パレスは今季のコミュニティシールドでリヴァプールを破っていた [写真]=Getty Images 日本代表MF鎌田大地が所属するクリスタル・パレスは、2025−26シーズンのヨーロッパリーグ(EL)出場を求める控訴がスポーツ仲裁裁判所(CAS)より棄却され、カンファレンスリーグ(ECL)への出場となることが正式に決まった。11日にイギリス『BBC』など複数のメディアが報じた。
クリスタル・パレスは2024−25シーズンのプレミアリーグを12位で終えたものの、FAカップではクラブ史上初の優勝を果たし、新シーズンのEL出場権を獲得した。しかし、クリスタル・パレスの共同オーナーであったジョン・テクスター氏が、同じくEL出場予定のリヨン(フランス)の大株主であり、同一人物または同組織が所有する複数クラブが同じヨーロッパのコンペティションに参加することを禁じるUEFA(欧州サッカー連盟)の規定に抵触していると指摘。テクスター氏は今年6月、自身の所有する株式の43%を、NFLのニューヨーク・ジェッツのオーナーでもあるアメリカ人実業家のウッディ・ジョンソン氏に売却していた。
マルチクラブオーナーシップを採用するクラブがUEFAが主催する同一の大会に出場することも不可能ではない。たとえば、2024−25シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)に出場したマンチェスター・シティとジローナは、共にCFG(シティ・フットボール・グループ)傘下のクラブだが、CFGはUEFAの規定に伴い、同シーズンの間はジローナの株式所有構造を変更していた。ただし、クリスタル・パレスはこの期限である3月末に対応をしておらず、この“抜け道”も使えない状況となっていた。
また、リヨンの2部降格処分が取り消されたことも影響した。リヨンは2024−25シーズンのリーグ・アンをEL出場圏内の6位で終えたが、財政難により2部降格の処分を受けていた。しかしながら、控訴により“逆転”での1部残留が決定。リヨンは降格が決まっていた場合、新シーズンのELから除外されることでUEFAと合意していたが、処分が覆ったことでリヨンは欧州クラブ大会への参戦が決まった。
クリスタル・パレスはテクスター氏がクラブに決定的な影響力を持っていないと主張したものの、UEFAのクラブ財務管理委員会は、3月1日時点でクリスタル・パレスとリヨンが複数クラブ保有の基準に違反していると結論づけた。規定によってリーグ戦を上の順位で終えたリヨンが優先されることになり、EL出場権はリヨンに与えられ、クリスタル・パレスはECLに出場することが決定。その後、クリスタル・パレスはCASへの控訴をしていたが、今回、棄却されたことが伝えられた。
CASはプレスリリースを通して、次のようにコメントを発表。今回の決定に至った背景を簡潔に説明した。
「スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、クリスタル・パレスのUEFA、ノッティンガム・フォレスト、およびリヨン(OL)に対する控訴を棄却しました。この控訴は、UEFAがクリスタル・パレスをヨーロッパリーグ2025−2026から除外する決定に関するもので、UEFAが定めた複数クラブ保有規則への違反が理由となっています。これにより、クリスタル・パレスはカンファレンスリーグ2025−2026への出場が認められます」
「今回の控訴においては、UEFAクラブ財務管理委員会が2025年7月11日に下した、クリスタル・パレスとリヨンが複数クラブ保有規則に違反していると判断した決定の取消しを求めていました。加えて、クリスタル・パレスはノッティンガム・フォレストまたはリヨンのEL出場が拒否される場合、同クラブのELへの再出場を請求しました」
「証拠を検討した結果、委員会は、イーグル・フットボール・ホールディングスの創設者であるジョン・テクスター氏が、UEFAの審査日時点でクリスタル・パレスとリヨンの株式を保有し、両クラブの理事会メンバーとして決定的な影響力を持っていたことを確認しました」
「同様に委員会は、クリスタル・パレスがノッティンガム・フォレストとリヨンと比較して不公平な扱いを受けたとの主張を退けました。UEFAの規則は明確であり、評価日時点で非準拠のクラブに対して柔軟性を認めるものではなく、クリスタル・パレスの主張とは矛盾するとの判断が、委員会の見解です」
「これは緊急手続きであり、2025年7月21日に提出された控訴から2週間半後に決定が下されました。当事者が機密保持を請求しない限り、理由書を含む全文の裁定は、適宜CASのウェブサイトで公開されます」
なお、『BBC』や『スカイスポーツ』等のメディアによると、クリスタル・パレスに代わって、昨季のプレミアリーグを7位で終えたノッティンガム・フォレストがELに出場することが決まったという。ノッティンガム・フォレストのオーナーであるギリシャ人オーナーのエヴァンゲロス・マリナキス氏は、同様に母国のオリンピアコスも所有しているが、同氏はUEFAの期限に則って株式所有構造を変更していたため、両クラブのEL出場は規則に抵触しないと指摘されている。
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