東電旧経営陣の責任認めず=津波の予見可能性否定、株主側逆転敗訴―13兆円賠償命令取り消し・東京高裁

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2025年06月06日 11:32  時事通信社

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東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決後、「不当判決」と書かれた紙を手にする原告ら=6日午前、東京都千代田区
 東京電力福島第1原発事故を巡り、東電の株主らが旧経営陣5人に計23兆円余りを会社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の控訴審判決が6日、東京高裁であった。木納敏和裁判長は「旧経営陣に津波の予見可能性があったとは認められない」と判断。4人に計13兆3210億円の支払いを命じた一審判決を取り消し、請求を棄却した。原告側は上告する方針。

 一審は津波の予見可能性を認め、勝俣恒久元会長=昨年10月死去、清水正孝元社長(80)と武黒一郎(79)、武藤栄(74)両元副社長に賠償を命令。一方、清水氏を除く3氏が業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判では無罪判決が今年3月に確定し、判断が分かれていた。

 東電は2008年、マグニチュード(M)8級の津波地震を予測した政府の地震調査研究推進本部による「長期評価」に基づき、原発敷地高(10メートル)を超える最大15.7メートルの津波高を試算していた。

 木納裁判長は、長期評価を「尊重すべき見解」としつつ、長期評価やそれを前提とした試算は、旧経営陣に敷地高を超える津波を想定した対策を速やかに指示するよう義務付ける根拠としては十分ではないと述べた。

 その上で、最初に試算報告を受けた武藤氏への説明は、短期間のうちに巨大津波が襲来する切迫感や現実感を抱かせるものではなく、直ちに対策を進めなかった対応を「不合理と断じることはできない」と判断した。他の4人が切迫感を持たなかったこともやむを得ないとして、いずれも予見可能性を否定した。

 判決は「旧経営陣は事故の損害に大きな社会的責任を負う立場だが、予見可能性が認められない以上、賠償責任は東電が集中して負うべきだ」と指摘。ただ、福島第1原発事故を経験した現時点では、原発事業者の取締役には事故前よりも一層重い責任を課す方向で検討すべきだとして、「津波の想定が事故前と同様であってはならない」とくぎを刺した。 

東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決があった東京高裁の法廷=6日午前、東京都千代田区(代表撮影)
東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決があった東京高裁の法廷=6日午前、東京都千代田区(代表撮影)

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  • 原発は必要だと思うし、核兵器も持つべきだと思うのは、チャイナが海上封鎖したらお手上げだからです。こいつらに責任がないとは思わない。また別の話だ
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