元ディーラー営業マンが暴露。ガソリン車と比較して「ハイブリッドカーはおすすめしない」ワケ

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2025年05月23日 09:31  日刊SPA!

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※写真はイメージです。
政府から補助金が出ているとはいえ、高値が続くガソリン価格。クルマを利用するユーザーにとって、ランニングコスト(維持費)がかさむと家計を圧迫するため、少しでも安くしたいのが本音でしょう。
最近出ている車の多くは燃費の良いハイブリッドカーですが、初期コストが高いため、元ディーラー営業マンである筆者としては正直おすすめできません。今回は、実際にシミュレーションして本当にコスパが良いのか検証します。

◆確かに燃費はいいが…

冒頭でもお伝えしたとおり、ハイブリッドカーは正直おすすめできません。ですが、ガソリン1リットルあたり30kmも40kmも走るクルマもありますし、魅力的に感じますよね。車種によっては非常に燃費の良いクルマもあれば、ガソリンとハイブリッドをラインナップしていて、それほど燃費に差が出ないクルマというのも実在します。

しかもグレード間の価格差があり、本当にお得なのかと疑問に感じることもあるでしょう。

◆ハイブリッドとガソリンの損益分岐点をシミュレーション

ここからは視点を変え、同じ車種でガソリンとハイブリッドを併売しているケースで、ハイブリッドで燃費が良くなった分、初期コスト(車両価格)をペイできるのかどうかをシミュレーションしてみようと思います。

今回のシミュレーション対象は、トヨタの人気ミニバンのノアで、グレードはS-Gです。車両本体価格とカタログ上の燃費は以下の通りとなります。

ノア(グレードS-G)
ガソリン:3,040,000円(15.0km/L)
ハイブリッド:3,390,000円(23.0km/L)

車両価格の差は35万円、燃費差は8kmです。

次に車の使い方によってランニングコストがどれくらい差が出るのか検証するために2つのケースを例にします。土日メインで普段はあまり乗らないパターン(年間5,000km)と、日常的にクルマを使うパターン(年間12,000km)でシミュレーションしてみましょう。

ガソリン価格は、185円とします。

(年間5,000km走行する場合)
ガソリン:5,000km÷15.0km/L=333.3L×185円=61,600円
ハイブリッド:5,000km÷23 km/L =217.4L×185円=40,219円
差額:21,381円

(年間12,000km走行する場合)
ガソリン:12,000km÷15.0km/L=800L×185円=148,000円
ハイブリッド:12,000km÷23 km/L =521.7L×185円=96,515円
差額:51,485円

ハイブリッドグレードを買い、ガソリン車との差額をペイすると考えた場合、土日しか乗らない場合(年間5,000km)だと約16年、日常的に使う場合(年間12,000km)だと約7年かかります。

もちろん、ガソリン価格の変動やハイブリッド用バッテリーの劣化などは考慮していませんので、このシミュレーション結果が全てということではありません。あくまでも一例として考えていただきたいですが、これくらいの価格差がガソリンとハイブリッドにあるということは覚えておいてもいいでしょう。

◆乗り方によっては損をする

先ほどのシミュレーションのように、コスパ面で見ると乗り方によってはハイブリッドだと損をするのは明らかです。

また、クルマを使うシーンが街乗りメインなのか高速メインなのかによって差が生じます。ハイブリッドカーは時速100kmを超える高速走行だと恩恵をあまり受けない特性がありますので、自分がどのような乗り方をしているのか振り返ってから検討すると良いでしょう。

長い期間にわたってクルマを保有することを前提に考えると、ハイブリッド用バッテリーの劣化も気になるところです。最近は技術が進歩しているとはいえ、長期保有を前提にクルマは作られていないと筆者は感じます。

そうなると、バッテリーも消耗品ですから、交換時に数十万円の出費が発生する可能性も考慮しなければなりません。ディーラーで聞くと「大丈夫ですよ、そのような話はあまり聞かないので」と言われるでしょう。これはあくまでもセールストーク。ディーラー営業マンの心の中は「バッテリー交換するくらいなら、交換費用を頭金にしてローンで買ってもらえばそれで良い」くらいしか思っていません。

ハイブリッドカーは燃費以外にも高い走行性能や静粛性があり、それを決め手にして買う人もいます。今回のように燃費だけで車両価格の差を判断するのではなく、走行性能や静粛性など、ハイブリッドならではの付加価値で判断しましょう。

<文/宇野源一>

【宇野源一】
埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。X(旧Twitter):@gengen801

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