インテリアがおしゃれな人の頭の中にある“共通点”とは?「よくわからないけどステキ」の正体を解説

0

2025年07月07日 16:20  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

筆者の部屋の一部
カジキです!! インテリアのブログとYouTubeを運営しています。暮らし、住まいの世界を長年見てきた経験を元に、インテリアの法則と、インテリア好きが頭の中で考えていることをご紹介していきたいと思います。
「アートはバランスよく飾りましょう」「黒を使って空間を引き締めましょう」「洗練された家具を使うのが正解です」……世の中にはいろんなインテリア情報がありますが、どうにもこうにもフワフワして、捉えどころがありません。実に曖昧で、どうとでも取れる表現で、それを読んだからといって自宅で再現できるわけではありません。

なぜそうなってしまうのか? 理由はたくさんありますが、とても重要なことが一つ。発信者の多くの方が、インテリアの核心を言語化して説明していないからです。

インテリアが好きな人たちは、一体何をもってお部屋がおしゃれだと判断しているのか? その正体こそ「ハレ感」です。これがわかっていないと話は始まりません。

「ホテルみたいでおしゃれ」「海外みたいでおしゃれ」「インスタの世界みたいでおしゃれ」と表現する場合、その言外には、普段の生活とは異なった非日常の世界への憧れがあります。

日本では古来より、お祭りでも開くような特別な日のことを「ハレの日」。日常生活を行う普段の日のことを「ケの日」と呼んできました。日本では非日常のことをハレと呼びます。人が「ステキだな!」「ワクワクするな!」と感じるためには、このハレ感が必要不可欠なのです。

おしゃれな部屋を見る機会があれば、自分の心が、そのお部屋のどんな印象から素敵なイメージを受け取っているのか自己分析してみてください。いろんな感覚があると思いますが、きっと非日常感は重要度の高いエッセンスになっているはずです。

◆そもそも建築の起源は「なんかスゲエ」が基本

「2025大阪・関西万博」の各国パビリオンをご存じでしょうか? 実際に足を運んでいなくても、ニュースなどで見たことがある方は多いと思います。

「よくわからんけど派手ですごいな」「迫力があって目を引くね」「一度見たら忘れられないよ」……「でもこれって結局、『なんかスゲエ』だけじゃない?」。

言いたいことはよくわかります。特別な機能などはなく、ただガワが格好いいだけ。これって意味がないのではないか? 実はですね、建築の起源って、そもそも「なんかスゲエ」のために生まれたものなんですよ。すご〜く大昔、人類は狩猟採集で生活をしていました。ケモノを狩って食べて、ケモノがいなくなったら引っ越しして、また新しいケモノを狩っての繰り返し。

自宅はそのへんの洞窟とか、木の下とかそんなんです。どうせすぐ引っ越すのに、わざわざ大掛かりな家を建てたりはしません。雨露がしのげれば十分です。では、いったいどこから建築なんてものが生まれたのか? 意外にも、人類最初の建築は神殿だったと言われています。宗教施設ですね。

俗世のものではない神秘の世界。人間のエリアとは離れたどこか別の世界。日常生活の「ケ」ではなく非日常の「ハレ」の世界。それを表現するには、ふさわしい空間、ふさわしい外観がどうしても必要だったのです。

そう、建築って最初から「なんかスゲエ」のために生まれたものなんですよ。今でも人は、暮らし、住まいの世界にハレ感を求めます。インテリアマニアが飾り棚に意味不明なオブジェを置くのはそのためです。「そんなもん普通は選ばんやろ〜」と感じてしまうオブジェは、そんなもん普通は選ばんからこそ生まれる、非日常な印象を作り出す役割を担っているわけですね。

◆意味不明なオブジェなんて置きたくねえよ!

そうは言っても変なオブジェなんて置きたくない、という気持ちはとってもわかります。自宅に妙なものがあると落ち着きません。なのでインテリアの世界では、色んな方法で日常と違う印象を表現します。

例えば、ボロボロに錆びた鉄を使うことがあります。鉄というのは屋外で使われることが多い素材なので、お部屋の中で使用するのは日常と違う印象になります。

例えば、貴族みたいな豪華なソファを使うことがあります。貴族というのは特別な階級だから、一般市民のお部屋にあると日常と違う印象になります。

例えば、昭和レトロなランプを使うことがあります。今この現代は令和なのだから、昭和という時代を感じさせる雑貨は日常と違う印象になります。

見慣れないもの、新鮮な刺激があるもの、これを適切にお部屋に取り込んでいくのが、部屋づくりの基本的な考え方になります。インテリアが好きな人たちは、こういうことを無意識的に頭の中でやっているわけです。

いまさら先天的なセンスを体得するのは限界がありますが、理屈があるなら誰だってチャレンジできます。「この家具を買わないと損する!」「こんなコーデはダサいからNG!」。知識がなければ、誰かが考えた正解をマネすることしかできません。だけど知識があれば、自分で考えて、自分で応用することができます。やりたくないテクニックがあれば、また別のテクニックを使って試行錯誤することができます。意味不明なオブジェ類を、無理して飾らなくてええんですよ。

お部屋とは究極「自分たちが気持ちよく過ごす」ためのもの。必ずしもすべてのルールを堅苦しく守る必要はありませんので、気に入った部分だけでも都合よくつまみ食いして、ご自身の生活を一段階ハッピーにしていきましょう。

【カジキ】
暮らし、住まいの世界を長年見てきた経験を元に、インテリアの法則を各コンテンツで言語化して発信中。YouTube「ゆっくりインテリア」、ブログ「様子のおかしいインテリア店」、Xアカウント@kajikissa

    前日のランキングへ

    ニュース設定