んでもらいたい一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]
『国民的チェーンめし研究 ○○の△△はなぜうまいのか?』
著者:東山広樹,蒼井すばる
出版社:カンゼン
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