26年前と酷似する日産再建策…社長「ゴーン氏と比べられたくない」

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2025年06月24日 06:10  web女性自身

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日産自動車の再建計画「Re:NISSAn(リ・ニッサン)」は、リストラ規模からして26年前の「日産リバイバルプラン(NRP)」と酷似する。半面、主導するトップの個性は正反対だ。社内の定評は、NRPを成し遂げたカルロス・ゴーン氏が「剛」なら、現社長のイバン・エスピノーサ氏は「柔」。エスピノーサ氏も、功罪相半ばするゴーン氏と「比べられたくない」と煙たそうで――。



両者の因縁は四半世紀前にさかのぼる。ゴーン氏はNRPと並行して2000年、将来の経営人材を発掘・育成するノミネーション・アドバイザリー・カウンシル(NAC、人材開発委員会)を創設。有能な人材を国籍不問でハイポテンシャル・パーソン(HPP)に登録し、要職に起用した。日産幹部によると、メキシコの商品企画担当だったエスピノーサ氏もその一人だった。ゴーン氏が敷いたレールに乗り、頭角を現したわけだ。



もっとも、経営手腕が未知数のエスピノーサ氏は社長レースの「ダークホース」だった。最高財務責任者(CFO)のジェレミー・パパン氏が最有力候補だったが、統括する北米事業の不振で脱落。いわば、消去法による人事であり、なんたる因果だろう。ゴーン氏の社長就任は47歳で、エスピノーサ氏は1歳若く、日産史上最年少で抜擢された。



そんなエスピノーサ氏が打ち出したリ・ニッサンは、グループの15%に当たる2万人の削減と国内外7工場の閉鎖が中核だ。2万1000人削減と5工場閉鎖を断行したNRPを彷彿とさせる。7千億円近い巨額の最終赤字も当時と重なり、聖域なき「痛みを伴う再建」という旗印まで一致する。計画立案を託された社内横断の「クロス・ファンクショナル・チーム」は、ゴーン氏が採用した手法だ。



NRPの焼き直しともいえるリ・ニッサンだが、エスピノーサ氏は各メディアの取材に模倣を否定している。あまつさえ、カリスマ経営者として業績をV字回復させた一方で会社を私物化したゴーン氏との比較を疎んでいるという。



それもそのはずで、足元の経営危機はNRP後の拡大戦略に起因している。ゴーン氏は再建後、世界シェアと営業利益率をともに8%に引き上げる中期経営計画「日産パワー88」(2011〜16年度)に突き進んだ。結局ほぼ未達に終わり、増強した設備や人員の過剰なコストが経営を圧迫している。リ・ニッサンは2027年度までに年産能力を損益分岐点の250万台(中国除く)まで縮小する計画で、エスピノーサ氏は当時の尻ぬぐいをさせられているといっていい。



無類の「カーガイ(クルマ好き)」である新社長は、過度なプライドと拡大戦略という悪弊と対峙する。柔よく剛を制す、となるか。



(文:笹川賢一)

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