今夏の北陸 短期集中の大雨と猛暑 大雨パターンは? 暑さ指数を確認して熱中症予防

0

2025年05月21日 12:14  日本気象協会

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日本気象協会

写真

気象庁が発表した最新の3か月予報では、今夏も、梅雨前線の影響を受けやすい時期があり、短期集中の大雨に警戒が必要です。また、猛暑となり危険な暑さも予想されます。熱中症対策や食中毒の予防、農作物や家畜への暑さ対策・水の管理などを徹底し、大雨や危険な暑さに負けないように過ごしていきましょう。

2023年7月 石川県と富山県の線状降水帯発生時

トップ画像は、2023年7月に石川県と富山県に線状降水帯が発生した時間帯頃の地上天気図と雨雲レーダーの様子です。大陸から延びる梅雨前線が日本海から北陸地方に停滞、太平洋高気圧の縁と大陸方面から流れ込む強い暖湿気が合流して、梅雨前線の活動が活発化しました。このあと前線はゆっくり南下し、前線南下型の大雨となりました。

月最大12時間降水量は、石川県のかほくで205.5mm、富山で186.5mmを記録するなど、いずれも7月の歴代1位の雨量を更新する大雨となりました。

最新のエルニーニョ監視速報 もう一つの大雨事例

画像B

5月12日発表の最新のエルニーニョ監視速報によると、現在は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっており、今後、秋にかけて平常の状態が続く可能性が高い(60%)とされています。

ただ、「平常年」であっても、楽観は禁物です。

前後の年が平常年でエルニーニョ寄りでもラニーニャ寄りでもない平常年であった2005年の事例をみましょう。

6月28日、日本海から北陸付近に延びる梅雨前線に向かって、南の高気圧や大陸方面から強い暖湿気が流入、前線の活動が活発になり、大雨となりました。日降水量は川谷(新潟県上越市)で330mm、大湯(新潟県魚沼市)で290mmを観測するなど災害級の大雨となり、新潟県を中心に堤防決壊、土砂災害、道路損壊、住家浸水、電力障害(停電)などが発生しました。

同年の梅雨入りは6月27日ごろなので、平年よりかなり遅い梅雨入り早々の大雨となった事例です。

最新の3か月予報

画像C

5月20日、新潟地方気象台は、北陸東部の新潟県と北陸西部(三県)の福井県・石川県・富山県の4県を対象とした「北陸地方の向こう3か月の天候の見通し」を発表しました。そのポイントは、「暖かい空気に覆われやすいため、向こう3か月の気温は高い」ということです。

地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高い状態が継続しています。更に、上空の偏西風は平年より北を流れやすい予想で、チベット高気圧は平年より北側で強く、太平洋高気圧も平年より日本付近への張り出しが強い見込みです。

このため、北陸地方は暖かい空気に覆われやすく、今夏も猛暑となるでしょう。

熱中症などの体調管理には十分注意し、小さなお子様やご高齢の方に対しては周囲の大人が積極的に声掛けを行いましょう。農作物や家畜などの水の管理、食品の温度管理を徹底し、猛暑の夏を乗り切るようにしましょう。

また、湿った空気が流れ込んで梅雨前線の影響を受けやすい時期もある見込みです。図では6月・7月・8月の三か月間を通して、降水量はほぼ平年並みの予想となっていますが、三か月間を通して毎日ほぼ平年並みの降水量で平穏な日が続くことはまずありません。楽観は禁物です。

本格的な雨の季節はもう目前まで迫っています。今夏も短期集中の大雨がある前提で、大雨への備えを早めに計画的に進めてください。

台風の北陸への接近数 平年値は2.8個 10月まで警戒

画像D

台風の接近数の平年値は、全国では11.7個、北陸では2.8個となっており、10月頃までは警戒期間となります。

図は夏の期間が平常年であった2017年に、超大型で強い勢力の台風21号が接近した時の地上天気図と主な実況です。北よりの暴風が吹き荒れ、広範囲で大雨となりました。同年の北陸地方への台風の接近数は4個で、10月下旬まで台風による影響が長引きました。

気象研究所は、地球温暖化によって、日本などが位置する中緯度帯を通過する台風の移動速度が遅くなるとの研究成果も発表しており、ひとたび台風が北上接近すると、昨夏の台風10号のように、影響が長期化することにも警鐘をならしており注意警戒が必要です。

周囲の「暑さ指数」をこまめに把握して熱中症対策

画像E

暑さ指数(WBGT)とは、人が体感として感じる温度で、気温以外に、「湿度」や「輻射熱(ふくしゃねつ)」も考慮した影響が計算されたものです。この暑さ指数(WBGT)が28度を超えると、熱中症のリスクが急激に高まり、救急搬送者が急増するとされています。

環境省からは、各地点別に暑さ指数(WBGT)が発表されており、熱中症警戒アラートの発表可否はこれを基準に行われています。ただ、これは一代表地点の値であくまでも目安です。個々の地点の暑さ指数は、現実には環境によって大きく異なります。また、各個人が暑さから身体に受けるダメージもその日の体調によって大きく左右されることがあります。

出来る限り、涼しい環境に身を置くことは大切ですが、業務上止むを得ない場合には、ご自身の周囲の暑さ指数(WBGT)を定期的にチェックしましょう。数値が高くなった場合には、休憩時間の変更や作業スケジュールを調整するなどの具体的な対策をとりましょう。

6月1日からは、企業に対して職場で適切な熱中症対策を取ることが義務づけられ、罰則規定もあります。「根性論だけでは到底太刀打ちできない危険なレベルの暑さ」に対処していきましょう。

画像F

    ニュース設定