
パワハラ・モラハラ・コンプラ。説教なんて誰もできない今の時代に、広瀬アリス演じる教師がとんでもない説教をする話題の“学校エンターテインメント”ドラマ『なんで私が神説教』。生徒の七海海斗役で出演中の水沢林太郎に話を聞いた。
一番難しいのは「17歳に見えるようにする」
「台本を初めて読んだときの素直な感想は、とても会話が多くてこれは大変だろうな、ということでした(笑)。でも作品としてすごく面白いと思いました。生徒にメッセージを伝えるシーンで、先生が負けじと張り合っていくのは、今までの学園ドラマでもあまりなかったのかなと思います」
今年で22歳。演じているなかで一番難しいのは「17歳に見えるようにする」ということだという。
「自分の年齢も上がって考え方も変わってきていますし、やっぱり学生時代の感覚にはなれないんです。これまで学生役を多くやらせていただいてきたので、今回も学生らしくできているんじゃないかという自信はあったんですけど……」
撮影現場で監督に「その芝居では17歳の等身大ではない。それでは他の子と同級生に見えなくなってしまう」と言われた。
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「もう自分も学生に見えなくなってきているんだな、と気づかされました。もちろん自分の素のままでキャラクターを演じているわけではないですが、自然と22歳の演技になってしまうんだと思います。思春期の不安定な感じを出すことは難しいですが、意識して演じていきたいです」
自身の演じる七海は「物事を俯瞰して見ているキャラ」だという。
「正義感が、良くも悪くも人より強い人だなと思います。それに加えて、他の生徒と比べるとだいぶ客観的に物事を見ている瞬間が多い生徒です。誰よりも彼のことを理解して、丁寧に演じていきたいです」
現場の雰囲気を尋ねると、
「アリスさんの性格もあると思うのですが、とても明るい現場です。10代のリアル高校生の子たちは、特に和気あいあいとしています。写真を撮っているのを見たりすると、“学生だなあ〜”って思います。教室を見ているのは楽しいです」
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と答えた。演じる七海と同じく、教室を俯瞰して見ているようだ。
「22歳という自分の年齢もあるかもしれませんが、俯瞰して見ることが多いのは七海に共感できる部分です。もし高校生の水沢林太郎が七海と出会ったら、近い部分があるので、きっと仲良くなれると思います。七海はいわゆる1軍グループにいて、学生時代の僕は別に1軍にいたわけではないので、そこは違う部分かなと思います」
人数が多い現場で、生徒役のみんなと打ち解けるために、特に意識していることはあるのだろうか。
「まだあまり打ち解けられていないのが正直なところでして……。打ち解けられる秘訣があったら、僕にも教えてほしいくらいです(笑)。ただ現場がダレだすと大変なので、嫌われ役なのかもしれませんが、挨拶などのメリハリをつける役割を担っていこうと思っています。
僕が16、17歳のときに、学園ドラマの現場で見てきた先輩方はそうやって現場の空気を締めてくれてカッコよかったし、たくましく思えたんです。どうにかして、そんな先輩に近づきたいと頑張っている部分もあります」
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自身が17歳くらいの時期は周囲から浮いていた、とも。
自分がされた神説教は「真剣にやりなさい」
「人との距離が近いとか遠い以前に、人と関わろうとしていなかったんです。今振り返ると、浮いていたんだろうなと思います。話しかけにくかっただろうし、一緒にいて面白くなかっただろうな、と。ちょっと強い言葉を使う瞬間も多かったです。
年を重ねていって、人との接し方に気をつけるようになりました。人に何げなく言われたことで大きく傷つく人もいれば、小さく傷ついてそれが積もっていくタイプの人もいると思うので、言葉に気をつけるようになりました。今は自分から人に話しかけるようにしています。それと、自分から挨拶することを心がけています」
最後に、ドラマの見どころは?
「いろいろと言いづらくなっている世の中で、お説教というと聞こえは悪いかもしれませんが、なくなる必要はないものだと僕は思っています。先生だからこそ生徒に対してできる言葉の伝え方だと思います。
言葉を大切に扱っている作品なので、何かひとつでも、見てくださる方に届けばいいなと思います。泣いて笑ってムカついて、いろんな感情と一緒に楽しんでいただけたらうれしいです」
学生時代の自分に声をかけるなら?
「髪の毛切ったらどうかな?」です(笑)。ずっと伸ばしっぱなしだったんですよ。おそらく、切るのがめんどくさかったんでしょうね。美容室に行かないといけないし、お金もかかるし。洋服は好きだったのですが、髪の毛に本当に興味がなかったんですよ。当時はよく帽子をかぶっていたこともあるかもしれません。でも今思うと、「髪の毛長いと、扱いが面倒じゃない?」って思います。肌も荒れますし、適切なタイミングで切りにいってほしいです。
自分がされた“神説教”は?
小学生のときに、僕が何かでふざけたときに先生に言われた「真剣にやりなさい」というシンプルな言葉です。つい自分が楽な方向に流されそうになったときとか、年を重ねるにつれて思い出すことが多くなりました。親からの説教と先生からの説教って違いますよね。先生の説教は親とはまた違った怖さがあるというか(笑)、印象に残っています。