宇野昌磨が語った本田真凜とのアイスダンスへのこだわり「スキルを1〜2割しか引き継げなくて難しかった」

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2025年06月17日 07:20  webスポルティーバ

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【名プログラムの再演で新たな一歩】

 6月14日に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園アイススケート場で開幕した、宇野昌磨のアイスショー『Ice Brave』。冒頭、『Great Sprit』で登場した宇野は、いきなり現役時代同様の勢いある力強い滑りを見せた。

 さらにその演技に加わった6人のスケーターも、乱れのないスケーティングを披露する。ドラムの強い音が会場に響きわたり、観客は熱狂。一気に"宇野昌磨の世界"となった。

 初となる自身のプロデュースで、楽曲のほぼすべては彼が現役時代に滑ったもので構成。コンセプトの立案から構成、キャスティング、振り付けなど、宇野自身がすべてに関わってつくりあげるアイスショーだ。

 出演者は、彼のコーチだったステファン・ランビエールと、中野耀司に櫛田一希、唐川常人、そして本田真凜と本郷理華。その7人全員で2023−2024シーズンのエキシビション『Come Together』を踊り、そのあとはMCタイムで出演者を紹介した。

 続いて、ランビエールと2015−2016シーズンのショートプログラム(SP)に使用した『Legends』で共演。ふたりはシンクロするような動きで3回転トーループやダブルアクセルを跳び、スピンやステップも流れのある滑りを見せると、終了後は肩を組んであいさつをする。

 ショー開始からの15分間、宇野は出ずっぱりで力のこもった演技と、ショーへの強い気持ちを見せつける。

「現役の時のプログラムをメインにしていて、過去のプログラムを現在の自分がやる。そして、いろんな新たな挑戦も。今まではスケートの技術のみを毎日磨いてきましたが、自分がおろそかにしていた部分にあらためて挑戦し、過去、現在、そしてこれからいろんな第一歩を踏み込むという意味で、『Ice Brave』というショーをつくりあげました。

 すべてのプログラムに思い出があります。『ボレロ』は1年間でもっとも完成したと思えるプログラムだからやっぱり最後に持ってくるとか、『See You Again』もかなり前のエキシビションナンバーだけど、長く使っていてすごくいい演目だと思っているからやろうとか。

 僕が出ないナンバーを(出演者に)教える時には自分がどうやっていたとか、ここができなかったんだとか、どうやって教えるのがいいのかとか、いろいろな経験ができてすごく貴重な経験をさせていただきました」

【コラボではなくプログラムとして魅せる】

 本郷と中野が『La Vie en rose』を演じると、そのまま唐川と櫛田、ランビエールがテーブルと椅子を用意して氷上に合流し、一緒に『Time After Time』を演じる。そんな2プログラムを連動させた寸劇のような演出もあれば、宇野と唐川と本田が『タンゲーラ』を演じ、そのまま残った本田が『天国への階段』を情熱的に舞うなど、途切れる間もなく演技が続く。

 そして宇野が、唯一ひとりで演じたのが、2016−2017シーズンのフリープログラム『ブエノスアイレス午前零時/ロコへのバラード』。久しぶりにこのプログラムを演じた理由をこう語る。

「当初の『ロコ』をけっこう気に入っていて、あの時のクオリティを出せないという思いがあった。でも、年月を経た今ならではの『ロコ』が出せるのかなと思うようになりました。それとともに、『Ice Brave』が本当に自分の今までのいろんな軌跡、自分の思い出だったり、見る方にとっても思い出のある演目をたくさん入れたかった」

 宇野はそのプログラムを冒頭のトリプルアクセルなど計5本のジャンプを入れて力強く滑る。

 そして、そのあとはランビエール単独の『Gravity』。これはランビエールの振り付けで、2022−2023シーズンの宇野のSP。会場中に星を散りばめたような照明のなか、3回転トーループやダブルアクセルも入れながら、心の解放感を見るような滑りにふたりの心の深いつながりも感じさせる。

 後半へ入り、観客を圧倒したのは本田と滑った『Wild Side』だった。

「アイスダンスのプログラムを1曲入れたいと思っていて、去年10月頃から靴やエッジを替えて準備をしていました。実際にやってみるとシングルとアイスダンスでは本当にいろんな勝手が違い、自分がこれまで培ってきたスキルも1〜2割しか引き継げなくて難しかった。それでも、初めてアイスショーをプロデュースするので、いろいろな新しい挑戦をしたかった。それを単なるコラボレーションではなく、しっかりプログラムとして成立するものにしたかったんです」

 そんな宇野の思いがそのまま出るような演技は、息の合ったステップだけはなく、ツイズルやダンススピン、ダンスリフトもしっかりとこなす、プログラムとしてまとまった演技だった。

【仲間とつくり上げるのが好き】

 終演後、「現役時代が恋しくならなかったか」という記者の質問に「まったくないです」と即答した宇野だが、「アイスダンスへの興味は湧いてきたか」との質問には、笑みを浮かべながらこう語った。

「アイスダンスプログラムをコラボナンバーとして見られたくはないという思いがすごくあったので、そういう質問をいただけるのは僕たちにとってもうれしい。もっとすばらしいものをふたりでこのアイスショーの期間でつくれたらいいなとは思っています」

 宇野はさらにこう話す。

「もっともっと成長できるなという自信がある一方で、すごくよく頑張ったなと思います。皆さんの拍手が素直にうれしかったというか、今日までやってきた練習をすごく褒められたような気持ちになった。シングルの時は自分のやっているものへの培ってきた年月と、自分の結果がどうなるかだけだ、ということで緊張していたから、声援とか拍手がここまで助けになる瞬間はなかなか味わえなかった。でも今回は、すごく気持ちよく滑らせていただくことができました」

 休む間もなく体力の限界まで突っ走るようなアイスショー。そんなハードな公演をやりきれるのも、一緒につくり上げてくれた仲間がいたからだ。

「今日は『ロコ』だけソロで滑りましたが、ひとりで滑ることがさみしかった。僕自身、他のショーをやった時もそうですが、みんなと一緒につくりあげたり、みんなで同じ方向へ向かってつくっていくのがすごく好き。今はそれにすごくやりがいを感じるし、好きだなと思いました」

 宇野は、心の底からスケートを楽しむような、晴れ晴れとした表情で滑っていた。仲間と新たなものをつくりあげること。今の宇野にとって、それが至福の時なのだ。

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  • お、本田真凜、なかなかいいんでないかい? ������ʬ�ʲ����💕�ޥ���
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