石破首相、コメ・年金で守勢=江藤農水相失言が追い打ち

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2025年05月20日 07:31  時事通信社

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首相官邸に入る石破茂首相=19日、東京・永田町
 石破茂首相は19日の参院予算委員会で、コメ価格の高騰や年金改革を巡り野党の追及を受け、守勢を余儀なくされた。政府・与党の対応を説明して理解を求めたものの、江藤拓農林水産相が「コメは買ったことがない」と発言した問題が追い打ちをかけた。夏の参院選を控え、政権への逆風は強まっている。

 「コメの値段は下げていかなければならない。こんなに高くていいはずがない」。首相は予算委で、備蓄米の放出後も高止まりを続ける米価について、抑制に取り組む姿勢を強調した。自民党にコメ対策をまとめるよう指示したと説明する一方、高止まりの原因については「検証した人はまだいない」とも述べた。

 日本維新の会の柳ケ瀬裕文氏は、全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長が米価は「決して高いとは思っていない」と述べたことを取り上げ、認識を問うた。首相は「生産者団体のトップとして立場上そういう発言は出ると思う」と理解を示したが、柳ケ瀬氏はコメ問題の背景には、自民側に献金や選挙を目当てとした「JAへの忖度(そんたく)」があると指摘した。

 立憲民主党の打越さく良氏もコメ不足をただしたが、首相は「江藤農水相の下で最大限の努力をしている」と力説した。

 ただ、その江藤氏が18日の会合で「コメは買ったことがない」などと発言したことが判明。予算委ではこの失言に関する質問はなかったが、江藤氏は記者団に「定期的にお米は買っている」などと釈明した。

 政府・与党内からは「緊張感を持って対応してほしい」(林芳正官房長官)、「注意して発言する立場にある」(斉藤鉄夫公明党代表)と苦言が相次いだ。自民党幹部は「国民感情を逆なでする話だ」と不快感を示した。首相は記者団の取材に対し「任命権者として大変申し訳ない」と謝罪するなど火消しに追われた。

 20日の衆院本会議で審議入りする年金制度改革関連法案も予算委の論点となった。打越氏は、目玉だった基礎年金(国民年金)底上げ策が自民内の反対論で見送られたことについて「自民党の都合で削除した。『消した年金』だ」と批判。首相は「賛否両論があった」と説明した。

 年金問題は自民政権にとって選挙の「鬼門」で、2007年の参院選では「消えた年金」問題で批判を浴びた第1次安倍晋三政権が敗北した。同政権では「政治とカネ」などの問題で農水相の交代が相次ぎ、「鬼門」のポストとも言われた。党幹部は江藤氏の発言について「明らかにダメージだ」と頭を抱えた。 

参院予算委員会で答弁する江藤拓農林水産相=19日、国会内
参院予算委員会で答弁する江藤拓農林水産相=19日、国会内

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