政権浮沈カギ握る小泉氏=米価下げへ「スピード感」―農協と対立再燃も

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2025年05月23日 07:32  時事通信社

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時事通信社

職員に訓示する小泉進次郎農林水産相=22日、東京・霞が関の同省
 新たに就任した小泉進次郎農林水産相に、石破政権の浮沈がかかる。高止まりするコメ価格の抑制が最優先課題で、異例の随意契約による備蓄米の売り渡しに取り組む。「小泉氏VS農協・自民党農林族」の対立構図が早くも浮かび上がる中、手腕が試される。

 小泉氏は22日夕、農水省で行った職員訓示で「農産局の『コメ部隊』を全省挙げて支援する態勢を作り、国民が求めるスピード感で結果を出そう」と呼び掛けた。これに先立ち、放出した備蓄米入札で9割以上を落札した全国農業協同組合連合会(JA全農)関係者と意見を交わした。

 備蓄米を放出してもコメ価格が下がらない現状を踏まえ、石破茂首相は21日、随意契約の活用検討を小泉氏に直接指示。党首討論では「5キロ当たり3000円台」を達成できなければ「責任を取る」と踏み込んだ。

 小泉氏は就任記者会見で、予定していた備蓄米の入札をいったん中止すると表明。高い価格を提示した業者に売り渡す現在の競争入札ではなく、特定の業者と契約する随意契約に向けた具体的な検討を事務方に求めた。

 与党内には、小泉氏の突破力でコメ価格が下落するのを期待する声が広がる。視線の先にあるのは夏の参院選だ。公明党の斉藤鉄夫代表は党会合で「小泉氏が新しい施策を打ち出すのを見守りたい。全面的にバックアップする」と強調。自民関係者は「米価が下がれば、支持率も回復する」と政権浮揚に期待を示した。

 2015〜17年に自民党農林部会長として農協改革に取り組んだ小泉氏が標的としたのが、JAグループで商社機能を持つJA全農だ。国際競争力の強化などを目指したが、農協側と対立しはね返された経緯がある。

 小泉氏は農水相就任に際し、農林族の重鎮である森山裕幹事長に「この局面で大事なことは組織・団体に忖度(そんたく)しない判断をすることだ。そういう思いだがよろしいか」と後ろ盾を要請。念頭にあるのは農協で、森山氏は「それが大事だ」と応じたという。党内には森山氏の全面支援が得られるか疑問視する向きもある。

 米価引き下げは農家の収入減につながりかねない。農協側と一体化する農林族の一人は随意契約について「思い付きで言われても政策は右から左に変えられない」と反発。別のベテランは備蓄米の無制限放出方針に「量には限りがある」とけん制した。

 小泉氏は昨年の党総裁選で発言が空回りして失速。経験不足を露呈した。農水相として結果を残すことが「次のステップ」への条件になる。 

このニュースに関するつぶやき

  • 「鍵握る」って、確かに総辞職の扉の鍵を持ってるのは進次郎かもな。
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