女子62キロ級で、パリ五輪金メダルの元木咲良(23=育英大助手)がメダリスト対決を制し、世界切符を手にした。世界選手権(9月、ザグレブ)代表選考を兼ねた大会で、同五輪58キロ級銅メダル尾崎野乃香(慶大)を決勝、代表決定プレーオフ(PO)と連破。POは残り時間0秒17での逆転だった。50キロ級は吉元玲美那が2連覇。男子フリー65キロ級の清岡幸大郎、男子グレコローマン77キロ級の日下尚、同67キロ級の曽我部京太郎らも代表入りを決めた。
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パリ五輪メダリスト対決を制したのは元木だった。優勝と世界選手権切符の両取りを果たし、言葉に実感をこめた。「自分を高めること、楽しむこと。それが強くなるために一番必要なことなのかな」。安堵(あんど)の笑みの中に勝負師の顔をのぞかせた。
決勝は、第2ピリオド(P)残り1分まで1−3と追い掛ける展開。土壇場で2点をもぎ取り「ラストポイント」を守り切った。続く代表を決めるプレーオフ。昨年12月の全日本選手権を制した尾崎との“第2ラウンド”も、目まぐるしく展開が入れ替わる大接戦だった。第2P残り30秒で得点され、3−5と追い詰められた。だが「練習量を積んだ自信があった。最後に負けていても、絶対取りに行けると思っていた」。執念のタックルで足を取り、テイクダウンを奪って逆転勝ち。逆転したのは、試合終了まで残り0・17秒という紙一重だった。「体が勝手に動いた」。最後まで己を信じ抜いた結果だった。
過去2度の世界選手権は3位、2位といずれも金メダルを逃した。五輪の頂点に立っても、その悔しさが消えることはない。「携帯のアラームは世界選手権のウイニングラン時に流れる音楽にしてる」。雪辱の日を見据え、元木はその過程をも楽しむ。【勝部晃多】
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