「au携帯料金は値下げしない?」「株主優待なぜPontaポイントに変更?」 KDDI株主総会 質疑応答まとめ

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2025年06月18日 19:51  ITmedia Mobile

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6月18日に開催されたKDDIの株主総会

 KDDIが6月18日、第41期定時株主総会を開催した。出席株主16万6983人のうち383人が当日出席し、剰余金の処分、定款一部変更、取締役12人選任、取締役等に対する業績連動型株式報酬制度の継続及び一部改定の件が議決された。


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 株主総会は、株主が日頃感じている要望や疑問を役員に直接ぶつけられる場でもある。今回は、株主優待や金融戦略、通信品質、携帯料金などのテーマで質問が挙がった。それらのやりとりを紹介する。


●株主優待、なぜPontaポイントに変更した?


―― 本年度から株主優待制度が変わった目的を教えてほしい。


取締役執行役員常務 CFO コーポレート統括本部長 最勝寺奈苗氏 より多くの株主様に中長期的に株式を保有いただくことに加え、当社サービスの利用を通じ、当社グループの事業に対するご理解とより一層深めていただくことを目的として、今年度から優待内容を変更した。


 保有期間の条件は、当社の事業や中期経営戦略をご理解いただいた上で、中長期にわたって当社の経営をご支援いただける株主様に当社株式を保有いただきたいと考え、分割前の株式数で100株以上、かつ1年以上保有いただいていることへとアップデートした。


 本年(2025年)はPontaポイント、ローソンと成城石井の商品詰め合わせ、寄付の中から1つお選びいただく方式としている。ポイントをご選択いただいた場合、au PAYへのチャージ等を通じて現金同等のご利用が可能となり、昨年(2024年)以前よりも用途が拡大する上、au PAY マーケットのお得なポイント交換所のご利用により、Pontaポイントを最大1.5倍のau PAY マーケット限定ポイントに交換することもできる。以上のような利点をご提供できる点や、昨年の総会で株主様から頂戴したご意見も踏まえまして、総合的に勘案し、このような内容とした。


●KDDIの金融戦略とは? ローソンとの提携はうまく行っている?


―― 通信事業者における金融事業提携のニュースが散見されるが、KDDIにおける金融事業の戦略上の考え方を教えてほしい。


最勝寺氏 当社は2008年に日本初のモバイルに特化した銀行サービスを自ら立ち上げ以来、クレジットカード、電子決済保険など着実に金融領域を拡大し、実績を積んできた。


 auじぶん銀行はオリコン顧客満足の調査のネット銀行ランキングで2年連続第1位、住宅ローンの融資実行額がネット銀行最速で累計5兆円を突破するなど、大変ご愛顧をいただいている。17年にわたる業歴で銀行運営や通信との連携などにおいて他社に先行してきたアドバンテージを生かし、ネット銀行事業のさらさらなる強化のために、今年の1月には auじぶん銀行を100%子会社化した。au経済圏の中核として通信事業との結び付きに重点を置いた戦略や迅速な意思決定をより一層推進していく。


 また、金融事業全体では、2023年に携帯業界初となる金融特典をセットにした通信料金プラン「auマネ活プラン」を提供開始し、昨年からはさらに特典をアップグレードした「auマネ活プラン+」を、本年6月からは通信料金プランを磨き上げた「auマネ活バリューリンクプラン」を開始するなど、通信と金融の連携をリードしている。


 最近では、競合他社においてのグループ内での金融ビジネスの再編や金融機関とのパートナーシップを通じたサービス拡充の動きが活発化していると認識しているので、当社グループとしても、これまでの強みを生かしながら危機感を持って対抗していく。


―― 昨年(2024年)出資したローソンへの投資効果をどのように見ているか、教えてほしい。


最勝寺氏 ローソンの投資効果については、ローソンの事業成長による取り込み、利益によるリターンと当社とのシナジーの表面で考えている


 ローソンの業績は好調で、2025年2月期の当期利益は599億円で過去最高益となり、2025年3月期の当社の取り込み利益は10カ月分で194億円となり、期初計画を上回る結果となった。また、本年4月に掲げた「ローソングループチャレンジ2030」では、2030年度に当期利益1000億円達成を目指しており、この目標が達成されれば、ローソンからの取り込み利益だけでROI(投資利益率)10%を達成する見込み。


 加えて、さまざまなお得なクーポンをご利用可能なPontaパスにおいては、ローソンの人気商品の割引クーポンを週代わりでご提供するなど、特典をさらにパワーアップさせており、Pontaパス会員数もおかげさまで順調に増加している。


―― 「Lawson Go」をもっと広めてほしい。昨年、ローソンをTOBしたときに非常にワクワクした。無人コンビニがもっと増えるんじゃないかなと思っていたが、二子玉川が東京では期間限定店舗で、大阪でも導入されたが、広がる速度があまり早くない印象を受けた。


代表取締役社長CEO 松田浩路氏 ローソンについては、技術を活用して人手不足の解消を目指すことを、“リアルテックコンビニア”としてやっている。人がハートフルな接客をできるようテクノロジーで支援する。6月には、高輪ゲートウェイに移転する本社ビルにてローソン(Real × Tech Convenience)1号店をオープンするので、ぜひお試しいただきたい。


●通信品質はどのように高めていく? 障害対策は万全?


―― 今後の投資先について、基盤となる通信インフラをベースにクリティカルコンテンツを創造していくと聞いた。ベースとなる今後の投資、基地局建設、IOWNなどのエンドツーエンドの高速化などに、どの程度投資していくと考えているのか。基地局が老朽化していることあり、基盤をより強固にしていく意味でも投資が必要だと感じている。


執行役員専務 CTO コア技術統括本部長 吉村和幸氏 5Gの基地局は業界最多の局数を打ち、そこに対して、かなりの設備投資をしてきた。今は一段落してきたので、AIなどの基盤を中心とした次世代への投資に割り当てることも考えている。しかし、既存の基地局についても、お客さまのトラフィックは年率で2割ほど伸びているので、そこへも投資する他、4G時代の基地局は時間がたっているので、基地局の置換も行う。


 設備については、Massive MIMOという、より効率の良いアンテナを使ってエリアの展開を改善する。ソフトバンクと立ち上げた5G JAPANという基地局シェアリングの会社を使い、より設備投資を抑えながら安定したサービスを提供できるよう取り組んでいきたい。


松田氏 通信基盤の強化は、いかに効率よくトラフィックを収容できるかにかかっている。無線通信だと、基地局を高度化していろいろな周波数を広く対応できるようにする、あるいは光ファイバーの伝送速度や容量を上げることも研究開発している。そこをしっかりやった上で、上位レイヤーにシフトしていきたい。


―― ネットワークの安定性について。(2年前の)参議院選のときに、通信障害によって多大な影響が起きた。間もなく参議院選挙が始まるが、今回は大丈夫か。


吉村氏 2年前の大障害では、皆さまにご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした。障害時にあげた対策は全て進んでいる。選挙の公示があったときから、全ての作業は原則中止している。基地局の更新が必要なときは、その必要性を上司が確認してから行う。引き続き、安定したサービスを提供できるよう、全社一丸となって取り組んでいく


●スマホ依存はどう防ぐ?


―― 電車に乗っても、絶えず、スマホを片手にスマホから目を離さない状況を目にする。スマホ依存に対する意見があれば教えてほしい。


最勝寺氏 子どもたちに向けての取り組みとして、KDDIスマホ・ケータイ安全教室の中で、スマホや携帯の長時間利用への注意喚起を行っている。長時間利用による日常生活や健康へのリスクなどを説明し、メリハリの必要性、ルール作りとルールを守ることの大切さ、フィルタリングなどの時間制限機能などを上手に使うことをお伝えしている。


 今後も社会情勢を踏まえながら、安全安心にご利用いただくための啓発活動に力を入れていきたい。


●セキュリティ分野でNECと協業した狙いは?


―― セキュリティ分野でNECとの協業を発表した。ラックを子会社化した中で、具体的な取り組み内容を教えてほしい。


代表取締役執行役員副社長 ビジネス事業本部長 桑原康明氏 企業に対するサイバーセキュリティの攻撃が増えており、年末年始に鉄道会社や航空会社で被害が出た。これらの環境を踏まえ、サイバーセキュリティを一層強化していかないといけない。ネットワークとセキュリティは一体的に提供する必要がある。


 そこでラック社を100%子会社にして、一体的に提供していく。攻撃に対しては、ジェイソック(JSOC)という日本最大のセキュリティオペレーションセンターを活用して防いでいきたい。


 NECとの協業は検討に入った段階だが、もっと強化していく必要がある。日本企業は海外サプライチェーンや拠点が多いので、この守りをしっかりしていくには、両者でやっていくのがいいだろうと。セキュリティの情報をたくさん持っておくのが重要。そういう意味では、NECと協業することは大変意味がある。


●携帯料金の値下げは検討している?


―― 携帯電話のサポートが有料化された。通信料金を値下げすることは検討しているのか? また、株主に対する特典はあるのか。


取締役執行役員専務 パーソナル事業本部長 竹澤浩氏 株主様には中長期的に株式を保有いただき、関連サービスのご利用を通じて、当社の事業に対するご理解を深めていただきたい。通信料金の値下げという話があったが、昨今、いろいろなところで電気代やパートナー様の労務費が非常に高騰していて、われわれの生命線である、通信を安定的に提供するコストが膨らんできている。


 引き続き投資をしていくために、私どもは未来への投資とお客さまへの還元を、いかに回していくかを考えている。先日、新しい価値をお客さまに提供するとともに、サービスおよび一部の料金の改定を発表した。持続的にみなさまにサービスをお届けするために、必要な改定だと思っている。株主やお客さまの皆さんに関しては、お得な付加価値サービスを含めてご提供を続けて参りたい。


松田氏 先ほど、(Opensignalから)「つながる体感世界ナンバーワン」という評価を得たことを申し上げたが、これは、過去にしっかり投資した結果が現れている。それを、適切な対価につなげていく。今まで以上にサポートさせていただくことで対価をいただき、好循環を回していきたい。


―― 高齢者に対する見守りについて。見守りデバイスが会話を総合的に検知して、身体の衰えをAIで分析して、高齢者のご家族にデータとして提供することはできないか。


竹澤氏 当社では、コンセントに挿すと、そのお客さまの動きが分かるような、見守りセンサーのようなデバイスを商用化している。一方で、AIによってお客さまの行動パターンを把握して、ご家族の方に提供するところまで踏み込んだ形では、まだ余地があるとご意見を聞かせていただいた。次のサービスやデバイスの開発に生かしていきたい。



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