ソフトウェアの品質保証を軸にさまざまなDX事業を展開するSHIFTは、生成AIの社内活用・定着を成功させるための施策を体系化した「生成AI 360°」の提供を開始した。825件の社内業務プロセスをAI化したノウハウを生かし、国内企業の生成AI普及と、生産性の向上に貢献する。
●AI活用を定着させる「5つのプロセス」とは?
世界的に生成AIの普及が進む中、米国では46.3%、中国では71.2%の企業が全社的なAI活用方針を定めている。一方、日本国内では15.7%にとどまっている状況だ。国内企業では、AIリテラシーやスキルを持つ人材の不足、人材確保の難しさ、トップダウン型推進の限界、現場とのギャップなどが活用の定着を阻む課題となっている。
同社は、2023年より業務でのAI活用に取り組み、2024年からは全社的にAIを徹底的に活用していくことを経営戦略に据えた。従業員のAIリテラシー向上施策や各業務現場のニーズに応じたPoCに取り組むとともに、生成AIツールの内製開発や勉強会などの定期的なイベントを開催。トップダウンとボトムアップの両面から推進してきた。
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その結果2025年3月までの約半年間で、独自生成AIツールの社内活用率を3倍以上に成長させた。AI徹底活用の取り組みを通じて、月間1500万円のコスト削減効果も見込んでいる。
生成AI 360°は、同社が実践してきて特に効果の高かった施策群を体系化したものだ。全社的な活用方針策定からツール導入、カルチャー醸成まで、経営層と社内ユーザー双方のニーズに応え、AI導入から定着までを全方位で支援する。
生成AI導入から組織定着までの過程を5つに分類した。各段階で最適な施策を提供する。
まず、誰でも簡単に使えるノープロンプト生成AIツール「天才くん」を導入。使いやすく、安全な生成AI利用環境を提供する。次に、生成AIの利用ログを分析し、AI適用業務やユーザー層を可視化。結果に基づき、KPIや社内ユーザー向けガイドラインを整備し、トップダウンでの生成AI活用推進を強化する。
さらに、未利用者やプロンプト初心者向けの「伴走型勉強会」や無関心層向けに「部署別人気ツールランキング」を定期発信することで、社内ユーザーの行動変容を促進させるという。
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人事の応募書類分析や営業の提案書品質向上など、部門ごとの課題に合わせた生成AIツール作成し、業務効率化を図る。
部門間で得られた成果や知見を全社で共有し、共通のナレッジとして活用。社内コミュニティやコンテストなどを通じて、AI活用を社内文化として根付かせていく。
同社は蓄積したデータとユースケースを生かし、多様なAIソリューションを開発し、AI活用の徹底推進を実現した。今後は、AIエージェント化による活用加速と新規事業の研究開発を通じて、さらなる事業拡大を目指す。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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