全ラップタイムが削除されたことで予選3番手を失った93号車プジョー9X8 2025WEC第6戦オースティン 雨混じりの難しいコンディションとなったWEC世界耐久選手権第6戦『ローンスター・ル・マン』の予選およびハイパーポールで、当初3番グリッドを獲得していた93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)が、タイム抹消の裁定によりそのポジションを失った。
9月6日にテキサス州オースティンに位置するサーキット・オブ・ジ・アメリカズで行われた公式予選で、ジャン・エリック・ベルニュが予選アタッカーを担当した93号車プジョーは、予選の第1ステージを9番手で通過。第2ステージ『ハイパーポール』では1分58秒506というタイムを刻み、83号車、51号車という2台のフェラーリ499Pに次ぐ3番手に入っていた。
しかし93号車には、レースディレクターの指示があったにも関わらずマシン後部のリヤレインライトを点灯させていなかったため、(マシン修復を命じる)ブラック&オレンジフラッグが提示されていた。ベルニュはこのフラッグ提示後も走行を続け、ベストタイムを記録していた。
この結果、93号車は予選およびハイパーポールにおけるすべてのラップを抹消され、7日に行われる決勝レースは、ハイパーカークラスの最後尾となる18番グリッドからスタートすることになった。
当該スチュワード・ブルテンには、以下のように裁定理由が記されている。
「ハイパーカーの予選セッション開始時、レースディレクターは路面コンディションをウエットと宣言した。93号車はピットから離れ、このセッションに参加した」
「セッション開始から約1分半後、レースディレクターは93号車に対し、レインライトが作動していないことを伝え、チームに点灯するよう指示した。この指示にもかかわらず、93号車はレインライトを点灯させず、その後、レースディレクターから再度指示を受けた」
「(スチュワードとの)ヒアリングにおいて、93号車のドライバーとチームマネージャーはともに、これらの指示を受け取ったことを確認し、最善を尽くしたにもかかわらず、予選セッション中にレインライトを点灯させることができなかったと説明した」
「さらに、チームマネージャーはスチュワードに対し、ハイパーカー・ハイパーポールセッション開始前にチームは問題が解決したと考えたため、93号車はハイパーポールのセッションに参加できるようピットから出たと説明した」
「しかし、レインライトは作動せず、セッション開始から約1分半後、レースディレクターはチームにレインライトの点灯を指示するメッセージを再度発した。さらに5分後、レースディレクターは93号車にブラック&オレンジフラッグを提示せざるを得なかった」
「レーススチュワードは、この件について慎重に検討した結果、93号車のレインライトは両セッションを通して作動・点灯し続ける必要があり、車両が適用規則を遵守していることを保証するのはチームの責任であると決定した」
「したがって、レーススチュワードは、ハイパーカー予選とハイパーカー・ハイパーポールの両セッションにおいて、93号車が記録したすべてのラップタイムを無効とすることを決定した」
これにより、6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が予選3番手となり、以下ハイパーカー勢の順位がひとつづつ繰り上げられている。
[オートスポーツweb 2025年09月07日]