大王製紙のトイレットペーパー「エリエール」(左)と、日本製紙クレシアの「スコッティ」 従来品より3倍長いトイレットペーパーの特許権を侵害されたとして、日本製紙クレシア(東京)が大王製紙(愛媛)に製造差し止めや3300万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が8日、知財高裁であった。中平健裁判長は、特許侵害を認めずに請求を退けた一審東京地裁判決を支持し、クレシア側の控訴を棄却した。
判決などによると、クレシアは2016年以降、「スコッティ」ブランドで長さ3倍のトイレットペーパーを販売。20年までに紙の表面の凹凸や、包装に関する技術の特許を取得した。
一方、大王製紙は22年春から「エリエール」で長さ3.2倍のトイレットペーパーを発売。クレシアは、この製品の凹凸の深さが特許で定めた範囲内にあるなどと主張し、同年9月に提訴した。
中平裁判長は判決で、一審と同様に凹凸の深さや包装が特許の技術的範囲に属するとは認められないと判断。クレシア側は控訴審で新たに深さを測定した結果を証拠として提出したが、「証拠の内容を考慮しても判断は変わらない」として特許侵害を否定した。
クレシアは「内容を精査の上、上告を含む今後の対応を慎重に検討する」とのコメントを出した。