ロッテ・河村説人(撮影=岩下雄太) ロッテ・河村説人は確かな手応えを得て、今季を終えた。
「前回やられているので、やり返したい思いと、しっかり自分の投げる球、できることをやる。前回は久しぶりでそこもできなかったので、まずは自分の投球をしたいですね」。
22年5月26日の広島戦以来の一軍登板となった8月14日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で4回途中5失点で降板。あの悔しいマウンドから1ヶ月ーー。9月22日、エスコンフィールドでの日本ハム戦の先発マウンドに上がった。
河村は「全部の球種がうまく操れたと思います」と、立ち上がりからストレート、スライダー、カットボール、カーブ、フォークと満遍なく投げ、ファイターズ打線を2−0の5回二死までノーヒットに抑えるピッチング。特にこの日は「カーブはほとんど狙ったところに行ったので、良いピッチングになった要因のひとつかなと思います」と、カウント球のカーブが面白いように決まった。
カットボールはいつもより気持ち多めに投げていた印象を受けたが、河村は「一軍上がってから結構投げていた」とのことで、「調子も良かったので球速も出ていたのかなと思います」と明かした。
ファイターズ打線を6回まで無失点に抑えていたが、2−0の7回に先頭の郡司裕也にセンター前に運ばれる。この日初めてノーアウトのランナーを出したが冷静だった。続く清宮幸太郎を2ボール2ストライクから5球目のアウトコース147キロストレートで見逃し三振。前の打席、清宮をカーブ、フォーク、フォークと変化球攻めで3球三振を奪った中で、相手の裏をかいた配球での三振は見事だった。
「変化球が頭にあったと思いますし、その前の追い込み方でもフォークが頭にあるんだろうなと思ったのでまっすぐで奪いました」。
一死一塁となり、野村佑希に対してもストレート主体の投球で追い込み、2ボール2ストライクから外角のストレートで空振り三振。
序盤、決め球に変化球を選択することが多く、清宮、野村の頭の中に変化球があった中で、ストレートで三振に仕留めたのは素晴らしかった。
河村は「対戦する中で打席の中ですけど、変化球マーク入っているなと思いました。(佐藤)都志也も同じことを思ったので、バッテリーの考えとしてストレートを選択しました」と、バッテリーを組んだ同学年の佐藤都志也との“阿吽の呼吸”が2つの三振に繋がったと分析する。
二死一塁となり石井一成に対しては初球のスライダー、2球目のストレートで簡単に追い込む。3球目の低めのフォークを見送られると、その後3ボール2ストライクとなり、最後の勝負球にバッテリーが選択したのは、低めに落ちる134キロのフォーク。「追い込んでからフォークを打つのが上手いバッターではあるので、そこも警戒したんですけど、3ボール2ストライク。あっちもストレートを待っているだろうなというところでフォークをしっかり落とせば振ってくれるだろうなと思っていました」と、3球目に見送られたフォークを怖れることなく腕を振り、石井を空振り三振に仕留めた。
河村はプロ入り後、自己最長の7回を投げ、108球、2被安打、5奪三振、無失点で2勝目を手にした。佐藤とバッテリーを組んでいて自身の良さを引き出してもらっているところはあるのだろうかーー。
「かなりありますね。どちらかというと自分は配球で勝負するタイプなので、(佐藤)都志也にうまいことリードしてもらっているなというのは思います」。
これがシーズン最終登板となった河村は、初登板の日本ハム戦こそ敗戦投手になったが、その後の3試合は全て5イニング以上投げ、4試合・21回を投げ、2勝1敗、防御率2.57で終えた。
河村は「ストレートがとにかく通用したので、すごく自信になりましたし、マウンドの上で平常心で投げることができたので、本当に来年に繋がればいいなと思っています」と、来季につながっていきそうなイメージが持てた。
「自分のスタイルとしては前回のような感じで、そこにもう少しストレートの強さ、速さが加わればもっと楽にイニングを進めていけるのかなと思います」。課題を口にしながらも、自身の投球スタイルもある程度確立できた。この自信を来季、確信に変える。
取材・文=岩下雄太