重篤な持病…それでも飼い主はヨークシャテリアのシニア犬を棄てた 「生きてほしい」 愛にあふれる家庭に迎えられ光に満ちた6日間

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2025年07月07日 17:40  まいどなニュース

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高齢で重篤な持病があったヨークシャテリアのシニア犬、幸太

目は見えず、歯も失い、腎臓や肺の機能に問題があるヨークシャテリアのシニア犬が動物愛護センターに収容されました。言い換えれば、これだけの重篤な持病があるにもかかわらず元飼い主は最後まで面倒を見ずに、身勝手に見捨てたということです。

【写真】「たっぷりの愛情をもって送り出してあげたい」と新しい飼い主さんに迎えられました

強い憤りを感じますが、当のシニア犬はそれでも動物愛護センターの檻の中で必死に生き続けようとしていました。

譲渡ハードルが極めて高いのに保護に至った理由

動物愛護センターでは一定期間を過ぎてもお迎えのないワンコは順次殺処分対象になります。

センターの職員もそれを望んでいるわけではなく、できればどの子も生かしてあげたいと思っています。しかし、現状の規則上ではそうなっているのが悲しい現実で、このシニア犬もまた殺処分までカウントダウンが始まってしまいました。

「待って!」と手を挙げたのが福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすでした。

そのシニア犬を保護したとしても、現実的に考えれば、次なる里親さんへの譲渡するハードルは極めて高いです。なぜなら前述のような年齢と幾つもの持病によって、そう長く一緒に過ごせるワンコではないから。

しかし、代表は「ここまでボロボロの状態で元飼い主から遺棄され、その最期が殺処分というのはあまりに惨すぎる」「たとえ、余命幾ばくもない状況だったとしても、その最期は人間からのたっぷりの愛情をもって送り出してあげたい」として迷わず保護を申し出たのでした

「うちで良ければ、迎えさせていただけませんか」

殺処分の淵から救ったシニア犬に対し、団体代表は「自分がたっぷりの愛情を注いで看取る」ことはやぶさかではなく、現実的にはそうなるだろうと考えていました。しかし、代表が保護した後、驚きの連絡が代表の元に入ります。

保護したシニア犬に対し「うちで良ければ、シニア犬を迎えさせていただけませんか」と申し出てくれた人が現れたのです。Sさんというシニア犬の先住犬を飼っている方でした。

果たして、シニア犬はSさんの家で穏やかな晩年を目指すことになりました。当初、このシニア犬は「タツヨシ」という名前が付けられていましたが、「幸せの太い縁」という意味を込めて、Sさんが改めて「幸太」と新しい名前をつけてくれました。

Sさんと先住犬の優しさに包まれた6日間

Sさんの家に来てからの幸太は、先住犬と一緒に穏やかな時間を過ごすようになりました。先住犬を枕代わりに幸太が寝てしまったり、仲良く一緒にエサを食べたり……。そんな姿が微笑ましく、Sさんは「うちに来てくれて本当に良かった」と目を細めました。そして、この穏やかな時間が少しでも長く続いてくれることを願いました。

しかし、Sさんの家に来てから6日が経過した日、幸太は安心したかのような表情を浮かべ眠るように虹の橋を渡っていきました。

あまりに短いSさんの家での生活でしたが、この短い時間の間に、幸太は毎日抱っこされ、優しく声をかけられ、愛情に満ちた日々を送りました。幸太の犬生の中で、最も穏やかに家族と過ごせた6日間に幸せを感じていたことでしょう。

振り返れば、ボロボロの体でここまで生き抜き、殺処分の淵に立っても免れることができたのは、幸太自身の「人間からの愛情を受けたい」「人間をもう一度信じたい」という強い思いが実現させたようにも思います。

安らかに旅立った幸太の寝顔を前に、Sさんは「うちに来てくれて本当にありがとうね。虹の橋の向こうでも明るく元気に過ごしていてね」と声をかけてあげました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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