「『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)、『スケバン刑事』(フジテレビ系)、そして映画『私をスキーに連れてって』がよく見ていましたと言っていただける作品です。『私をスキー〜』では、バブル時代に遊び尽くしたおしゃれなお姉さんを、とても楽しく演じました」
こう語るのは高橋ひとみさん(63歳)だ。初めて台本を渡されたときのタイトルは『白い恋人たち』だったという。
「あとで聞いた話ですが、もともとは上層部の人に企画を通すため、きれいなタイトルにしたそうで、すぐに変更になりましたが、私は最初のタイトルも好きでした(笑)」
監督をつとめたホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんは、日立製作所の社員でもあった。
「そのためか、トランシーバーや、スキーを滑りながら背負うライトなどメカにこだわりがあって、沖田(浩之)くんは『俺たちよりメカに力を入れている』と笑っていました」
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撮影現場では、その沖田さんがリーダー格だったという。
「沖田くん、三上(博史)くん、布施(博)くんはスキー上級者という設定だったので、撮影前に1カ月ほど特訓。滑るシーンは、オリンピックにも出場した海和俊宏さんのお弟子さんたちが吹き替えをしてくれたのですが、沖田くんは自分たちが実際に滑るシーンは『せっかく特訓したから、吹き替えだと思われないようにゴーグルを外そう』と呼びかけていました」
真夜中の極寒の撮影はつらかったが、撮影期間中は楽しい思い出ばかりだったという。
「1カ月ほどの撮影期間は、志賀高原でも奥に位置するプリンスホテルにこもりきりでした。立派なホテルの部屋を用意してくださったし、食事もすごくおいしくて!(原田)知世ちゃんは、共演していたお姉さん(原田貴和子)といつも一緒で、よく大浴場に行っていたようです。撮影の後半に、私がバニーガール姿になるシーンがあったのですが、あまりに快適すぎて、衣装合わせのときにブカブカだった衣装が、撮影時にはムチムチに(笑)」
雪道を車で走るとき、高橋さんが「凍ってるね」とポツリとこぼすセリフは印象的だった。
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「2010年に放送されたドラマ『おじいちゃんは25歳』(TBS系)は、藤原竜也くん演じる主人公が長期間冷凍状態だったという設定。そんな竜也くんを見て『凍ってるね』というセリフを言わせたいために、わざわざ女性医師役を用意してキャスティングされたことも。『私をスキーに〜』は、それほど影響力の大きい作品だったんです」
『私をスキーに連れてって』(1987年)
名スキーヤーながら会社ではさえない商社マン・矢野文男(三上博史)と同じ会社の秘書課に勤める池上優(原田知世)がゲレンデで出会って恋に落ちるおしゃれでバブルな恋愛映画。ユーミンの曲が流れる当時のゲレンデには、ヒロインと同じ白いスキーウェアの女性があふれた。
【PROFILE】
たかはし・ひとみ
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1961年生まれ、東京都出身。17歳のときに寺山修司さん演出の舞台でデビュー、映画やドラマに幅広く活躍する。8月からの舞台『水谷千重子50周年記念公演』に出演。
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