「菜箸で胸を刺され…」元妻から暴力受けた男性が語る壮絶な実態 “男性のDV被害”相談件数は20年近くで130倍超に急増…言い出しにくいワケは?【news23】

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2025年05月23日 12:49  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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男性のDV被害の警察への相談件数が近年、急増していて、その数は18年前と比べて実に134倍にのぼっています。長年にわたり、妻から暴力などをふるわれたという男性が「地獄だった」と壮絶なDV被害の実態を語りました。

【写真で見る】妻からのDVは徐々にエスカレート…

DV被害訴える男性が増加…実態と離れた社会の認識

Aさん(40代)
「顔をはたかれたりとか、菜箸で胸を刺されたり、そういうことが常日頃あった。地獄だったような印象が今でもある」

四国地方に住む、40代のAさん。およそ15年前、元妻からDVを受けたといいます。しかし、当時のAさんは…

Aさん(40代)
「男としての度量や器量があれば、この結婚生活はきっとうまくいくのではないか、そう思って毎日を生きてきたので…」

それでもDV被害は、やむことはありませんでした。

また、離婚調停を申し立てても、裁判所からは“夫婦げんかの延長”と受け取られ、DV被害をなかなか理解してもらえませんでした。

Aさん(40代)
「男が暴力受けるとか、暴言を言われるとか、そんなのってあるのと疑いをかけられる」

今、Aさんのように、配偶者や交際相手からのDV被害を訴える男性は年々増加。最新の調査では、およそ2万8000件。18年前の、実に約134倍と急増しているのです。

知られざる男性のDV被害、街の人は…

80代女性
「女性が変な意味で強くなって、男性がか弱くなったような印象はある」

70代女性
「女性からのDVは、わがままが多いのかなって感じられる」

認識は様々ですが、男性のDV被害が大きな社会問題になっていると受け止める声は、ほとんど聞かれませんでした。

しかし、実態は大きく変わってきています。去年1年間の男性からの相談件数は全体のおよそ3割を占めているのです。

身も心も限界に…元妻からのDV 壮絶な実態

およそ3年にわたり、元妻からDVを受けたAさん。交際時、暴力を一度も振るうことがなかった相手が、結婚を機に豹変したと話します。

Aさん(40代)
「炊飯器に米をセットして、炊飯のボタンを押し忘れた。彼女が起きてきてご飯が炊けていないのを知り 『ごめんごめん、今からご飯炊くからね』と私が言うか言わないかのところでビンタが出てきた。それが初めての暴力だったかなと」

仕事をしながら家事全般を担っていたAさんに対し、妻からのDVは徐々にエスカレート。

Aさん(40代)
「魚料理を食べたいと言ったので、いつも通りの味付けで提供したら『きょうはその気分じゃない』『もうちょっと味が濃いものが食べたい』と出来上がった料理をその場で捨てられ、『どうして私が思っている好みの味が出せないんだ』『本当にあなたはダメなやつだ』とののしられて、菜箸で胸を刺された。穴ができるくらいの傷ができている」

物を投げつけられたり、包丁を突きつけられたり、命の危険を感じたことも。それ以上に、Aさんの心に大きな傷として残っている事が…

Aさん(40代)
「私の両親は一生懸命に働いて、 貧しいながらも高校卒業まで育ててくれて。どこでそんなお金を貯めていたかわからないが、 結構良い時計を就職祝いに買ってくれた」

思いもかけなかった、一生もののプレゼント。肌身離さず、大事に身につけていましたが…

Aさん(40代)
「『あなたはそんな良い時計を付ける権利はない』『ちょっとそれを出しなさい』と言われて時計を彼女の前に出すと…ハンマーで叩き壊されて…。それがもう…本当に…時計が壊されたことが、すごく申し訳なくて…」

それでも当時、自分がDVを受けているとは全く思わなかったといいます。

Aさん(40代)
「彼女が怒るというのは、私の方に非があるのではないかと常日頃、私が私自身を責めていた」

身も心も限界に近づき、体重は一時、40キロ台まで落ちたというAさん。ある日、同僚女性から「夫から暴力を振るわれている」と相談を受けた際、思いもよらぬ事を言われたといいます。

同僚女性
「あなたも、DVを受けているのでは?」

Aさんはその言葉ではじめて、自身のDV被害を自覚し、離婚調停を開始。申し立てから2年半を要し、ようやくDVが認められ、離婚が成立しました。

「強くないとダメ」表面化しづらい男性のDV被害

徳島市にある、男性のDV被害を支援する民間団体。全国から助けを求める声が寄せられています。

Bさん(40代男性)
「髪の毛を掴んで頭ごと床に叩きつけられる」

Cさん(40代男性)
「朝から晩まで精神的DVを受け、何度か自殺未遂にもなってます」

緊急性を要する相談には避難を促していて、男性も入れるシェルターは、満室が続いています。

これまで支援した男性被害者はおよそ40人。現在は、当事者同士の自助グループも立ち上がっています。

「逃げ出して良かったのかなと思うこともある」
「僕が家族を不幸にしてしまったのかなって思ってしまう時もある」

男性のDV被害が増えているにもかかわらず、表面化しづらい理由について…

一般社団法人「白鳥の森」 山口凜 理事
「小さい頃から『男なんだから我慢しなさい』『泣くな』『強くないとダメ』とか、ジェンダーのシャワーを浴びながら無意識にのうちに育ってきていて。『ただの夫婦げんかじゃないか』『我慢していかないと家族が成り立たない』とか。(男性被害者は)援助希求が低い・弱いということが言われる」

支援団体では、被害を受けた男性が、自身の経験を元にサポートする側に回るための講座を今月から開始。孤立しがちな男性被害者に寄り添う人を増やしていくことが大事だといいます。

一般社団法人白鳥の森 山口理事
「親や友達、職場の同僚、そういう人たちが『男性でも相談に乗ってくれるところがあるみたいだから、もし1人で行きづらかったら一緒に行くよ』とか、周りの方からのサポートもすごく本人にとって大きいんじゃないかな」

伊沢拓司氏「“ジェンダーへのステレオタイプ”を捨てて…」

小川彩佳キャスター:
男性・女性問わず、もちろんDVはあってはならないことですし、表面化しづらい状況はありますけれども、窓口・シェルターともに足りないなど、男性は何重にも相談のハードルが高いのを感じますし、DVで画像検索をすると、女性が被害を受けるイラストの方が圧倒的に多く出てきます。そうした意識のハードルも高いように感じますね。

伊沢拓司さん:
そうですね。先ほどの街頭インタビューでもありましたけれども、“ジェンダーへのステレオタイプ”がDVをより埋もれさせていると感じます。

そもそも、男女関係なく「家庭の問題」は矮小化されて、世間や周りが手を差し伸べづらくなったりします。あと男性のDV被害者だと男性相談員には相談しづらいケースもあるそうなので、被害を受けたときに助けに繋がりづらかったりします。

そもそも相談員の方も少ないし、DVのケースもやはり女性の方が多いので、男性に関しては専門の相談員がいない、予算もおりづらくて、それゆえにノウハウが蓄積しづらいと。

さらに、日本は海外に比べて更生プログラムに加害者を繋げる動きが鈍く、男女関係なく1回被害を訴えても、また同じ被害に遭ってしまう方もいます。

まず我々にできることは“ジェンダーへのステレオタイプ”を捨てて、より相談しやすく、DVが表に出やすい状況を作ることだと思います。

小川キャスター:
知っていただくということですね。「内閣府DV相談+」や最寄りの配偶者暴力相談センターに繋がる#8008など、男女問わず相談ができる窓口があります。DV被害に悩んでいる方はためらわず相談してください。

内閣府DV相談+
0120-279-889(24時間受付)

DV相談ナビ
電話 #8008(最寄りの配偶者暴力相談支援センター)

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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中

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  • 腕時計破壊された瞬間スタープラチナを嫁の顔面に叩き込んで問答無用で離婚だな
    • イイネ!14
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