IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2025年最終2戦に参戦し、F1以来のレース復帰を果たすローガン・サージェント ローガン・サージェントは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の終盤2戦でPR1/マティアセン・モータースポーツに合流し、LMP2カーでレースに復帰することが最近確定したが、それ以上の長期的なコミットメントについては控えめな姿勢を示し、現時点では次の2レースのみに集中していることを認めた。
■インディアナポリス6時間でIMSAデビュー。プチ・ル・マンにも出場予定
2023年から2024年にかけてF1で計36戦を戦った24歳のサージェントは、来月インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われる『バトル・オン・ザ・ブリックス』でIMSAデビューを果たしたのち、PR1/マティアセンの52号車オレカ07・ギブソンでベンジャミン・ペダーセン、ナビーン・ラオと組んで『モチュール・プチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間レース)』に挑み、シーズンを締めくくる。
スポーツカーレースの経験が限られているサージェントは当初、今季2025年のELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに向けたジェネシスの“トラジェクトリー・プログラム”に参加すると発表されていたが、これを土壇場で辞退した。そのため、今月21日に開催されるインディアナポリスでの6時間レースが彼にとってF1離脱後の初レースとなる。
3日水曜に行われたIMSAのプレイベント・オンライン会見で、インディアナポリスでのテスト走行を終えたばかりのサージェントは、「いまのところで長期的な目標はまったくないよ」と語り将来の計画は未定であることを強調した。
「IMSAでの残り2レースという素晴らしい機会が目の前にあるだけだ。このチャンピオンシップは以前から興味を持っていた。素晴らしいチームとマシンで挑戦できることをうれしく思う」
「正直なところ、(将来については)いまはとても近い範囲しか見ていない。まずはふたたびマシンに乗り込み、テストで自然に感じ始めていたリズムを取り戻したい。それを積み重ねて良い結果を出したいんだ」
「本当に見据えているのはこの2レースだけで、来シーズンについてはそのあと考えるよ」
「とはいえ、スポーツカー分野で長くキャリアを築けるなら、それは僕にとって非常にエキサイティングな道だ。ただし、何度も言うようだけど現時点では明確な道筋は見えていない」
PR1/マティアセンでの2戦が将来を左右するかを問われると、サージェントは「目の前の課題には準備ができている」と応じた。
「結局のところ、パフォーマンスがつねに重要になる。たしかにブランクがあったから、コンディションを取り戻すという要素は多少あるが、今回のテストに加えてアトランタ戦の前にもテストの予定がある。こうした時間を、我々は非常に有効に活用できている」
「その点では素晴らしい成果を上げたと考えている。インディアナポリスに臨むにあたり、準備不足に感じることはない。最高の状態で挑めるというのが僕の見解だ。準備は万端、体調も良好だ。チームのために結果を出す覚悟を持っているし、いい成績を収めれば、それが来季以降の道を開くはずだ。そういう見方をしているよ」
■ロード・アトランタは「ずっと走ってみたかった」
サージェントは自身の最終目標やトップクラスのプロトタイプレースにおけるメーカーとの提携の可能性については詳しく語らなかったが、スポーツカーレースのファンであり、F1転向前にLMP2やGT3レースに数回出場した経験があることを認めた。
「主要なスポーツカー耐久レースはほぼすべて観戦してきた。とくにデイトナ24時間とル・マン24時間は格別だ。ル・マンでは、24時間レースではないが走行する機会を得て、非常に特別な経験になった」
「次の2レース、とくにプチ・ル・マンは素晴らしいレースだと思う。本当に楽しみにしているし、ロード・アトランタはずっと走ってみたいと思っていたトラックだ。ワクワクしているよ」
「繰り返しになるが、アメリカのふたつの素晴らしいサーキットを学ぶ絶好の機会だ。数年間離れていた耐久レースの感覚を取り戻し、トラフィック・マネジメントやドライバー交代など、あらゆる要素をふたたび経験できるんだ」
「これはしばしば見落とされがちな部分だが、僕がとくに楽しみにしている要素でもある」
■サージェントの招聘は「すべてが完璧に噛み合った」とチーム代表
PR1/マティアセン・モータースポーツのチーム代表であるボビー・オーゲルは、プラチナドライバーであるサージェントがブロンズドライバーのラオやシルバードライバーのペダーセンとともにチームのラインアップに加わることについて「天が味方した」と述べた。
通常、フルシーズンのLMP2ドライバー陣は規定のブロンズドライバーとゴールド、もしくはプラチナドライバーで構成されるため、ゴールドあるいはプラチナドライバーが3人目のドライバーとなることは不可能だ。
「今シーズンはベンジャミン(・ペダーセン)を耐久ドライバーとして起用するところから始まった。それが現在ローガン(・サージェント)の役割となった」とオーゲルは説明した。
「ベンジャミンが期待に応えてくれることを願っていたが、彼は見事にそれを成し遂げた。フルシーズンをともに戦える幸運に恵まれ、彼はその役割を担う実力があることを示すために懸命に戦った」
「ローガンをこのプロジェクトに迎え入れられたことは本当に素晴らしい。現時点ではサードドライバーの役割といえるだろう。つまり、ドライバーラインアップに私が言うところの”ガンマン”をふたり揃えられたわけだ」
「多くの局面で、最終的には誰かと一緒に船を導く役割を担うことになる。それがシルバードライバーの役割だ。だが、今回は少し異なり船を導く者がふたりいる。その点で我々にとっては非常に好都合だ」
アメリカのジュニア・オープンホイール・レースにルーツを持つオーゲルは、最近までサージェントと接触がなかったことを認めた。
「ローガンが話したように、オリバー・ギャビンがローガンの新たなマネジメント役を引き受け、復帰のタイミングを見極めるため新たなチームを探していたことがきっかけだ」とオーゲルは説明した。
「我々は結果を出せる、チームの中核を担うドライバーをもうひとり必要としており、話し合っていた」
「ロドリゴ(・セールス)がシーズンの残りの期間を共有できない状況だったため、ちょうどそのタイミングでナビーンが加入することになった。結果、すべてが本当にうまく噛み合ったんだ」
「率直に言って、みんなが冷静な判断力を持って腰を据え、遠回しな言い回しをせず対話を行ったからこそ、こうしたことが実現したのだと言わざるを得ない」
[オートスポーツweb 2025年09月06日]