フランスで開催中の世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭の監督週間に出品された「見はらし世代」(団塚唯我監督、今秋公開)主演の黒崎煌代(くろさき・こうだい=23)が18日(日本時間19日)、同映画祭のレッドカーペットを歩いた。
監督週間はフランス監督協会が主催し、カンヌ映画祭に併設して開催される独立部門。そのため通常、同映画祭メイン会場のレッドカーペットを歩くことはないが、世界初上映となった16日の公式上映は800人以上の観客で満席となり、上映後には約7分間のスタンディングオベーションが起きた。現地では作品の評価も高く、そうした事情を考慮したとみられる映画祭側からの招待を受け、レッドカーペット登場が実現した。
レッドカーペットには、公式上映に参加した黒崎と日本人最年少26歳での監督週間出品を果たした団塚唯我監督がタキシードに身を包んで登場。さらに、黒崎が演じた主人公の蓮の姉恵美を演じた木竜麻生(30)も加わった。木竜は、小津安二郎監督作品での衣装を手がけた染織工芸家の浦野理一氏による振り袖を身にまとい、カンヌの夜を美しく彩った。
カンヌ映画祭初参加となった3人は、レッドカーペットを終えると興奮を抑えきれなかった。黒崎は「やっぱり、テンションも上がりましたね。大きい音や、たくさんのカメラがあって、緊張するのかなと思っていたのですが、映画祭スタッフも歩く前にテンションを上げてくれて、3人でも『楽しもう!』と話していたので、実際に楽しむことができたと思います!」と熱っぽく語った。そして「小さい頃からスターの集まる場所だと思っていました。実際にスターの方々が集まって、街や観光客の方々が『見つけてやるぞ!』という感じでスターを探している様子は緊張感があって面白いですね」とカンヌの街の熱気を堪能した様子だった。
木竜は「一瞬のことで、あっという間に時間が過ぎてしまったのですが、カーペットを歩いた後に、団塚監督が小声で『映画、作って良かった』とおっしゃっていたので、私はそれが聞けて満足です」と笑みを浮かべた。そして「初めての参加ですが、街全体がすごく盛り上がっているのを肌で感じられています。街にとっての、映画祭の存在の大きさを感じます」とカンヌの感想を口にした。
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団塚監督は「日差しが強くて暖かくて、とても晴れやかな場所ですね」とカンヌの印象を語った。そして「あっという間でしたが、すごく楽しく3人で歩くことができて良かったです」とレッドカーペットに立った喜びをかみしめた。
「見はらし世代」は、団塚監督がオリジナル脚本も手がけた長編デビュー作。黒崎が演じた主人公の蓮は、幼い頃に母由美子を亡くしたことを契機に、ランドスケープデザイナーの父初とすっかり疎遠になった。成長し、再開発が進む東京・渋谷で胡蝶蘭の配送運転手として働いていたある日、配達中に初と再会。そのことを話すも、我関せずといった様子で黙々と自分の結婚の準備を進める姉恵美…そんな状態の中で、蓮は家族の距離を測り直そうとする物語。黒崎と木竜のほか、父初を遠藤憲一(63)母由美子を井川遥(48)が演じる。
長編初監督を対象にした新人監督賞「カメラ・ドール」は、カンヌ映画祭の公式部門だけでなく、併設して開催される独立部門である監督週間・批評家週間も対象となるだけに、団塚監督の受賞の可能性に期待がかかる。
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